モダプツの基本は「一切座るな!」でも「一切立つな!」でもなくて「一度座ったら座りっぱなし・一度立ったら立ち作業をまとめて済ませてから再び座れ!」である。

(※注意:これは MODAPTS Novice の戯言なので、本気にしないように……)


 なぜこういう理屈になるのかというと、人というのは「長時間の同一姿勢保持要求には適応できない」から。


 意味が理解できない人は、次の2例に注視しつつ「終業2時間前から終業時刻まで、一秒単位で」業態観察すること。朝や昼の値はアテにならないので注意。ワーストケースは終業間際なので、そこだけを見ればよい。
 作業者がストレッチをしていようがあくびをしていようが、ただ記録するだけ。

  • 延々と立ち作業をしている人の後ろについて、2時間=7200秒のうちストレッチング動作を何秒行ったかを見ること。
    • ストレッチングに要した秒数を8倍(8MOD≒1sec)すれば、MOD値としてMODAPTS解析にぶち込むことができる。
  • 延々と座り作業をしている人の後ろについて、2時間=7200秒のうちストレッチング動作を何秒行ったかを見ること。
    • ストレッチングに要した秒数を8倍(8MOD≒1sec)すれば、MOD値としてMODAPTS解析にぶち込むことができる。


 逆に、秒数換算でないと理解できない人は、MOD値を7で割れば8で割れば秒数が算出できる。

  • 座っている人が「立つ→座る」動作をすると30MOD=3.87秒(8MOD≒1secとすれば3.75秒)。
  • 立っている人が「座る→立つ」動作をすると30MOD=3.87秒(8MOD≒1secとすれば3.75秒)。
  • 「立つ」コストは15MOD=1.935秒(8MOD≒1secとすれば1.875秒)。
  • 「座る」コストは15MOD=1.935秒(8MOD≒1secとすれば1.875秒)。


 こうやってコスト計算してみると、「ストレッチをする・くたびれている」時間が「座る・立つ」の時間をはるかに超える場合すら出てくるわけで……場合によっては「座る・立つ」に置き換えてしまう方が適切な場合も出てくる。
 この見極めが出来ないと、「きちんと計算したはずなのに、なぜか設計どおりに物事が進まなくて……」という事態になるわけです。もちろん、考慮していないイベントが発生しているのですから、計算値から逸脱して当然なわけで。
 イベントが発生しないように注意喚起しても無駄ですよ!注意喚起しなくてもうまく行くように設計しなければ意味がないのですから。


 「時間」の次は「領域」について。
 座ったまま作業する場所ならば「上半身長さや腕の長さに依存する最適化」を行ってはダメ。
 立ったまま作業する場所ならば「本人の身長や腕の長さに依存する最適化」を行ってはダメ。
 両者に共通することとして「作業領域ごとにハードウェアインターフェースがまちまち」というのはダメ。


 ……と、こうなると必要になってくるのが「定時的な役割交換」という仕組み。
 一番身長の低い人と一番身長の高い人が無理なく同じに作業できて、身体能力の違いによって作業効率が制限されたりすることがなくて……という条件を満たそうとする場合、一番いいのは「全員が一通りの作業をやってみて、それを一番苦手とする人を基準に物事を決める」ということ。
 趣味と違って仕事は「やりたい人だけがやれれば良い」という話ではないので、ワーストケースを基準に考えないと必ず破綻する。


 「多能工化」は目的ではなく、ワーストケースを見つけるための手段なのです!
 多能工化をスムーズに行うためには「ハードウェアインターフェースの統一」「本質的にワーストケースに対応できる状態」が必ず要求されるので、(特定の話者のみが無理やりに持論を押し通すような状況を抑制すれば)自然と「なんとなく良い感じに統一される」はず。
 人間には「めんどくさい事を自然に回避しようとする能力」が備わっているので、下手にMODAPTS解析してヒラメキを押し付けるよりも、成り行き最適化の状況をじっくり観察するぐらいの余裕は持っておく方がいいはず。解析者の仕事は「押し付け」ではなく「ヒントの提示」であるべき。
 #MODAPTS解析を「結果を見るために使う、一方通行の評価関数」として使うのはよくても、「結果を得るために使う、双方向の評価関数」として使うとうまくいかない場合がある。


 うーん、理屈の説明が面倒すぎるから「コタツ理論」とでもするほうがいいのだろうか。
 寒くなると「めんどくさい事を自然に回避しようとする能力」が強く働いて「なるべくコタツから出ない・出てしまったときは一通り済ませてから戻る」となりがちな気がするし、それって「寒くなくても」適用できる話だから……。
 ああ、ついでにMOD値は「1MOD=0.129秒」と計算するのではなくて「8MOD≒1秒」「1MOD≒1/8秒」で計算するのがお勧めかも。自然数整数であれば概算を暗算で出来るし、もともとMOD値は定数なので多少狂っても支障がないから。


 ……「飛鳥カナ配列」の連続シフト方式が「コタツ理論」に基づいて構成されているのかどうかは謎ですよ?(ぇ。