(memo)Wharfedale DIAMOND10.1を、「店舗」と「6畳洋間」で聴き比べてきた。

(過去:実店舗、マジで役に立たねぇ……。 - 雑記/えもじならべあそび)


 今回はまさに「実店舗、マジで役に立たねぇ……再び」。
 最後に選んだのは↓だった……のだけれど。

ワーフェデール ダイヤモンド10.1ウエンジ【ペア】 DIAMOND10.1WEN(ペア)

ワーフェデール ダイヤモンド10.1ウエンジ【ペア】 DIAMOND10.1WEN(ペア)

Wharfedale(ワーフェデール) DIAMOND 10.1 ペア Rosewood Quilted(ローズウッド・キルテッド)

Wharfedale(ワーフェデール) DIAMOND 10.1 ペア Rosewood Quilted(ローズウッド・キルテッド)

ワーフェデール ダイヤモンド10.1ウインターメープル【ペア】 DIAMOND10.1MP(ペア)(W

ワーフェデール ダイヤモンド10.1ウインターメープル【ペア】 DIAMOND10.1MP(ペア)(W

ワーフェデール ダイヤモンド10.1シナモンチェリー【ペア】 DIAMOND10.1CR(ペア)(W

ワーフェデール ダイヤモンド10.1シナモンチェリー【ペア】 DIAMOND10.1CR(ペア)(W


 基本的には私が買うものじゃないから、まぁ店員の言うとおりにしてもらっていいよな……という感じだったのだけれど、スピーカー「だけ」については、少しだけ口出しすることになってしまった。
 ……いや、いろいろとあったんですよ、無言の戦い?が。

  • スピーカーが(バーチャルな)同一面上にたくさん並んでいると、低音域は「周囲のスピーカーコーン」と「周囲のバスレフポート」によっていくらか殺がれるから、スピーカーの並べ方によって音質は変わっちゃう*1
  • 店頭では、天井が高く周囲も閉鎖されていない……ので、高音域の主成分になる壁面反射(一次反射音)が少ないから、「家に入れたらキンキンして使い物にならない」ものほど店頭ではよく聴こえる。
  • 家庭の静かな環境にインストールして、はじめて失敗したと気づくタイプの「バスレフポートの喘ぎ」は、店頭のうるさいトコじゃわからない(特に、小型機でフロントバスレフ(反転バスレフ)ってのは、一般的にヤバい……けど、そういうのに限って「立っても耳が届かない高さ」にあったりして、カンタンには喘ぎを確認できないようにされていたりする)。
  • 高級アンプで鳴らしたときにいいスピーカーってのは、「高級アンプで慣らせばいい音」は保証できても、「それなりの実際に自宅で使うアンプではいい音」を保証してくれるわけじゃない……ってゆー罠を、知らせもせずに「高いアンプでだけ鳴らしてみて、客によさを説明する」のはダメだと思う。


 結局のところ、テレビを買うときに、「家庭の暗めの環境で、ちょうど一番映えて見えるテレビ」を探し出すのは、店頭では難しい……ってのと、全く同じ。
 スピーカーも「家庭の小さな部屋で、今買うアンプの動特性と、今置く位置に引き回したときのダンピングファクタから逆算したときに、ちょうどいいバランスで鳴るスピーカー」を探すのは、店頭では難しい……ってこと。
 使う場所の容積・反射材料・設置位置などに強く依存して「それぞれの製品が唄う姿」は変わっちゃう……ってゆーことが解ってないと、「店頭ではいいのに、家で聴いたらガッカリな製品」を掴まされることになる。


 Whafedale Wharfedale DIAMOND10.1 については、もともとどっかのベストバイになってた……らしいけど、それは「買う人にとっての動機付け」にだけ伝えておいて、自分としては一切それを無視しておくことにした。
 ……で、「普通の部屋にインストールした人による、生の声」ってのを延々と探してきて、「DIAMOND10.1なら、普通サイズの部屋に、ぴったり合うはず」ってゆーふうに感じて、そこだけを信じることにしてた。
 店頭で聞いたときのDIAMOND10.1は、聴きはじめが超ナローレンジで「うわ、これってほんとに大丈夫なのかよ?」って不安にもなった……のだけれど、我に返って近接聴取&小音量テストとかをすると、「これは、ちょうど部屋のサイズで補正されて、バランスが取れそうだな……」って確信できたので、そのまま突っ走ることに。


 ……実際、6畳間にインストールされたDIAMOND10.1は、「上品だけれど、地に足が着いてる」好音質なもので、ホッとしました……。
 このサイズにありがちな「身の丈に合わない、量感しかない下品な低音」は出たりしないからサブウーファーとケンカしない*2し、センターをファンタム運用*3したときにも台詞はいい感じに定位するし……という感じで、ネイティブサラウンド環境を作りやすいスピーカーだと思う。


 ただ、他のスピーカーとの音質差(というか位相差)は結構激しいみたいで、「できれば5チャンネルともに(センターをファンタムにするなら4チャンネル分を)、全部DIAMOND10.1でそろえる」必要はありそう。
 ……ってことで、はじめにフロント分1ペアを導入して「センターはファンタム運用」しつつ*4、気に入ったらリア分1ペア(+7.1ch化するなら続いてサラウンドフロントサラウンドバック1ペア)を追加購入していく方がいいかも。
 個人的には、これなら「センターはファンタムで攻めることにして、スピーカーの角度調節で解決する」ってのをオススメしたい……のだけれど、気になる人はセンター用に1ペアを買って1本眠らせるor共同購入して1本ずつ分けるとか、そーゆーのでもいいのかも。


