銀メッキ線と音の焦点に絡む、しょーもないメモ。

(未来:「却下されることを前提で」トランスやさんに見積もり依頼を出してみた……。 - 雑記/えもじならべあそび)
(未来:電源ノイズを「安全に・広帯域で」測定する方法について考えてみるテスト。 - 雑記/えもじならべあそび)
(過去:スピーカケーブルメモ。 - 雑記/えもじならべあそび)
(過去:メモ。 - 雑記/えもじならべあそび)
(過去:電源トランスメモ。 - 雑記/えもじならべあそび)
(過去:2008-04-28 - 雑記/えもじならべあそび)
 ユーバイトは……コスト的にどうなのだろう。
 ヤマダ電機で「S-4C-FB」(S-5C-FBではない)を買ってきたのだけれど、10Mで2860円だった。
 ……で、芯線を使わずシールド部のみを使うので、こいつで作れるのは「単線」。ということは、スピーカケーブルで使うには「往路線」と「復路線」が必要……と。
 10Mの単線を往路と復路に分けると、当然スピーカケーブルとして使える長さは5Mになる……ってことは、1Mあたり572円。
 左右スピーカ用に使うなら、10Mの同軸ケーブルで作れるのは「左右2.5Mずつ」になる。
 この価格は「プロケーブルプライス」のBelden8460/8470クラス……では終わらずに、熱収縮チューブと加工手間が付加される。
 「供給と品質が安定していて、ほぼ永続的に入手可能」という意味でのメリットはすばらしいのだけれど、ケーブルの特性というのは基本的に「素線の質よりも構造によって左右される部分が大きい」( http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/meisin.htm )という主張もあるくらいなので、加工方法によって特性にバラつきが出てしまうことが否めないというのは、ちょっと厳しいかも……と感じ始めていたり。
 解説にある特性/聴感はかなりよさそうなので、いずれテストしてみます。


 それと、もう一つ気になることが……銀めっき線は「とくに湿気の多い日本国内では」なまもの*1らしく、あまり頼りたくはないのだけれど……コンクリートが他地域の半分しか持たないのと同じで、日本では「デモンストレーションに使う」とかが主用途なのかも。
 海外で保管しているときはいいものの、「日本国内で保管」したり、「日本国内で春〜夏を数回過ごさせ」たりすると、ジャケットから透過/浸透してくる水分や酸素などによって、銀のめっき層が錆びていく(=特性が変わっていってしまう)のかも。このあたりは国外メーカーの言い分なんてあんまり役に立たなくて、結局は国内メーカーの意見が役に立つ可能性が高いと思う。
 ……ってことで、個人的には「WE線・ベルデン線・ユーバイト」のいずれも「将来に渡って特性が保たれるわけではない」ところが困ることになりそうな感じ。
 このあたりについては「経年劣化がどの程度深刻なのか」によって変わってくると思うのだけれど、手元にはそういう資料が無いので、今のところはなんともいえない感じ。 


