JBL/JRX115は「上へ下への大騒ぎ」なスピーカだった……。

(同日:JBL/JRX115配線メモ(後に【音の焦点をプラセボ少な目で調整するための実験回路その5】となる部分を追記。)。 - 雑記/えもじならべあそび)
(過去:「JBL/JRX115は終了しました。」 - 雑記/えもじならべあそび)
(未来:電源ノイズを「安全に・広帯域で」測定する方法について考えてみるテスト。 - 雑記/えもじならべあそび)
(未来:相沢かえでオーディオ @ ウィキ)
(未来:今日のオーディオ設定。 - 雑記/えもじならべあそび)
(未来:銀メッキ線と音の焦点に絡む、しょーもないメモ。 - 雑記/えもじならべあそび)
(過去:dbx Driverack PAを使って「音の焦点(?)」をプラセボ少なめで調整するための配線案(マニュアル・サウンド・フォーカスのための実験回路)、その4。 - 雑記/えもじならべあそび)
(過去:今日の行動メモ。 - 雑記/えもじならべあそび)
(過去:音の焦点メモ。 - 雑記/えもじならべあそび)
(過去:プロケーブル方式の特許スタンドによってアフォードされるスピーカセッティング(長い説明だよなぁ……)について、ひとつ不思議に思ったことが。 - 雑記/えもじならべあそび)
(過去:プロケーブル方式の特許スタンドについて、以前のスチールラックスタンドを組み直してテストしてみた結果から思うこと、一般の家庭で導入する場合の障壁、相手先ブランド供給(OEM)の可能性について。 - 雑記/えもじならべあそび)


 えーと……始めに言っておきます。個人的にJBL/JRX115自体は
【すごく好きな傾向の音を出してくれる、私好みのスピーカ】
だと思います……ただし「いい音」ではないと思う、と。
 そういう意味では「私が個人的に楽しむには満足して使える」けど「人様がいるときに鳴らすのはどうかと悩んでしまう」感じですね……。


 ぺらっぺらで軽いコルゲーション付きコーン紙を1.5kHz近傍までこき使って、残りはホーンでどーにかする……というスタイルが、遥か昔に聞き馴染んだ「フルレンジ単発の38cmスピーカ」を髣髴とさせてくれるので、聞いていてとても楽しいんですよね……ちょうど、1960年代〜1970年代スタイルという感じかな。
 個人的には帯域分割数は「少なければ少ないほどいい」ぐらいに思っているので、3Wayスピーカよりは2Wayスピーカのほうがしっくり来るのかもしれません。
 ただし、「J-POPSと3Wayスピーカに馴染んできた、1980年代〜1990年代の世代にとってはどうか?」という風になると、かなり評価は変わってしまうかも。


 このあたりは【音の焦点メモ。 - 雑記/えもじならべあそび】にも似たことを書いた気がするのだけれど、日本人の声というのはそもそも「大型2Wayスピーカではウーファー帯域上端を使って再生される」ので、2Wayスピーカでの再生はもともと苦手なのかも。
 そういう意味では、大型スピーカについてはそもそも3Wayにしてしまって「600Hz〜4000Hzあたりを担当するツィーター」を音声用に使うほうが、日本人の声を再生したときに破綻がおきにくいわけで。
 小さいスピーカではウーファーで3000Hzとか4000Hzあたりまで引っ張るわけですが、そこの理由というのもサイズだけの問題ではなくて、こういった帯域がらみの問題が絡んでいるんじゃないかと。
 こういった事情からすると、このスピーカというのは「日本人の声を再生するには、そういいものではない」という風に見えます……そして、実機にもやっぱりそういう雰囲気がある、と。


 まだミクサラックの部品が届ききっていない(行動メモに書いたとおり、ミクサ用のラックイヤーは後発注としている)ので、配線の自由が利かず、現状では【SONY/PlayStation3 → Mackie/1402VLZ3/Alt3-4 → dbx/DriveRackPA/Stereo1way → Mackie/1402VLZ3/MainMix → Crown/D-45 → TIVF/1.5m (*)→ Luxman/AS-4III → Bellden/8470/1.5m → NL4FX → NL4MP-ST → Bellden/8470/2m → NL4FX (*)→ JBL/JRX115】(*ポイントには20mのTIVFが並列接続されていて、Luxman/AS-4IIIでTIVFが活線になるよう切り替えられるようにしている)という、かなり妙な接続方法になっています。
 ちなみに「NL4FX → NL4MP-ST」がある理由は「Luxman/AS-4IIIの内部回路を通さずに、外部端子を使って並列接続しているBellden/8470/1.5mを、この回路から切り離すため」のものです。本当は「TIVF/1.5m」もバイパスして、「Crown/D-45」からBeldenケーブルのみで「JBL/JRX115」へと接続しないとイチャモンをつけられる(?)ような気もするのですが……それはラックキットが完成してからでないと無理なので、今はこの結線方法のままでテストしています。


