中指シフトと親指シフトの関係。

 ……これはシンプル*1だよなぁ、と。


 シフトキーって、「付け足し」じゃマズイよね、というところは、配列作りに苦労してきた人なら、すんなりと理解できると思う。
 ……で、「では、どこに、シフトキーをつけるべきなの?」ってゆーところについて、「花配列」などでおなじみの富樫さんは、こう書いていらっしゃる……と。

シフトキーは本当に「付け足し」なのだろうか?


仮に33鍵を使って仮名文字63字を配列し、高頻度の33字を(シフトしない)ノーマル側に置き、残り30字をシフト側に追いやるくとすると、シフト操作を必要とするこれら30字の低頻度文群の総使用頻度は約14%になり、これにともなうシフトキーの使用頻度は約12%にも達する。これを左右ふたつのキーに担わせるとしてもそれぞれ約6%の使用頻度となり、これは最高頻度文字である濁点「゛」(約10%)に次ぐ頻度でありその次の「い」(5、7%)を凌いでいる。仮名文字の使用頻度からみるかぎり、シフトキーは文字キー領域の外縁にとってつけるような「付け足し」などではなく、最重要なキーであることがわかる。


そこで、「シフトキーに最も良い場所を与える」という方針を打ち出す。器用に動くということと最も長いという条件から中指を使用することとし、さらに中指のホームポジションである(Qwerty配列の)「D」と「K」の位置にシフトキーを置くことにする。つまり、シフトキーを最上席である文字領域の中央に誘致することから仮名配列の設計を始めようというのである。
(from http://homepage3.nifty.com/togasi/hana_no_kuni/index.html )


 これをみたときに、親指シフト系の配列を使っている人たちが、どういう反論をするのだろうか……ってところは、想像してみたけど余り面白いものではなかった*2ので、とりあえず端折ってみる、として。
 私が実験的に感じてきたところを元に、同じコトを「かえであすか」について書いてみようとすると、たぶんこうなる、かなぁ……と。
 #「かんがえなしです解説」をやるので、数字についてはキニシナイでください。

 シフトキーは、「つけたし」なのか。


 シフトキーは、キー配列によって利用率が大きく振れる。
 とくに「かえであすか」では、左右のシフト押下率がそれぞれ25%に達する勢いなので、こんな爆弾を文字領域に置いたら「マトモに配列として機能するわけがない」という事情を抱えている。


 こういう爆弾を抱えてもなお、何とかなってしまう魔法は無いだろうか……と考えたときに、着目したのが「親指」である。
 親指は日本語入力において「遊んでばかりいる駄目指」だが、分かち書きをする言語では結構酷使されていることが知られている。
 たとえば英語の場合、平均単語長を4〜5文字の間とすると、スペースキーを5〜6回に1回打っていることになる。片親指当たりの打鍵率で言うと12%くらいであり、同等の負担なら余裕でこなせると推測できる。
 「かえであすか」では、高すぎるシフトキーの上下動負担を「押し続けるor離し続ける」に近づけるように動作改善することで、親指への負担度が過負担にならないように調節したものである。


 シフトキーは、決して「付け足し」であってはならない。
 また、シフトキーが「どこに」置かれて、「どういう風に」操作されるべきか、という点は、配列設計そのものと同時に行われなければならない。
 配列がエンジンであるならば、シフトキーはミッションシステムのようなもの。配列の性能を生かすためには、シフト方法に合わせた文字配列設計をするか、文字配列にあわせたシフト方法設計をする必要がある。
 

 ……うーん、「狙ってもいないことを堂々と書いてる俺って駄目じゃん」って感じですね……しかも発生順序が逆だしorz。
 ただ、なんとなく「飛鳥系の配列って、逐次シフトとか文字キーシフトなどの技術と組み合わせるには向かないんだな」ってところを再確認しただけ、というか。


 それにしても、「Shift=ずらす」って考え方をした、大昔の発明者はすごいですね……これがなかったら、日本語配列系の配列開発も相当遅れていたんじゃないかと思う。

*1:「片方に優位性がある……って言い切れるものじゃない」という意味において、の話。

*2:新JISかな・花配列の「シフト側」と、親指シフト系配列の「シフト側」とそれぞれについて、どういう頻度の文字集合を作っているのか……ってところを理解できてる人なら、絶対にやらないような「頓珍漢な反論」が出てきておしまい(中指シフト系は新JISかなの流れを汲む交互打鍵性を求めるけれども、親指シフト系では違った考え方で交互打鍵率を取っていくことになる、ってところを理解できてないと、マトモな反論なんて無理!)……になりそうな気がする。さらに「TRONかな」と「新JISかな」の近さについても知ってる人なら、もう少し深いところ(おなじ低頻度面をもっていても、交互打鍵率の目標とかが違うので、配字指針ががらりと変わること)に突っ込めるはず……なのだけれど、残念ながら私は逆方向の「かえであすか」を使っていたりするので、そっち系の表現はうまく出来ないんですよね……。