スピードワープロ(ステノワード)に関する嘘偽りあるテキトーな考察(#ツッコミ大歓迎)。

 
 まずは、ステノワード用キーポードの「キーボード拡大図」をご覧下さい。
 次に、基本的な入力方法をご覧下さい。
 そして、スピードワープロ研究所の説明をご覧下さい。


 最も重要な点は「速記の記述要素を分解し、それらを同時押しして表現するもの」であることと、「ワンアクションで多数の文字を入力すること」にあります。
 ちなみにこれ、よーく見ると「親指シフトタッチ16の合いの子」のような気も…しませんか。
 注目すべきは「ワンアクションで最大で20文字が打鍵できる」事ではなく、「300字以上/分の入力ができる」事ですな。…でも15分交代だとか言う話も見たことがあるので(これはほかの字幕系でも同じらしい?)、ずーっと正確にこの速度で打つのは無理でしょうけど…いや、これはJISかなでやっても同じか。


 ハードウエア的には、先の写真を見ながら先の基本的な入力方法をご覧下さい。


 この写真と入力方法を見ていて面白いと思うのは、「基本的な親指シフト操作がNICOLA的だ」という事です。
 たとえば「か」を表すには、カ行を意味する「f」と、ア段を意味する「j」を同時打鍵する…つまり「fj」の同時打鍵で「か」が出ます。
 カ行の裏(ストレートシフト)はマ行でして、子音は左に集まっています。当然(?)子音側のシフトキーと、裏にマ行がある「f」と、ア段を意味する「j」を同時打鍵する…つまり「←fj」の同時打鍵では「ま」が出ます。
 濁音に関しては何も書かれていませんが、NICOLAと同じ考えであるとすれば「左手小指を押しつつ他のカナを同時打鍵すると、必ず濁音になる」なのかもしれません。


 文字キー10個の両サイドにあるキーは、「バックスペース・前候補・文字コード(?)」「改行・改ページ」ですから、これは文字入力には使えませんね。
 それから下段の「、・スペース・←区切変更(?)」と「。・スペース・区切変更→(?)」については、確か単独で叩くと読点・句読点になるはず(去年見たページが見つからないのです。)なので、両方同時に叩くと空白になるのでしょう。
 半濁点はどうやって入力するのでしょうか?濁点付き文字にはストレートシフトが要らないから、「濁」と「←」なのか?
 キー間の「無変換・数字」と「変換・カタカナ」は、同時打鍵では文字シフト用で、単独では変換・無変換かな。
 ひらがな・英数キーが文字センタ上にあるから、英字モードでは「右シフトでqwertyuiop」「無シフトでasdfghjkl;」「左シフトでzxcvbnm'"!」かな。
 

 …って、入力規則については推測する意味がないので、ひとまずどーでも良いとして。


 どうやら、基本的には「12ビットのデータをパラレルで突っ込む為のキーボード」という趣っぽいですね。
 打つ人は速記記号の代わりに同時打鍵でキーを打って、ソフトウエアの側で即座に反訳する…というシステムということですな。
 通常の速記では反訳も人がやらないといけないけど、反訳だけを自動化したのがこのシステムの肝なのかもしれない。
 (自動化可能な反訳部分を自動化することによって、速記的なスタイルでの高速文字送出が可能になった、ということで)


 同時打鍵だから単なる12ビットレジスタと考えればいいわけで、人差し指に割り当てられたキーはどちらか片方しか打鍵できない(左右の人差し指に当たるキー…つまりfgとhjに限っては、常に片方しか同時打鍵に加えることができない)と。
 ええと…最大で2^12=4096通りだから、これよりは明らかに少ないはずだな(ごめんなさい…単純な計算のはずなのに…何通り減算するべきなのか解りません…ううっ)。