 例の「ステップダウン絶縁トランス」については、とくに「アナログアンプであって、かつ負帰還量の大きいもの」ほど、「測定器では観測できないのに、なぜか高域が良く聞こえる」可能性はある。負帰還がまったく無いアンプであれば、単純に「終段に電源ノイズが乗っかるだけ→出力に電源ノイズが乗っかるだけ」という判りやすい現象に出会うのだけれど、負帰還を掛けているアンプの場合には、もう少し違ったところで問題が出てくるのかも。
 元々アナログ半導体アンプは、「高いダンピングファクタ内部抵抗値」を見かけ上押さえるために負帰還を掛けまくるのだけれど、オーバーオール負帰還を掛ける時の抽出点は「安定化電源を通っていない、簡易デカップリングのみが施された電源段から電流供給を受けているトランジスタ一組の中点」だったりする。
 これはコスト的な問題&NFBを掛けるからノイズについて無視してよいという考え方でこうなっている……のだけれど、デジタルアンプのなかでもコストをかけまくっているSONY製アンプでは、電源段まで完全定電圧化した電源を使っていたりする(このあたりは「かないまるのホームページ」がとても詳しい)。
 ということは、オーバーオール負帰還線に乗っかる信号というのは【増幅した後の音声信号+スピーカからの逆起電力(がケーブルでなまったもの)+電源段のてきとーデカップリングで取りきれなかった電源ノイズ】になる。
 このいろんなものがごちゃ混ぜになったものが、初段増幅段のネガティブ信号として使われる……のだけれど、初段はこの信号を「理想的な状況で受け取ることができる」というわけではなくて、基本的にこれがアンプである以上は「スルーレートの制限から逃れることはできない」という事情が出てくる。
 普通のAC100Vステップダウンなトランスでは厳しいノイズを取ることができない……というのは http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/Power.htm にあるとおりで、もしもアンプの中身に「普通の音声信号を処理するだけのスルーレートしか確保していない」初段増幅段があったりすると(ってゆーか、普通はそんなもんだと思う)、こんな電源ノイズが「簡単なデカップリングと普通のトランジスタ」を経由して初段にぶち込まれては、せっかく音声NFB用として確保していたスルーレートが「電源ノイズを消すために使い切られてしまう(下手をすると電源ノイズすら処理できない)」可能性が出てくる。
 スルーレートが不足すると、正弦波の波形再現ができずに「角速度の早い部分(特にプラスマイナスゼロを横切る直前)できちんとした波形再現ができず、立ち上がりや立下りが遅れてしまう→本来無いはずの倍音が発生してひずみとなってしまう」ことになりかねない。
 「ステップダウン絶縁トランス」は、「負帰還によってノイズを無理やり排除しているアンプ」の初段スルーレートをムダに使ってしまう要因になる「電源ノイズ」を、少しでも多く除去するために役立つ……のかも。
 ただし、ステップダウントランスで有効にノイズを除去するためには、

  • 単相2線200V+アースの組み合わせであること*2
    • ステップダウントランスで有効に除去できるのは、それこそRT極両方に同じベクトルのノイズが乗ってしまうような「同相ノイズ」だけ。
      • ノイズが乗った単相2線100V(RS極またはTS極の組み合わせ)をステップアップしたとしても「同相ノイズ」に変化してくれるわけではないので、こんなことはするだけ無駄。
        • それをするなら、そこら辺のトランス屋で売っている「絶縁トランス」を使ってもまったく同じ結果を得られるし、わざわざ内部回路のわからない代物を買う意味が無い。
  • アース線を、トランスだけではなくすべての関連機器にまで引き回すこと。
    • ただし、AC電源を使いつつアンバランス接続の場合には「戻り線」と「アース」を共用してしまう&アースが2本以上になってしまうので、機器の設計次第でどうなるかは不明。

というあたりに注意する必要があるかも……って、素人考えだからこれでホントに合っているのかどうかは疑問なのだけれど。
 「100V→100V電源用の絶縁トランス」は、少なくとも「スイッチング電源が絡む」場合には効果が期待できるのだけれど、それ以外のノイズを遮蔽するには、さして役に立たないような気が……実際はどうなのかわからないけれども、個人的には「そんな中途半端なことをするぐらいなら、はじめから200V給電を受けて、絶縁トランスの2次側が中点アース電位になるようなAC100V出力の絶縁トランスを発注する」ほうが良いようにも思う
 #中点アースのAC100V電源(日本の給電方式はS極接地なので、絶縁トランスを使って作るしかない)を使う場合、安全性に難があるはずなので、受電するすべての機器にもれなく「独立アース」を提供してやる必要があるとおもう(&効果があるのかどうかはテストしていないのでわからない)。


