理想のATM用50音けん盤配列とは。

(言及:328. タ行はどこだ?〜銀行ATMの50音キー配列〜)


 「使いやすさ研究所」というページのコンテンツとして、「使いやすさ日記」というものが公開されています。
 製品設計やIndustrial Engineering関連に関わっている人は、一度全ての日記を精読してみることをお勧めします。
 ……って、そこの紹介をするのが今日の目的ではなくて。


 せっかくトラックバックできるようになったので、328. タ行はどこだ?〜銀行ATMの50音キー配列〜に関してちょっと一言述べさせていただきたく。


 私はこの手の振込み用インターフェースを使ったことがない*1のですが、ぱっと見て【アレッ?】と思ったことが。


 私がこういうシートを作るとなると、必ずこういう風に作るだろうなぁ……という形と、ほぼ鏡面の配置になっているのです。
 とりあえず書いてみます。


【先頭1文字を打つための50音鍵盤】

   
 
   
 

 ……ディスプレイに鍵盤を乗せる領域が横に広がっているという事情から、鍵盤の表示方法が「縦に行を、横に段を」取っています。
 そうすると、普通の人は「縦書きである」と認識するはずです。
 縦書きの場合、日本語における書記方法は「右上→右下、左に改行してまた上→下、また左に改行して……」となるはずなので、例示された3つの銀行での表示方法では違和感が出てしまう気がしています。
 #どの銀行も同じようなので、銀行間での「表示に関する取り決め」があるのかもしれないですね……うーん。


 それともう一つ……配色について。
 「りそな銀行」のそれは一見わかりやすく見えるのですが、「誰にでも読みやすい」のか?というと、それは少し違うかなぁ……と。
 私が色弱持ちな為かどうかは良く解らないのですが、りそな方式では「黄色が下に配色されているキー」がとても目うるさく感じ、なにかの「警告」でもあるのだろうかと不安になりそうだと思いました。
 「みずほ銀行」の場合はその問題はないものの、フォントが明朝体風になっていて、もう少し太いフォントで表示して欲しい気もしますし……。


 個人的には、

  • 配色とフォント──「びわこ銀行」方式
  • キーの形──「みずほ銀行」方式
  • キーの配列──上記の表に掲げた方式

あたりが理想かな、と。


 色弱ユーザに対する配慮として、配色検討をする際に「黄色フィルタシート」「赤色フィルタシート」「青色フィルタシート」(いずれもセロファンシートにあるものでよい)のうち1枚(あるいは別色を2枚)を画面にかぶせて、それでも読み取りが辛くならないかどうかをチェックすると良いかもしれません。
 色々テストしていただければ、最終的には「無彩色・中程度〜高コントラスト」しか残らないはずですが、たぶんそれでよい……ハズだと思います。


 それと、どうしても工夫を加える必要がある……という場合は、振込先の一文字目として指定されうるカタカナの「出現頻度」を調べて、高い頻度で使われるキーのみを「少し大きめのキーとして表示する」と良いかもしれません。
 狭い画面で「全ての文字を大きく表示する」のは難しいのですが、「振込先名としてありがちなひらがなのみを大きくする」のであれば、うまくいくかもしれませんし。


 それにしても、こういう違いはどこから生まれてくるのでしょうか……全てがユーザビリティテストを受けて選別された結果なのか、あるいは始めに企画ありきだったのか。
 ユーザインターフェースの世界って、ほんとに不思議です。

今日の一言。

 【きちんと3つを撮影して掲示している】ところが凄い。
 普通は「一つだけを掲示して終わり」なはずですから。

*1:振込み時に毎回同じ操作をするのは面倒なので、銀行支店の店頭で「磁気ストラップ付き紙カードの振込み券」を作成してもらい、それを使っています。