 ……で、ケーブルの差による音質差についてですが、JBL/JRX115では、Diatone/DS-77zよりもさらに「音色差を感じづらい」と感じています。
 というか、そもそも「正面に座するとJBL/JRX115のホーンがうるさくて、そんなちっぽけな差なんて聞き取ってる余裕がない」うえに、「似非プロケーブル方式セッティングを取ると、JBL/JRX115の側壁面が7.5度傾いているせいでスピーカがより内向きになり、そもそも6畳間を横に使うとスピーカに正対してしまうことになる」ことが影響しているのかもしれません。


 そういえば、JBL/JRX115をセッティングしてみてから、【プロケーブル方式の特許スタンドによってアフォードされるスピーカセッティング(長い説明だよなぁ……)について、ひとつ不思議に思ったことが。 - 雑記/えもじならべあそび】と【プロケーブル方式の特許スタンドについて、以前のスチールラックスタンドを組み直してテストしてみた結果から思うこと、一般の家庭で導入する場合の障壁、相手先ブランド供給(OEM)の可能性について。 - 雑記/えもじならべあそび】を思い出してしまって、ふと思ったことが。
 もしかすると、「プロケーブル方式のスピーカセッティング」を理想条件で成立させるためには、

  • スピーカ・エンクロージャの前面と背面を除く4つすべての辺について、その面の延長線上に、スピーカ背面の部屋角が来る必要がある。
    • つまり、部屋角に近ければ近いほどテーパーが大きく(スピーカ面を底辺とした三角錐に近く)て、部屋角から遠ければ遠いほどテーパーは小さく(直方体に近く)なる必要がある。
  • スピーカの方向性や距離などをいじる場合には、前面と背面を除く4面の延長線上にスピーカ背面側の部屋角がくる状態のまま(=スピーカ背面側の部屋角を回転軸として)、スピーカの向きをセットしなければならない。

という条件が必要になるのかもしれない。
 プロケーブルさんとこでは、そう遠くない未来に「JBLかElectroVoiceの補修用ユニットを使って、自前のスピーカを作る」方向に走りそうな気がする……たぶん、スピーカスタンドだけでは終わらないだろうな、と。


 ……って、それはどーでもいいとして。
 ようやくタイトルに戻るのだけれど、このスピーカにしてみて「はじめの30秒はとてもいいと思った」のだけれど、その後に延々と聞き込んでいくと「周波数特性が、公称の特性からだいぶ離れている」気がしてしまいました。
 もちろん、こういうメーカーが出す製品に「周波数特性がカタログスペックから大きく離れている」なんていうものは(不良品でもない限りは)あるわけがありません。
 一方では、工業製品としてある程度の誤差があるのは当然としても、どう考えてもカタログスペックのような滑らかな帯域特性ではないよなぁ……と。
 これはただ、「メーカーが測定用マイクを立てて、メーカーが測定した値」と、「私が測定用マイクを立てて、私が測定した値」との間にずれがある……というだけの話。
 このあたりについては、「そんなバカな!」という風にも見えるかもしれません……が、私は普段の聴取位置(スピーカセンターから少し外れていて、かつ距離が2m離れている)にマイクを立てて測定したので、メーカーが測定した値(正面、1m距離)と異なっていたとしても、なんら不思議はないわけで。
 ……とはいえ、実際には「私が」測定したわけではなくて、「DBX/DriveRackPAが」測定したうえに、私が見たのは「実測値」ではなく「DBX/DriveRackPAのAutoEQによって決定されたグライコの設定値」を見ているだけなのですが^^;。


