今回見積もり依頼をしている「二次側中点接地式の絶縁トランス」は、いったい何のために作ろうとしているのか。

(過去:(メモ)昼間よりも夜間の方が「音質がいい」のは、プラセボなのか、体調の問題なのか、それとも電源環境の問題なのか……。 - 雑記/えもじならべあそび)
(過去:「却下されることを前提で」トランスやさんに見積もり依頼を出してみた……。 - 雑記/えもじならべあそび)
(過去:プロケーブルトランスとプロケーブルスタンドを検証用に買おう……と思ったのだけれど、前者は保留に。 - 雑記/えもじならべあそび)
(過去:銀メッキ線と音の焦点に絡む、しょーもないメモ。 - 雑記/えもじならべあそび)
(過去:電源トランスメモ。 - 雑記/えもじならべあそび)
 文字のみの投稿だと「サーバーにこの話を書いた日付を残すことができない」ので、一緒に画像としても投稿してみました……ってのはあと付けの理由であって、単純に「タブレットPCで書かないと、書いているうちにわけが解らなくなってくる」ので、そのときに書いたメモをべた貼りしておきます。
 理屈があっているかどうかはわからないので、現時点では「ネタ扱い」ということで……。

 今回発注しようとしているトランスは、この図で言うところの左側に当たります。右側は、機器側に内蔵されているトランス(あるいはスイッチング電源でのコンデンサ?)になります。
 こういう結線で後続機器へと結線されることを想定しているので、このトランスには「ACの位相」という概念を適用することができませんし、1次側と2次側が絶縁されてはいないような機器を接続することもできません。
 プロケーブルさんが製造を委託し製作してもらっているトランスについては、商品紹介ページにて「オートトランスとは位相が逆なので、わざわざ位相を元に戻すように配線しなおしてもらっている」とかいう解説があるぐらいですから、あちらの絶縁トランスは「2次側が片極接地」になっているはずです……ということで、あちらのトランスと、今回発注依頼しているトランスは「全く別の狙いによって設計されている」と、そういうことです。
 以下に、(機械可読性を確保するために)図中で記述した文章をテキスト化しておきます……電気的に間違っていたら、笑いのネタにデモでもしてください^^;。
 #太字部分は、画像で誤記していた部分を書き換えているものです。

中央付近、片極接地の絶縁トランス二次側と、と片極接地の機器トランス一次側を接続した場合。

 ある瞬間に、機器側トランス一次側から二次側を通って、二次側ニュートラル線からアース経由で絶縁トランス一次側絶縁トランス二次側ニュートラル端へと流れる電流の量は、機器側が静電気によって電位浮きする部分を抑えるために流れる「電圧効果依存分」のほかに、ニュートラルとライブの電圧差(sin(100*sqrt(2))、タイミングによって電圧異なる)を、機器側トランスの一次→二次抵抗で割った値が加算されて流れる。

 ここでのポイントは、「常識的には問題ないレベルの」電流しか流れない程度に、まっとうな絶縁がなされている「機器内蔵トランスの一次→二次間絶縁抵抗」に対して、電源電圧を掛けた場合に発生する電流量によって発生する「アースからの対地浮上電圧」が、「(音声信号に対して)マイナス何十デジベルかはわからないけれども発生するかもしれない」というところ。
 もしも【銀メッキ線と音の焦点に絡む、しょーもないメモ。 - 雑記/えもじならべあそび】であげたような「NFBで相殺されているノイズ」のなかに、こういったものも含まれている……とすれば、この電位差は「除去する価値がある」のかもしれないなぁ、と妄想(^^;)しています。

最下方、中点接地の絶縁トランス二次側と、と片極接地の機器トランス一次側を接続した場合。

 ある瞬間に、機器側トランス一次側から二次側を通って、二次側ニュートラル線からアース経由で絶縁トランス一次側絶縁トランス二次側ニュートラル端へと流れる電流の量は、機器側が静電気によって電位浮きする部分を抑えるために流れる「電圧効果依存分」のみになる。
 機器側一次巻線の中点はアースの電位+電圧効果依存分のみのズレとなり、この点を中心として両端電圧が互いに逆相同電圧分ずつ振れるため、AC電圧であるsin(100*sqrt(2))Vを機器側トランスから見た場合の電位である、sin(50*sqrt(2))Vは、トランスの静電気を垂れ流す直接的な要因とはならない。この分の自由電子移動が減ることで、何の効果があるのかはわからないけれど。
 ※これは、中性点から電力を引き出さないことが成立条件(アース相当線に電流を流して電圧が発生すると成立しない)なので、単相3線200Vから「アンバランスの」AC100Vを引き出しても同じにはならない。バランス回路は「アース線に電流が流れないように、自由電子の吸い込み量と吐出し量がぴたりと一致すること」で、効果が最大になる*1

 このあたり、キルヒホッフの電流に関する法則を思い出しつつ書いてみました……って、真偽は不明なのだけれどorz。
 【片極接地電源】から電流を引き込む場合、もともとの電圧がsin(100*sqrt(2))なので、機器側トランス一次側について瞬間瞬間を切り取って観察してみれば、「あるときは+141Vになり、あるときは-141Vになり……」という風になって、一次側の電位は大きく振られる── 一次側中点の電位がトランス一次側自体の電位だとすると、その範囲は(+141/2)-(-141/2)なので、一周期で141V分だけトランス一次側電位が振られる──のかも。片方の線がアース電位+電圧降下分のズレに紐付けされていて動けないので、逆にトランス一次側の電位が動いてしまう、と。
 これが【中点接地電源】からの引き込みだと、電源線の両端は「アースに紐付けされておらず、逆位相同電位に振られる」ので、機器側一次巻線の中点付近には「アース電位+電圧降下分のズレだけの、仮想中性点」ができる。この点は接地できない(ちょっとでも電位差があると電流がアースを流れてしまうので危険)のだけれど、仕掛け上機器側中点は設置しなくてもよいし、接地されるべきでもないので、ここは無視。二次側はどこが接地されていても「設置されたポイントが中点になる」だけだし、音響機器なら「シグナルアースとほぼ同電位となる点が選ばれる」から、大きな問題もないはず。
 【中点接地電源】のポイントは、けっきょく「一般品を越えるような絶縁品質に頼らなくても、とりあえず電源電圧起因の静電気を、機器トランスの一次側から二次側へと引き渡したりすることが起きにくい」というところなのかも。

 ……もっとも、これが「使い物になる話」なのかどうかは、実際にトランスの見積もりが審査を通過して「現物となって帰ってきてから」でないと、確かめることはできないのだけれど。
 そういうわけで、今のところ追試はお勧めしません。

*1:たしか、かないまるさんが「200Vからのダウントランスについて、一次側へと200V配線の中性点を接続するとかえってよくない」とかいう話を、どこかで書いていたのを拝見した気がする……のだけれど、この原因が「中性点から電力を引き出す機器がある(というか、100V機器は片極を中性点に結んでいる)」というところにあるのかも?と予測していたり。もしも200V版を作るのならば、そのときも中性点は絶縁トランス一次側に引き込むことはしないし、アースについても「電源線の中性線」ではなくて「(電力を流さないことがハッキリしている)専用アース線」を引き込まないといけないのではないかと予測しています……が、専用アースを使っていても、その先には「大地を経由して、柱上トランスのS極につながっている」ので、そこが無視できない以上は結局同じなのかも?