無停電電源装置の逆で「積極停電装置」を作れば良いじゃん……ッてゆーか、それ以外はコスト的にペイしないよ。

 電気ヲタとしていうならば、『遅延遮断ブレーカーなんて、そんなアブナイ代物が付いた家に住みたくないよ!』って感じ。
 電車ヲタとしていうならば、『赤信号、冒進すれば怖くない……って、んなわけないだろ!』って感じ。
 ……さすがに「人力注視に頼って安全を確保する」ってゆー『弱い安全』方針では、問題が大きくなる気がするんですよね……。


 パソコンについてはUPSをつける……とかいろいろ方法がありそうだけれど、UPSだって「バッテリーが腐ってたらアウト」なんだし、根本的な解決になんてならない。
 しかも、「落ちては困る機器」ってのは増える一方だから、「落ちては困る機器にUPSを付けまくる」方式では、将来的に優先順位管理とかが必要になるのは目に見えてる気がする。


 ……ってことで、わたしとしては、以下の方法を提案したい。

  • 「積極停電システム」という名称で、以下のパッケージングをする。
    • 「積極停電」対応の配電盤……内部にPLCホスト機能が付いていて、「積極停電」対応クライアントに対して屋内配線に対して「ブレーカーが落ちない程度の電力使用量である場合に限って」受電許可信号を送る
      • 「積極停電」対応の配電盤はLAN接続可能になっていて、WAN経由で電力会社からの「計画停電」または「計画節電」信号を受信して、「積極停電」対応クライアントに対して屋内配線に対して「停電」もしくは「節電」を指示できるようにする。この機能を有効にしている家庭では、計画節電/計画停電の実行量に応じて電力使用料金の割引を行う*1
    • 「積極停電」対応の受電端……PLC内蔵の「自動ブレーカー」として、PLCホストからの「受電許可信号」を連続受信している間のみ、後続機器に対して電力を送る(許可信号が載っていない時は、後続機器への電力供給を停止する)。
      • 当初は対応機器なんて無いので「積極停電クライアント電源タップ」と「積極停電クライアント壁面埋め込みタップ」からリリース。これに「短時間なら死んでも影響がない大電力機器」を接続する(復帰時に一斉Onすると、突入電流が増えて本格的にトリップすることも考えられるので、一つずつ時差をつけてゼロクロス復帰させる)。
      • 「積極停電」対応の配電盤が増えてきたときには、「積極停電クライアント内臓の大電力機器」が増えると思う。

 ……って感じ。
 ポイントはあくまでも【死んでは困る機器を保護する】のではなくて、【死んでも良い機器を優先的に殺す】こと……これが一番肝心。
 大電力を食う機器は、家庭内にはそうたくさんあるわけじゃない……から、そいつらを「積極的に保護対象から外す」ようにするほうが「早くて安くて確実」だし、それで十分に「そのほかすべて」を保護しやすくなる、と。
 解りやすく説明したいなら、マスコットキャラクターは「トカゲ」にして、「トカゲの尻尾切り方式」って説明すれば良いじゃん。まさにその考え方で「選択と集中」をやって危機?を乗り切ろう……って考え方なので。


 PLCの規格自体は決まってるから、あとは「電力制御専用のパケット規格」とかを業界団体が作って、さっさとJIS化→ISO化してしまえば良い。
 それでなくても原子力発電所の停止が多くてグダグダになってるってゆーのに、これ以上火力発電所の中の人にばかり負荷をかけてはいられない……ので、発電側だけではなく「需要家側」にもこういうのが必要じゃないかと思う。


 企業系だと「電力デマンド監視」をやって、夏場に空調を自動停止させたりしてる……けど、あれを家庭版にリプレースするようなものを基本にして、それに対する付加価値として「過負荷時の優先受電遮断機能」を付加してあげるほうが、導入する側の家庭にとっても使いやすいと思う。
 下手に「スマートグリッド」とかのワケワカランもので突っ走るよりも、もっとシンプルに「賢い計画停電/計画節電」って感じで行くほうが、国策でやるにしてもやりやすいんじゃないかな、と思う。


 ……ってことで、パナソニック電工あたりに、こーゆーのをさっさとつくっほしいなぁ……。


 #契約電力量を超えた時点で「即時ブレーカーを作動させる」こと自体を滞らせる……ってのは、安全軽視の考え方になる&契約電力モデルが破綻するので、電力会社は絶対に認めないと思う。応急送電時の小さな失敗とかもあって、そのあたりは徹底するだろうな……と。だったら「ブレーカーのパターン曲線にひっかかるよりも前に、積極的に電気を止めて良い機器」を電気的に指定するほうが良いじゃん、目的は果たせるし……と。もちろんこれをやっても「ほんとのショートとかでヤバイとき」には、若干タイムラグが出るけど従来どおりに即遮断できるはずだし、漏電についてはタイムラグなしに遮断するべきところで。

2011年3月21日10:03:41追記。

 小電力機器向けソリューションとしては、違う目的の為に同じ成果を達成してるものとして、↓がある。

 これを「利用者個人」が制御するんじゃなくて、「電力会社が」制御するようにすれば、わざわざスマートグリッドを構築しなくても「機器選択停電契約」は実行できる。
 これ単体の制御容量は小さいけど、制御容量が必要なら「リレーをかませてから遠隔操作装置付ブレーカに接続」で済む話だし、突貫工事でも電力網に対する問題は出ずに済みそうな予感。

*1:「停電」ってゆーとネガティブなイメージがあるけど、「機器を能動的に選択した上で機器選択停電を受容する」ってのは、いまのエコ詐欺エコ商法と合致するし、オマケ機能が需要家のために役立てばWin-Winな状態になる、と。いま昼間ピーク需要を均す方法としては「夜間電力を使う方法」とか「ノートPC内蔵タイマーを使う方法」とかがある……けど、それで間に合わない部分には「機器選択停電」が効果を発揮しそうな気がする。