 ……それと、書き忘れないように、今のうちに。
 たぶん、「電源環境がよくなると、音がキンキンになってくる」というのは、単純に「表現方法が変」なんだと思う。
 上記のようなプロセスによって、普段は除去しづらいタイプの「同相電源ノイズ(特に波形の大きな「スパイクノイズ」だろうか)」を遮蔽できると、「音声信号と一緒に負帰還信号を受けるアンプの初段について、負帰還信号に混じってくる【出力段から混じって来やがった電源ノイズ】についてまで、アンプの初段で面倒を見なければならない*3」という必要が少なくなる、と考えることができる。
 そうすると、「今までは電源ノイズの処理に費やされていたスルーレートを、本来の音声信号&音声NFBのために使いまわせる」様になって、特に角速度の大きな「大振幅・高音域の音声信号を再現できる度合いが高まる」様なる……はず。
 今までは「NFBのおかげでノイズ音にはならなかったものの、NFBのせいで表現を阻害されていた」微細&高音域の音声がきちんと再現できるようになる……ので、「ホワイトノイズのようなものに埋もれていたものが、ノイズフロアの低下によって浮かび上がって聞こえる」ようになって、結果として「(キンキンなどという奇妙な表現ではなくて)きちんと主張されて」聞こえるようになる……のかも。
 それでなくとも電源線というのは「PLCのような通信にさえも使えるぐらいに、意外なほど広い周波数帯域を扱える代物」だったりするだけに、こういった帯域のろくでもないノイズが「初段が本来持つスルーレートを勝手に奪う」可能性がある……となると、「無線と実験」あたりの雑誌を読んでる連中(私とか^^;)ならなんとなく理解できうる話になるのかも?と。
 こういうところの原理をはしょって表現しようとすると、単純に「判りやすく」なんていう風にはならずに「オカルトちっくに」なってしまうのかも。
 それと、原理を理解した「まっとうな対抗業者が続々と出てくる」ことをあえて阻害するために、あんな仕掛けをしたのかなぁ……などと邪推してもみたり。
 ……ここで書いた理屈は「単なる空想の代物」であって「実験によって立証した事実」などではないのだけれど、「立ち上がり&立下りの激しい電源ノイズを取ることができれば、アンプの性能は設計値並みにきちんと活用できるようになる」とすると、RT極から引き出した200Vをダウントランスで100Vへと落とす意味は、きちんとあることになると思う。


 ……そして、上の話が正しければ、めっき線による「ハイ上がり」というのは、だいぶ違った目的がある様に見えてくる。
 こういった「本来はアンプの電源側からノイズを取り去って、アンプの初段側に対するムリ・ムダ・ムラを取ってやることによって実現するべき事象」をせずに、なぜか「【どぶににおいを発生するものが残存しているからどぶが臭い(掃除するしか無いじゃん!)】という問題の根本部分を解決することなく、【どぶに消毒剤をまいて、その瞬間のにおいだけをごまかす】という見かけの問題にすり替えている」という風にとることができる*4
 ……これって、なんか変だよなぁ……と思う。
 逆に言えば、電源環境さえきちんとしてやれば「そこら辺の民生機器をつかって、そこら辺のケーブルを使っていれば、十分にいい音楽を楽しむことができる」のかもしれない。


 うーん……個人的には「信ずる者は救われる」的なアプローチは大嫌いだから*5、このあたりは(ゆっくりと、になると思うけど)きちんと追いかけて行きたいところ。
 基本的に、「信じてうまく行ったもの」というのは、その原理を理解することができないので「次々と信じるしかない」状態に陥ってしまうんですよね……そういう「誰かが作った、わけのわからない世界」というのはとても居心地が悪いので、そういうところではなく「原理と感覚がきちんとマッチして」いるところをみつけてみたいですね。
 ……って、「かえであすか」の解析も終わってないのに何言ってるんだ?という感じもしますけれどもorz。