 …って、そりゃ数千通りもあれば色々なパターンがつっこめますな。
 もう↑の計算ができずに凹んでしまったので、今日はひとまずこれまで。


 #この記事に関しては激しいツッコミも歓迎です…というか、できればステノ絡みの公開可能な情報をお教えいただけると非常に嬉しいです。

翌日になってようやく解った…。

 0 00000 00000 0 から 1 11111 11111 1 までで12ビットですな。
 ただし、中央の2ビットずつは同時に1にはならないので、これは別に考えないといけない…って事だから…ここは2^2-1ですな。
 ほかの8ビットは全て1にも0にもなるから、(2^2-1)*(2^2-1)*2^8…って事で2304通り、全て0はキーを離している状態だから、実際に割り当て可能なのは2303通り…。
 というか、下のを書く前はずーっと2047通りだと思ってました。ダメじゃん。
 しかし、結構多いですな…これらの一つ一つに速記法の要素を当てているとゆーのは凄いかもしれず。

 00 00 ○  00 01 ○  00 10 ○  00 11 ×
 01 00 ○  01 01 ○  01 10 ○  01 11 ×
 10 00 ○  10 01 ○  10 10 ○  10 11 ×
 11 00 ×  11 01 ×  11 10 ×  11 11 ×

2008年4月8日10:53:30追記。

 http://pc11.2ch.net/test/read.cgi/pc/1200231586/432-437
 2ちゃんねる内の【よろしければ配列について教えろ その7】スレッドにおいて、同スレッドの437さんが「スピードワープロの公開特許広報」を閲覧する方法を発見されました。
 手元でも追試してみて、確かに規格公開特許広報を閲覧できることを確認しましたので、以下に追試時のメモを残しておくことにします。


 公開特許広報は、以下のサイトから検索できます。
 【ActionablePatents - Patent Search】──利用前にウルトラパテント(Ultra-Patent)サイト紹介ウルトラパテント(Ultra-Patent)サービス利用約款をご確認願います。
 ※http://www2.ipdl.inpit.go.jp/begin/be_logoff.cgiでは、平成5年以降の特許しか検索できません……以前はここから探そうとしていたので見つからなかったのかもorz。


 検索ワードとしては、437さんが書いていらしたとおりに「IN=(柴田邦博)」または「柴田邦博」として検索するのが一番揺れなくいけるようです。
 ここでだいたい30件ほど出てくるのですが、その中でスピードワープロがらみの入力法について直接記述しているのは、【文字の入力方法】というタイトルのもののみのようです。
 最も詳しい「かな」部分の入力法については、昭63-10220をご覧ください……私はてっきりパラレル12ビットのコードだと思い込んでいたのですが、特許を見る限りでは(人差し指だけではなくて)親指にも2キーずつを割り当てているようで、実際にはパラレル14ビットのコードとなっているようです。
 コードへの割り当て文字列を見ると……なんというか、1アクションで16かな打てる定義が交じっていたりして、ただただ唖然とするばかりでした。


 とても興味深いものを拝見させていただきました。
 閲覧方法をご紹介いただいた437さんに感謝!

2011年8月9日追記。

 コメント欄に、みしょさんから以下の通り教えていただきましたので、ここにご紹介します。

ウルトラパテントは有償化したようですが,特許電子図書館で特公平06-068715を検索すれば無料で閲覧できますね。参考までに。
(from http://d.hatena.ne.jp/maple_magician/20050306/garn#c )

2012年3月16日追記。

 スピードワープロ特許のうち、特許保護期間となる25年を経過した部分について、配列実装のための手順が以下のサイトで公開されました。

 ただし、スピードワープロ特許ではない「スピードワープロ学習教本」については著作権法で保護*1されている(こちらは法人作の場合、発行からたしか50年が保護期間)こともあり、練習するときには『増田式』などを適宜応用して使うなど、習得面での工夫は必要かと思います。

*1:著作権法は「事実・データの羅列を保護対象外とし、創作性のある部分が対象になる」性質なので、鍵盤配列は特許保護される可能性はあっても著作権保護される可能性は低い、という考え方が一般的かと思います……著作物に示される『配列自身』は、論理配列自身が備えている事実をただ転写しただけですし。もっとも、その配列となった意図の解説部分や、その配列の練習手順などといった部分は創作性があるものなので、こういった部分は引き続き著作権法で保護されていることになります。