(TitleOnly)ドライバのインピーダンス測定をやろうと思った……のだけれど、うまくいかなくて中断。

 【自作スピーカー測定プログラム MySpeaker】を使って測定を試みた、のだけれど。

 見事に測定失敗。
 直列に接続する抵抗器について、本来は「想定される最低インピーダンスに対して1/20-1/10くらいの値」を使わなきゃいけないというのに、それよりもかなり大きい値(手持ち抵抗器の流用)で何とかしようとして、結局はなんともならなかった……と。


 ただ、それ以外の測定についてはうまく行っていて、個人的には使いやすいソフトだなぁ……と思ったので、早速ソフトのレジストはしてみる予定。
 あとは、0.5Ωのセメント抵抗を手配しないと、どーにもならん感じ。

測定画面サンプルその1。


 こいつはホワイトノイズを2本立てのマイク(Behringer/ECM8000*2)で測定したときの様子。
 JBL/JRX115のネットをはずして、ネットがあった位置から30mmほど奥(ほとんどスピーカのバッフル面とツライチ)に、各ユニットの中心を取るように2本のマイクを立てています。
 ちなみに、グラフの線は「黒がドライバの逆相接続、赤がドライバの正相接続」となっています。

測定画面サンプルその2。


 こちらも、グラフの線は「黒がドライバの逆相接続、赤がドライバの正相接続」となっています。
 マイクの位置をそのままにして、位相を見てみました……が、正相の位相線がすっかり「UNREGISTERED」って文字に隠れていますね。
 正相にすると、ある基音に対する倍音を再生したときに、相がほとんどひっくり返ってしまうということが起きうることが推測されます。

音の焦点?合わせ関連

 バイアンプ対応スピーカにバイアンプ接続でアンプをつないでやって、高音側が「過不足なく、なるべく本物の声に近くなるように」音量を調整してやると、実際の電気的な入力信号と、スピーカから放射される信号の音量が、大体一致してきます。
 ホワイトノイズでは高音側にピークが出るなどしてわかりづらいので、ピンクノイズを出してみるといいかも。
 手元の環境では、以下のようにしてチェックしてみました。

  • DAC……Roland/UA-25、DirectMonitorスイッチは必ずOffにすること。
  • PC……普通の(?)自作機。
  • ミキサー……バス2チャンネル以上のもの、何でもいいよ。
  • アンプ……1台をスピーカ1本の高低用に割り当てるのがよい……のだけれど、高音側はリモコンがついたミニコンポのアンプ部分とか、そんなのでもぜんぜん大丈夫。
  • スピーカ……1.6KHz近傍に実質クロスが来る2WAYであれば何でもよさそう。個人的にはBehringerの同軸フロアモニターが一番面白そうだと感じていたり。
  • マイクロフォン……Behringer/ECM8000×1、ウーファーとドライバの真ん中あたりを狙います。距離は体尺で「ぴんと伸ばした中指の先から、肘まで」でいいんじゃないの?と思う。
  • ソフトウエア……WaveGeneでピンクノイズを出して、WaveSpectraで測定。
  • モニタ……(表示画面を少し傾けるので)液晶モニタがいいかも。

 測定時には、UA-25の入力片側にはWaveGene出力のピンクノイズをループバック(ワイヤーで配線、ミキサー経由でもいい、ただしXLR入力は(ファンタム絡みでの破損を防ぐために)しないほうが無難)して、もう片方の入力にはBehringer/ECM8000で集音したものを導入(UA-25背面のファンタム電源スイッチは忘れずにOnにすること)。