 実店舗、役に立つときには確かに役に立つ……のだけれど、「店員が売りたいと思うもの」が、透けて見えるようなことは、買う側からしてみれば勘弁して欲しいと思うところ。
 スピーカーは決して、単独で耳へと音をキャストできるわけじゃないんです。あくまでも「空間にインストールされて、空間の空気をドライブする機器」なんです……そこを上手く客に対して「メンタルモデル」として提供できるような説明が出来てないようなら、それはオーディオ屋の店員としてダメだと思う。
 ……ってゆーか、スピーカーを売る人は「部屋の中での、モノやシステムの配置図」くらい、客に書いてもらってもいいんじゃないかと思う。
 そーゆー情報もなしに、「一般論」じゃなく「絶対的」な視点で音質を語られたりすると、正直言って「コイツ、信じられねぇ……。」って感じる。


 相手の客が「勝手知ったる仲」なら、既に知ってる部屋にインストールしたときに、客の望みどおりの音が鳴るスピーカーを選び出す……ってこともできるのだろうけれど、普通は一期一会で物を売るんだろうから、スピーカーには万能選手なんて存在しないってことを、店員自身も理解するべきだし、どうしてそうなのかをわかりやすく客に解説する必要もあると思う。
 日本語入力法では「万能配列なんて存在しない!」ってのはアタリマエ……なのだけれど、スピーカーも同じだと思う。聴取音量・聴取距離・ソース機器・部屋のサイズやモノの配置……など、いろんなパラメーターによって「ぴたりと合うスピーカーは違ってくる」はずだし、個々人それぞれに「求める音自体も違う」はず……なのに、やれ「(近接聴取ではないスピーカーについてまで)このスピーカーは○○」だの「このケーブルは○○」だのと、インストール先の空間についての話をすっ飛ばしてコトを論じるのは変だと思う。
 壁の影響をほとんど受けない「近接聴取専用スピーカー*5」なら、確かに単独で論じても害はない……けど、そうじゃない場合には「部屋」の要素を加味して物を売って欲しいと思う。

20100815追記。

 141Fさんからいただいた指摘に基づき、以下のとおりに置換しました。

修正前 修正後
Whafedale Wharfedale
始め はじ

 ×「LEGZA」については、アンケートを走らせ始めてしまった(途中での修正が効かない)ところなので、現状では修正するかどうか迷っていたりします。

*1:こういう設置上の『不可抗力による不都合』を悪用すると、ケーブルやスイッチ類について一切の不正を行うことなく「世間で評価がよいと言われるスピーカー」を『偶然低音質に聴こえる』ように配置したり、「店員が売りたいと思うスピーカー」を『偶然高音質に聴こえる』ように配置したりできてしまう。たとえば、ネットで評価の高いスピーカーの両隣を「価格順やメーカー順で考えたら不自然としか思えない理由によって、大き目のユニット&フロントバスレフポートを持つ製品で挟み込む」という配置をしているならば、それは結構高い確率で『明らかな悪意』によるものだと考えていいと思う。

*2:単独で聴いたときに低音の量感がある製品って、サブウーファーと組み合わせたときに「相互干渉」してヒドい低音を垂れ流しにする可能性が高いので注意。ラージウーファーが付いたフロントを使うなら、すっぱりと「サブウーファーなし」で運用しちゃうほうがいい音が出るから、素直にそうするという手が使える……のだけれど、トールボーイやブックシェルフ型で「ウーファーとのつなげ方を全然考えずに、単体で無理やり下品低音を出すようにしている」ものを買ってしまうと、ウーファーとのつなげ方(位相&分割周波数)をあれこれと試す必要が出てきて、ホント面倒なことになります……ってゆーか、私にはそれを調節しきる自信なんてないです。

*3:AVアンプの設定で、『センタースピーカー=なし」に設定した状態。こうすると、ほぼ全てのAVアンプで「センターの音声信号を、左右スピーカーに等しく重ね合わせる」動作になるので、フロントLRのスピーカーの設置距離&設置角度をよく調節すれば「大体は音声が中央に定位する」ようになります。透過音声スクリーンの後ろにスピーカーを設置する映画館スタイルを取らない限り、NXTクリアパネルを持たないほぼ全てのテレビは「画面中央から音を出す機能」をもっていないので、たいていはセンター専用のスピーカーを設置するのですが、これが「フロントLRと音質の違うもの」だったりすると、位相のつながりが悪くて印象をぶち壊しにすることがあります。よくつながる音声とするには「フロントLRと同じスピーカー」を置ければよいのですが、それができないときには、下手にセンター専用スピーカーをインストールするよりも「センターはファンタム運用」とするほうが、全体的な破綻感を防ぐために役立ちます。

*4:DIAMOND10.1は、背面にバスレフポートがある……ので、『壁に近づけてはいけません!……ってのは大嘘』で、スピーカー背面を壁に近づけて運用する必要がある場合は、スピーカーから一番近い壁面に「SONEXの吸音材or拡散材」を貼ってください(ヨドバシカメラとかだと、数千円/枚くらいの小さなSONEXのが売っていて、それで十分役に立ちます)……バスレフポートが背面にあるときは、こーやって処理すればいいだけなので話は単純になります。フロントバスレフの場合、こーゆー処理が効かないし、安定した音響減衰特性を持つ詰め物ってのはあまりないので、気に入らなくても基本は諦めるしかないです。

*5:たとえば「パソコン用のアクティブスピーカー」とか。近接聴取で適性音量を取る場合、壁からある程度離すだけで、部屋の影響は事実上ほぼ受けずに済むので、これについては場所にあまり関係なく一律で評価していいと思う。