今日のまとめ:単電源仕様の半導体ヘッドフォンアンプ……というか、単純に無帰還・無利得な「定電流ドライバ型ダイヤモンドバッファ」を設計してみた。

 (注意!!この回路をそのまま使わないでください!)


 ……とは言っても、完全オリジナルではなくて。
 情熱の真空管で公開されているDC12V版差動ヘッドホン・アンプの「ダイヤモンド・バッファ」と「定電流回路(と、その極性を逆転した回路)」を組み合わせただけだったりします^^;。
 「流用できるところは最大限に流用する」というポリシーは、キー配列の設計(?)と同じく今回も生かしています。

 これは実際に組んだ回路を回路図エディタ(BSchとか)で描画したものではなくて、回路シミュレータのLTSpiceを弄っているうちに思いついた回路を組んでエミュレートチェックのみを行ったものです。
 この回路だけを見ても動作原理は良く解らないよ……という方でも、ぺるけさんのDC12V版差動ヘッドホン・アンプにある回路図を理解してからこの回路図を見直せば「ああ、なんとゆー無謀なことを!」とかご理解いただけるはずかと^^;。


 回路シミュレータにはシミュレータなりの問題点がありそうな気がする(って、ここもキー配列のそれと似ているような)のですが、計算上の性能は次のとおりとなります。

  • 16Ω純抵抗負荷で増幅率は-1.6dB、3dB降下点は下側が90Hz(上側は素子と実装に依存)。
  • 32Ω純抵抗負荷で増幅率は-0.8dB、3dB降下点は下側が50Hz(上側は素子と実装に依存)。


 使う部品は、ステレオ構成(回路図の全部品)をとる場合は以下のとおり。

  • 入力用端子……1組(RCAジャック2個なり、TSRジャック1個なり…を、用途に合わせて)
  • 入力側負荷抵抗──50kΩ……2個
  • 入力側直流素子阻止コンデンサ──2.2μF……2個(トランジスタに近いほうが+側です)
  • 入力側バイアスコンデンサ──100kΩ……4個
  • エミッタフォロワドライバの電流源用負荷抵抗──10kΩ……4個
  • エミッタフォロワドライバの電流源用制限抵抗──150Ω……4個
  • 回路上で使用するNPNトランジスタ──2SC1815……8個(お好きな素子を使ってください)
  • 回路上で使用するPNPトランジスタ──2SA1015……8個(お好きな素子を使ってください)
  • 出力側直流素子阻止コンデンサ──100uF……2個(トランジスタに近いほうが+側です)
  • 出力側ヘッドフォンジャック──6.3φまたは必要な径のTSRジャック……1個
  • 各チャネル用の電源電解コンデンサ──1000μF……2個
  • 各チャネルと電源を区切るための抵抗──33Ω……4個(1V×29mA=29mWなので1/4W型でよい。ショート時の保護用も兼ねているので、なるべく省略しないほうがいい)
  • 両チャネル共通の電源電解コンデンサ──470μF……1個
  • ACアダプタ用の電流制限抵抗──4.7Ω……1個(12V×60mA=0.72Wなので、22Ω1/4W型を5本並列にして代用しても良い。ショート時の保護用も兼ねているので、なるべく省略しないほうがいい)
  • 12VのACアダプタ用電源ジャック──EIAJ #4 (10.5〜13.5V)……1個
  • ACアダプタ──12V、EIAJ #4プラグ付き……1個
  • 電源スイッチは適宜つけるほうが良いかもしれません。
  • 入力側に数十pF程度のコンデンサを並列に入れて、入力側機器が無接続な場合の発振を止める必要があるかもしれません。
  • 適宜、出力側に高域遮蔽用素子を必要とするかもしれません。


 ……って、ここまで計算しておいて*1作る気がさらさらないというのでは……ダメじゃんorz
 ちなみにこれ、「見た目で」各段の「正弦波が」崩れていないことは確認しましたが、それ以外のチェックは何もしていません……ひずみ率は不明、矩形波による応答確認もしていない……って、こんなのじゃダメだよなぁ……。

注意事項

 真に受けてそのまま実装すると、たぶん出力段のトランジスタが「焦げます」。もしかすると焼け落ちるかも。
 素子の定格についてはまったく考慮していないので、実用にならない……というわけでして。
 今日は回路シミュレータの使い方を理解するだけで精一杯だったので、正直言ってそこまで頭が回りませんでした……orz

注意事項その2

 出力側コンデンサ(C4,C1)の先にはRL(ヘッドフォン負荷)しか描いていませんが、実際にはRLと並列に10kΩぐらいの抵抗を並列に接続しておくとよいかもしれません(ヘッドフォンジャックに半田付けしても良い)。
 この抵抗は、ヘッドフォンが繋がれていないときに電源を投入された場合、出力側に静電気が溜まり放題になるのを防ぐために使われます。仮に静電気が溜まり放題になると、ヘッドフォンを繋ぐたびにヘッドフォンへと過渡電流が流れたり、ヘッドフォンジャックとヘッドフォンプラグの間でショートを起こしたり……と、色々なトラブルを招く恐れがあります。


 Q12→C4→Q13、Q4→C1→Q6の「→」の部分には、普通は抵抗器を挿入します。
 ふつう導体は温度が上がれば抵抗値も上がって電流量を減らす(どこまでも温度が上がり続けたりはしない)のですが、多くの半導体は温度が上がるほど抵抗値が下がって電流量を増やす(どこまでも温度が上がり続ける)性質があり、それを抑制するために抵抗器(この回路だと1〜33Ωぐらい)を挿入します。


 ……というか、それ以前にB級増幅でいいのだろうか^^;
 再考の余地ありまくりですな。

*1:いや、実際に計算したのは回路シミュレータですけど。