 これで、まず「WaveGene出力のピンクノイズ」をループバックさせて、オリジナルのピンクノイズをWaveSpectraで表示させます。で、ピンクノイズは右下がりになるような傾きで表示されるので、液晶モニタは逆に右側を少しあげて、ピンクノイズの線が水平になるように表示させます。
 「物理的に傾ける意味なんてないだろ」とか思われるかもしれませんが、人間の認知システムは「きちんとした水平・垂直からのずれは容易に検出できても、傾いているもの同士の差はあまり細かく検知できない」という癖があるので、ディスプレイを傾けてしまうのが一番手っ取り早いわけです。
 ……で、ディスプレイの傾きが決まったら、次は実際に音を出して、Behringer/ECM8000経由で集音した音をWavespectraで見ます。
 「耳で聞いたときに高音が耳につきすぎる状態」では、クロス周波数のところに段差ができて、高音側が低音よりも大きな音量で再生されていることが観察できるはずです。
 「耳で聞いたときに高音が少なすぎる状態」では、クロス周波数のところに段差ができて、高音側が低音よりも小さな音量で再生されていることが観察できるはずです。


 バイアンプ接続、あるいは高音ドライバ側へのアッテネータ挿入などによってこの段差をなくす場合は、マイクロフォンを使った測定でも大体は合わせることができそうです……が、厳密な調整となると「耳は測定されたとおりではなく、認知されたとおりに音を聞いている」という都合があります。
 現行の測定方法であわせこむのはちょっと精度が足りないと思いますが、これは単純に「もう少し精度のよい測定方法をつくり、いい加減な耳の認知具合を再現できるような2バンドアナライザを作ればいいだけ」なので、耳に頼らず電気的に測定する……というような「工業レベルで実施可能な調整」ができるはずです。
 そもそもスピーカ自体や内蔵ネットワークにも誤差が数パーセントずつ含まれている……という都合があったりして、コスト的にどうか?という問題はありますが、アッテネータ部分を工夫して「レーザートリミングで調整できる形にする」ことにより、(工業的に生産する場合に限っては)比較的短時間&高精度に調整済み製品を製作することが可能だと思われます。


 ……って、このあたりの調整方法は古くから「マルチアンプ駆動」とか言われてきた分野そのものなので、別に新しい概念ではないですな。
 もともと既製品のパッシブネットワーク対応スピーカが【大体あってるけど、微妙にずれている】ようになってしまう原因というのは、「設計時の理想部品と、現実の部品とには差がある」ことと「現実の部品には公差があって、設計どおりドンぴしゃの値になっているわけではない」あたりが絡んでいるので、バイアンプ対応スピーカなどで「ほんの少し高音側と低音側のバランスを変えてやって、設計時に近いバランスが出るようにする」ってのは、まぁ調整としてはアリなのかも。


 問題は「スピーカケーブルだけで、同じようなことを再現できるかどうか」なんだよなぁ。
 スピーカによって「どのくらいの長さのケーブルで鳴らすことが想定されているか」というあたりが異なるのかもしれないけれども、少なくとも「Belden8460をちょっと長く引っ張ると(以下略)」ってのは(私には)検知不能だったから、いまいちピンとこないというか。

測定画面サンプルその3。

 マイク1本撮りにしたときの様子(スピーカに対して「中指の先から肘まで(約460mm)」の距離だけ離してます)。

 これも、赤線ではドライバが製品接続とは逆の相です。
 電気的には「位相をぴったり合わせるほうがいい(製品と同じようにドライバを逆相にするほうがいい)」はずなのだけれど、聞いているとなんか違う感じがするんですよね……原因がほかにあるような機がするのだけれど、今のところ何が原因なのかがさっぱりわからず。

 ……うーん、全高調波歪率(特定周波数を鳴らしたときに、その倍音の帯域にひずみが出る)はあまり気にしなくてもいい(そんなものは楽器でも出る)けど、それに関係しないひずみ(混変調歪率に関連するものと、それに無関係なS/N比で表現されるものとがある?)は影響しそうかな。
 MySpeakerでは高調波歪を細かく測定できるようになっているのだけれど、実際にスピーカで困るのは「高調波を除去した、それ以外のノイズ」なのかもしれない。

とりあえず疲れた。

 だからローマ字入力って苦手なんだよなぁ……かえでライティあすか配列の設定をしてから書けばよかったのだということに、いまさら気づいてみたり……orz。