 JBL/JRX115をDBX/DriveRackPAのAutoEQに掛けたときのグライコ設定値は……Diatone/DS-77zでの補正値と見比べた限りでは「何でこんなに凸凹なんだよッ!」と、思わず突っ込んでしまいたくなるぐらいに、かなり派手な補正内容になっていました。特に、うちの測定系では特に大きな問題が出ないはず(というか、Diatone/DS-77zではあまり観測されない)中低音域でのEQが、激しく暴れていました。
 DBX/DriveRackPAによる補正の効果を比較するために、「DBX/DriveRackPAを使って、AD変換のロス&グライコのロスを覚悟で帯域補正をした状態」と、「DBX/DriveRackPAからXLRケーブルをはずして、はずしたコネクタ同士を直結した状態」*1とを比較試聴してみましたが、DBX/DriveRackPAの挿入による劣化の検知度合いはDiatone/DS-77zよりもJBL/JRX115のほうが少なく感じ、かつ帯域バランスの補正効果はきっちり出てくれたので、「DBX/DriveRackPAを使わないよりも、使うほうが聴きやすい」というふうに感じました。
 #DriveRackPAを使わなくても「耳補正/脳補正」(というか生体エージング)でぎりぎり何とかなるレベルなのだけれど、それは精神衛生上よくないと思う。


 そういえば、今回は測定用マイクを【商品が見つかりません|サウンドハウス】に変更しました。
 ただ、マイクの省電力回路に関する仕様上の都合で「DBX/DriveRackPAに直結するには、マイクケーブルを細工しないと使えない」ことが発覚したため、今回も結局Mackie/1402VLZ3経由で接続しました。
 Mackie/1402VLZ3の設定は「入力ゲイン=ゼロ」「チャネルスライダとメインミックススライダはユニティ」「DBX/DriveRackPAのピンクノイズ出力レベルは+6〜10dB」にした状態で、かつ「Crown/D-45の入力ゲインつまみは下から3クリック目」にして測定が可能になったので、ぎりぎりマイクアンプ無し&普段聴き音量よりも結構大きいくらいという、音量的にはぎりぎりのところで測定が可能になりました(Behringer/ECM8000では、どう考えてもひどい爆音を出さないといけなかったので、だいぶよくなっている)。
 次回は相対値測定で選別した抵抗器を2個組み込んだ「専用マイクケーブル」を作って、Mackie/1402VLZ3を経由しない測定を試みたいところです。


 JBL/JRX115は「素の特性のまま、家庭の部屋の中に突っ込んで、普通の音量で聴く」には、ちょっと特性的に厳しいかなぁ……と。
 うちの場合は「測定用マイク・ファンタム付加線に接続できるマイクアンプ代用ミクサ・オートイコライザ」が手元にあった(=だからすぐに気づくことができた)ので、まだいいのですが……こういったものもなしにただJBL/JRX115をぽんと買ってしまうと、人によっては結構悩んでしまうことがあるのではないかな、というあたりが気になりました。
 こういうところは「音量が飽和すれば(耳が勝手に凸帯域をピークリミットしてくれるので)ごまかせる」部分もあり、大音量で聴くなら補正機器は不要かもしれません……が、うちではCrown/D-45のランプが「電源ランプは付くけど、Signalランプは測定時&ヘッドフォン聴取時&NXTスピーカ使用時以外はまったく点灯しない」という程度の音量で使っているので、補正機器無しでの実使用はムリがあるのかもしれません。


 うーん……微妙に「やっぱ、順当に好きなほう(ElectroVoice)を買っておくほうがよかったのかも」と、そう後悔し始めている私がいたり(カラオケや屋外PAなどで、ElectroVoiceのよさは体感しているつもり)。
 ケーブルによるキンキン感の変動が出ない(TIVF20mとの比較試聴で大きな差が出ない)ので、ケーブルの切り詰めによる「音の焦点合わせ」とかいうものを実践する以前の問題だし、それよりも「(ホーンの特性から)聴取位置を変えるほうがよほどキンキン感が変わってしまう」ので、下手をすると「座る位置を調整するほうが、音の焦点合わせという意味では意味があるのでは?」などと感じ始めてもいたり。


 うーむ……これはもしや、

とりあえずは「24.7kg27.4kgの粗大ゴミ」にはならないことを祈りたいところ*1。
(from 今日の行動メモ。 - 雑記/えもじならべあそび )

への序章なのだろうかorz。
 せっかく買ってしまったし、基本的には好きな傾向を持つ代物だけに、なんとかして「理想にちかい音でなってくれる」様にしていきたいのですが、果たしてどうなることやら。
 というか、サウンドハウスにあったレビューのうち、ネガティブな意見ほど役に立つというのはどういうことかと(以下略。

*1:DBX/DriveRackPAに接続しているケーブルは、入力と出力がオスメスの関係になっているので、機器からはずして相互接続すれば「ゼロイコライズ試験」ができる。