親指シフトの「欠点(質問)」と「それに対する反論(回答)」

(未来:親指シフト(NICOLA)をかえで化した、「かえでにこら」の配列を確定。)
(関連:普通ローマ字入力の「欠点(質問)」と「それに対する反論(回答)」(不完全版→完全版に修正)。)
(関連:JISかな入力の「欠点(質問)」と「それに対する反論(回答)」(不完全版→完全版に修正)。)
(関連:【改訂版】普通ローマ字入力の「欠点(質問)」と「それに対する反論(回答)」。)
 本当は「ノート:親指シフト - Wikipedia」に書こうかと思ったのですが、明らかに邪魔になりそうなのでこちらに書いてみました。
 他の配列(あるいは全ての配列)に関しても類似のことが書けそうな気もするので、とりあえずここにメモ……いわゆるFAQをいくつか含んでいます。


親指シフトは何のために存在しているのですか?

  • ローマ字入力とJISかな入力になじめなかった方のために用意された、第3の選択肢です。親指シフトという選択肢が増えれば、その分だけ「タッチタイプを習得できる」方が増えるはずです。
    • 親指シフトを含めて特定の配列「だけ」が生き残ることはあり得ませんので(万能の道具などこの世には存在しないですし)、どうかこの「3つ目の選択肢についても」温かく歓迎いただきますようお願いいたします。



親指シフトは親指を酷使する。使用し続けると腱鞘炎などにかかるのではないか?

  • もしも親指シフトが親指の腱鞘炎をもたらすならば、今頃親指シフトという入力方式は「全てのユーザから見放されて」いるはずですし、今ここ*1に「親指シフトという記事」は存在し得ないはずです。
  • スペースキーや親指シフトキーは親指の側面でボタンを押します(ここは「叩く」という表現も可)。それに対して、携帯電話やゲーム機のボタンなどは親指の先端でボタンを押します。このような操作方法の違いが、痛みの有無を生んでいる可能性はあるかもしれません。



親指シフトは特定企業の専有物だ。これをJIS規格化する提案など言語道断!



親指シフトは一本指打法では打鍵できないではないか。片手でマニュアル(注:カロリーメイトなどでも可)を持ちつつ打鍵できない様では、いざという時に使い物にならない!

  • 「一本指」打法は不可能ですが、「片手」打法は可能ですので、ご要望の目的に添うことは可能かと。
    • JISかな/新JISかなでは「小指位置シフトを押しつつ文字キーを押す」という操作を片手で行い文字入力することができますが、これと同じく親指シフトでも「親指位置シフトを押しつつ文字キーを押す」という操作を片手で行い文字入力することができます。
  • 規格上は一本指打法も実装可能です(実装されている端末は存在しませんが)。NICOLA 配列規格書 の項目「9.同時打鍵操作のアクセシビリティ対応」をご覧ください。
  • 「手持ちしつつ片手で打鍵」は時間を無駄に浪費する原因となります(大抵の配列は、2本指打法もしくはタッチタイプの方が断然楽に効率よく入力できます)ので、できれば置き場所を確保する(or食べる→手を拭く→打鍵する)方が良いと思います。
  • (2006年11月19日21:06:44追記)「繭姫」というツールにこちらの定義を読み込ませることにより、今すぐに「一本指打鍵可能なNICOLA」を実現できます。
  • (2010年8月1日15:59:55追記)「やまぶき」というソフトが、「JIS X8341-2 6.4.7 順次入力機能」に対応しました……ので、同ソフトで単独打鍵時の動作を「前置シフト」と設定すれば、1本指でも親指シフト入力をすることが出来ます。



