(メモ)親指シフトキーの「幅」と「高さ」。
親指シフト方式の配列にとって、親指シフトキーはとても重要……というのは当然の話、と*1。
この点から、「幅」と「高さ」について、別々に見ていくと……
幅の問題。
これはもう「親指シフト方式か否か」という点よりも「鍵盤配列がどう対応しているか」と「打鍵者自身がどう打ちたいか」の2つに依存しているような。
鍵盤配列については、ダメな鍵盤配列であれば「親指シフトKBを使ってもダメ、たぶんμTRONキーボードやKinesisキーボードなどを使ってもダメ」なはずですし。
基本的に、「普通の日本語JISキーボードで使われることを前提に設計された」親指シフト系配列であれば、「普通の日本語JISキーボード」で使って問題が出るはずはない……と、これは【建前】でありつつ【設計者にとっての本音】という二重定義な話で。
打鍵者適性については……これはヒューマン・マシン・インターフェース(ハードウェア側だけではなく人間側の都合も出てくる)の問題なので、言葉でどうこう表現できる話ではないような。
親指を伸ばし気味にして親指キーを押したい方は「中央に親指シフトキーが寄っているほうが好み」のはずですし、親指を曲げ気味にして親指キーを押したい方は「スペースキーの両端に親指シフトキーがあるほうが好み」でしょうし。
この部分については配列にはあまり関係がないので、配列と絡めて説明するのは原理的に無理なのではないかな……と、いまのところはそう思っています。
#たぶん、「位置」の問題も絡んできますね。
高さの問題。
近年のエルゴノミクスキーボードでは、手前側をあげる(親指はほかの指とは違って指の側面でキーをたたくので、それについての負荷を軽減する狙いがある)方向が主流になりつつあるようです。
最近シャドールームさんでThinkPadのキーボードに関する話(スペースキーが若干かさ上げされている)が出ていたのですが、これもその一例といえそうです。
翻って、親指シフトキーボードで親指シフトキーがかさ上げされたのは「変換・無変換キーへの干渉を防ぐため」以外の理由が思いつかなかった(というか、ユーザビリティ的な理由でかさ上げしたという話を読んだことがない)のですが……この部分については、もしかすると
NICOLAについては、設計者である池上さんの「類稀なるセンス」によるところが大きいのかもしれません。ヒューマンインターフェース株式会社という HID関連の社長さんになっていらっしゃるようで、もともとこういったことを「商業レベルに見合うクォリティ&スピードで」解決する才能がある方なのだと感じました。
(from http://d.hatena.ne.jp/maple_magician/20071104/1194166051#c )
というところが本当の理由なのかもしれません。
(見落としがなければ)神田さんの書籍にも古瀬さんの書籍にも、この点についての言及はなされていなかったはずです……というか、NICOLAの設計者さんが記述にかかわっていないのであれば、この点が出てこないとしても不思議はないのかもしれませんけれど。
……ただし、この点は「鍵盤の奥側を上げる」という「使い慣れたインターフェースとの決別」を意味するだけに、ユーザビリティの観点から言うと微妙なのは気にかかります。
それと、実際に狙って「手の形状を観察した上で、あえて親指シフトキーボードをかさ上げした」……という仮説は、親指シフトキーボードに「鍵盤の奥側を上げるための機構が備わっている(それを許容している)」時点で嘘、ということにもなりえる*2ので……ますますわけがわからないんですよね……orz。
親指シフトキーボードについては、
- 「親指シフトキーだけがかさ上げされていることが重要」
- 「キーボードが手前ほど上向きになっていれば代替できる」
のどちらが本当なのかという点について、何らかの実験を必要とするのかなぁ……と思っていたり。