 最後に、懲りずにメモ。
 (絶縁トランス以降でしか作ることができない)中点接地による100V電源(+独立アース)というのは、真空管(というか直熱管)のハムバランサによる平衡と同じようなノイズ除去効果をもたらしてくれるのだろうか。
 もしもこれも真ならば、さらに「昔からオーディオをやってる人」にとっておなじみの話ということに収束するのかもしれない。


 けん盤配列には謎が多い……けれども、オーディオにも同じように謎が多いなぁ……と思う。
 どちらも「これが最高!」合戦が繰り広げられている(いや、けん盤配列では過去の話になりつつあるかなぁ)し、どちらも謎が多いし、どちらも「感覚と測定の間で揺れ動いている」し……と、結構リンクする部分が多いのかも。

2008年5月4日23:03:38追記。

 あれこれと調べてみて解ったのだけれど、もともとUBYTEケーブルというのは、同軸ケーブルの網線の部分を使わずに「銅芯線と、銅シールド箔を使って作る」ものらしい。
 http://www.tnt-audio.com/clinica/ubyte2e.html
 ここには、シールドの銅箔を使うことと、「銅箔の代わりにメタライズドポリやアルミ箔が入ってるものじゃダメ」とか書いてある。
 組網線なんて説明のどこにも出てきてないから、始めの方で危惧していた問題には関係がない……ということか。


 しかも、これにはしっかりとした元ネタがある……と。
 http://www.geocities.com/jonrisch/spkrcbl1.htm
 http://www.geocities.com/jonrisch/page2.htm


 手元で用意したのは「アルミ箔」のものだから、元記事通りのU-BYTEを試すことは出来ない……微妙にがっかり。
 買ってしまったS-4C-FBはどうしよう……。

2008年5月4日23:30:59追記。

 もういちど2chのプロケー関連該当スレッドを見直すと、該当ケーブルの作り方に関して「U-BYTE」なんて一言も書いてなくて、それとはまったくべつに作られたものらしいことが書いてあった……自分、誤読してましたorz。
 これはこれとして、とりあえず作って評価してみるか……。

2008年5月5日11:13:37追記。

 UBYTEケーブルを作るとなると、少なくとも「銅箔」が入ってるケーブルじゃないとダメ……と。
 そうすると、フジクラであれば「3D-FAE」「5D-SFA(PE)」「8D-SFA(PE)」以外には選択肢が無い……と。

*1:http://www.mogami.com/paper/wire.htmlhttp://www.mogami.com/notes/copper-discolor.htmlあたりを参照のこと。

*2:2008年5月12日0:13:00追記……国内における配電方式では、「中性線(S極)」と「アース(E極)」はふつう電気的に同じ電位……ということになっているのだけれど、「中性線(S極)」は「ポジティブ非中性線(R極)」か「ネガティブ非中性線(T極)」と組み合わせて「回路として100Vを生成するための基準電位線であり、非中性線とおなじく大きな電力が流れる(しかもR極とT極の電力を足した分の戻りが、このS極線1本に合流して流れる!)」うえに、「中性線(S極)」はそもそも電圧の基準線なので、「アース(E極)」と違って保安器を通る必要がある(中点が欠損するとR-S極間・S-T極間が100Vに固定されず、オームの法則にしたがって電圧が狂ってしまう)ので、これを「オーディオ用の」アース代わりに使う、というのは変。ゆえに、ここでは「単相3線式200V」は一切除外して、あえて「単相2線200V+専用アース」としている。「アース(E極)」線は「中性線(S極)」と異なり、電力伝達用途に使われているわけではない。

*3:初段は安定化電源から受電しているから直接被害は受けないので、思わず忘れてしまいがちなのかもしれない。

*4:このたとえに他意はありません……というか、単純に

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の表現方法をお借りしてみました。

*5:世の中、そう簡単に物理法則とかに反する物事なんて発生しないものですし……そこには必ず「理由」があるはずで、その理由を探すためには何度でもかまうことなく「なぜ?」を繰り返す必要があると思う。