JISかなと違って文字の並びがバラバラ!どこに文字があるのか分かりにくいよ。

  • 以下の項目を順に読んで探してみてください。
  • そのひらがなは小文字ですか?
    • よく使う小文字「ゃゅょっ」は各キーの右上に描かれていて、これらは同じ手の親指シフトキーと同時に順に「RFL;」キーを押すことで入力できます(押しやすい位置にあります)。
    • 一方であまり使わない「ぁぃぅぇぉ」は各キーの右上に描かれていて、これらは同じ手の親指シフトキーと同時に順に「QBZP/」キーを押すことで入力できます(押しにくい位置にあります)。
  • そのひらがなは「いうんらめね」のいずれかですか?
    • 各キーの右下に描かれていて、これらは単独で順に「LA;YN,」キーを押すことで入力できます。
  • そのひらがなは「濁点・半濁点」を付けることができますか(または付いていますか)?
    • そうであれば、目的のひらがなはキーの右下に描かれていますので、キーの右下のみを探してかまいません。
      • 濁点を付ける場合は反対側の手にある親指シフトキーと同時に文字キーを押します。
      • 半濁点を付ける場合は小指付近にある↑Shiftキーと共に押します。
      • そのままの文字を出す場合には、そのまま押します。
  • その他の「濁点・半濁点」を付けられないひらがなはキーの右上に描かれていますので、キーの右上のみを探してかまいません。
    • これらは、それぞれ同じ手の親指シフトキーと同時に押します。
  • ひらがなは、日本語文内の「かな」出現頻度が高いものから、概ね「中段→上段→下段」順に配置されています。見て探す場合は、まず中段から探し、次に上段を探し、最後に下段を探します



始めに覚えておくべきキー(文字)はありますか。

  • 熟語の漢字では、「いうきくちつん」が良く使われます。これらは単独で順に「LAUKOI;」キーを押すことで入力できます。ローマ字入力での「AIUEOYN」と同じく重要なキーですので、この7キーは始めに覚えることをお勧めします。
  • さらにローマ字の子音分12キー「KSTHMRWGZDBP」と同じ分だけ覚えておく余裕があるようでしたら、同じく高頻度で使う次のキーについても覚えておくと、さらに便利です。
    • 「かしすたてとは」は各キーの右下に描かれていて、これらは単独で順に「WSCEDJH」キーを押すことで入力できます。
    • 「っなにのま」は各キーの右上に描かれていて、これらは同じ手の親指シフトキーと同時に順に「;DUKO」キーを押すことで入力できます。
  • ここまで覚えましたら、一度文末で登場しがちな「です。ます。でした。ました。なので、ですが、」を練習するなり、打てない文字をとばしつつ漢字熟語の読みを打つなりしてみてください。
  • 後はひたすらタッチタイプ練習ソフトで練習するなり、実際に使用してみるなりしてみてください。
  • 暗記が得意でしたら、2〜3時間ほどの時間をとって集中して文字の並びを覚えてしまう方が有利かもしれません。



親指シフトキーボードではローマ字入力やJISかな入力ができないではないか。こんなキーボードは導入するべきではない。

  • それは誤解かもしれません。少なくとも、USB接続の親指シフトキーボードはソフトウェアの助けなしには親指シフト入力はできず、「普通のJISキーボード」として動作します(キーボードによっては、スペースキーと変換キーが逆に配置されているものもあります)。
    • つまりは「ローマ字入力・JISかな」の両方とも使える、ということで。
  • ソフトウエアさえ導入すれば、「親指シフトの文字がプリントされていない」キーボードであっても、「親指シフト用キーボード」と同じく親指シフト入力ができます。この場合、親指シフトキーの位置は特に決まっていませんので、押しやすいと思う位置を自分で選んで親指シフトキー設定することになります。
  • 親指シフト入力ができる環境であっても、おおむね「ひらがな」キーを押すだけで「ローマ字入力」と「親指シフト入力」を切り替えることができます。



親指シフトを使えば、誰でも幸せになれますか?

  • それはあなた以外の誰にも予測不可能です。しかしながら、試してみる価値はあるかもしれません。



かつて親指シフトを練習して、挫折したことがありますorz

  • まずは取り組んでいただきありがとうございます。そしてお疲れ様です。
  • 再び取り組む機会がありましたら、練習方法や教材を変えてみると良いかもしれません。
    • 親指シフト向けの教材・練習方法だけではなく、他の入力方法で使われている練習方法も参考になります。



新たな入力方法など覚えられる気がしないのですが。

  • かなを出すために必要な手順の数は、JISかなと同じ・拗音を含めたローマ字入力よりも少ないです。
  • あなたがもしどちらかで既に文字入力できるのであれば、(キーボードのたたき方は解るわけですから)全くキーボードに触ったことがない方よりも早く習得できます。
  • 今「練習中」の親指シフトと、今「使い慣れている」入力方法を比較しないでください。誰しも「使い慣れたインターフェースの方が良く見える」わけで、その比較は正しいとは言い切れませんので。



親指シフトの習得にはどの程度の期間を要しますか?

  • 人によって違うと思います。早い方では3時間、遅い方では1年以上。
  • 今お使いの入力方法を覚えるまでに、どの程度の期間がかかりましたか?おそらくは、それにかかった期間と同じか、もしくはもう少し短くなるはずです(キーボードのたたき方は解るわけですから)。
  • どの練習方法を選択するかによっても変わってくるかもしれません。



私は今、親指シフトに取り組むべきですか?

  • 他所のパソコンで快適に文字入力できる必要があるならば、とりあえず今現在普及している方法を試してみるべきでしょう。
    • それらが自分に合わないならば、毛色の違う「親指シフト」を試してみる価値はあると思います。まずは「自分が使うパソコンだけでも快適に入力できればそれでいい」と割り切ってみるのも、一つの方法かと。
  • 普及している文字入力方式で既にタッチタイプ(キーボードを見ずに入力)できるならば、そのままでいいのではないでしょうか。



私は親指シフト「だけ」を覚えるべきですか?

  • 英字配列はぜひ覚えるべきかと。
  • ローマ字入力かJISかな入力はできる方がいいと思います……「キーボードを見ながら入力」でかまいませんので、基本的な入力作法はぜひ覚えておくべきかと。
  • キーボードの「ひらがな」キーを押して、入力方法を切り替えできることを覚えておいて下さい。
    • できればキーボードかモニタに、このことを書いた付箋紙を貼っておく方が良いかと。面倒なトラブル(「ローマ字入力できねー!」と怒られる、とか)を回避することができます。
  • 自分のパソコンで使う文字入力方法は、自分にとって一番使いやすい方法を選択するのが良いと思います。
  • ちなみに、「ローマ字入力とJISかな」「ローマ字入力親指シフト」は使い分けしやすいようです。一方でなぜか「JISかなと親指シフト」は使い分けしにくいようです……人によって違うらしいので、確実にそうだと言い切れるわけではないのですが、とりあえず「2つも3つも覚えられない!」などと思い込む必要はないかと。



私はJISかな入力をしています。シフトが3種類もあると覚えられません!

  • 文字キーを離す前に反対側の手にある親指シフトキーを押し始めれば「濁点付き文字」として出てきます。始めのうちは「文字キー押す→親指シフトキー押す→文字キー離す→親指シフトキー離す」と操作するのも、一つの手です。
  • 小指位置にあるシフトキーを押しながら文字キーを押すと、半濁点つき文字が出ます。
  • JISかなの前身であるカナタイプでは、最下段「サヲヒコミモネル」のシフト側が「セソヘケムメヌロ」だったりしました。
  • 今のJISかなでも、【゜むねるめ】のシフト側は【「」、。・】だったりします……これらを混乱することなく打ち分けできるようでしたら、おそらく心配は要りません。文字キーと同じ手の親指シフトキーを同時に押すというのは、大体これらと同じ感じで打ち分けできます。



私はローマ字入力をしています。シフトが3種類もあると覚えられません!

  • シフトが多い替わりに、その分覚えなければならない組み合わせの数は少ないです。
    • 拗音節を出すときに戸惑う(ローマ字の綴りを忘れてしまう)ことがある方や、携帯電話の「かなめくり入力」を使いこなせる方ならば、かえってJISかなや親指シフトのような「かな系」の方が合っているかもしれません。



○○入力方式は優秀であり、××入力方式は劣っている!これは定説だ。

  • あなたは××入力方式が嫌いですか?
    • ××入力方式で実際にタッチタイプできるようになってから、そういう言及をすることをお勧めします。
      • 使ってもいない××入力方式についてあれこれ文句を書いたとしても、あなたの批判にはまったく説得力がありません。
      • 使ってもいない××入力方式との比較文章を書いたとしても、あなたの説明にはまったく説得力がありません。
    • あなたがもし○○入力方式と××入力方式を両方使いこなせるのでしたら、どうか両方の利点と欠点をなるべく公平に記述願います。
      • 「あなたとは違う結論に至った人が見ても納得できうる指摘」が多くなされていれば、その指摘は多くの方にとって有用となるはずです。



なぜFAQがたくさんあるのですか?

  • 四半世紀にわたって、延々とこのようなやり取りが繰り返されてきたからです。
  • ここをお読みの方にだけご理解いただければ、それでOKなのです。細かいことを気にしてはいけません。

【2006年1月4日14:19:25追記】azukiさんから頂いたコメントに従い、一部追記してみました。

【2006年1月7日19:22:59追記】珠洲さんから頂いたコメントに従い、一部追記してみました。

*1:注:当初はWikipedia用に書こうと思っていました。