濁点後置方式の配列は「何がダメ」なのか。

(過去:片手に負荷が寄った配列「も」アリだよね、と。 - 雑記/えもじならべあそび)
(過去:「交互打鍵は絶対的に最優先するべき事柄なのか?」についてのメモ。 - 雑記/えもじならべあそび)
(過去:そういえば、新JISもしくは月って、左右逆にして最適化するとどうなるのだろうか。 - 雑記/えもじならべあそび)
(過去:新JISメモから脱線しつつ……。 - 雑記/えもじならべあそび)


 ……ってタイトルなのだけれど、別にダメってことはない*1んです、ええ。
 個人的に思ったところは、

  • 【もしかすると、濁点を左手に置いたほうがいいという人が居るんじゃないのだろうか……】

という、漠然とした疑問、というか。


 現行JISかな(JIS X 6002)が「゛」を右手に置いた理由は知らない*2……のだけれど、新JISかな(JIS X 6004)でのそれは「最高連接頻度の【か】→【゛】を、もっとも高速に打てる左→右で打てるようにしたため」ってことは、公開済みのドキュメントにバッチリ載ってる話で。
 ……でも、「濁点が後置されうるかな【同士】は連接しやすい」ってことをふくめて考えると、実は逆に「最高頻度の【か】→【゛】を、右→左で打てるように設計」するほうが、速度的なメリットを得られるのでは?とか考えていたり。
 #このあたりはGA配列が得意としそう……なのだけれど、どうやって検証すればいいのかわからないので、とりあえず放置中だったり。

http://d.hatena.ne.jp/maple_magician/20060809/1155055669

 なぜここで新JISかな(JIS X 6004)オリジナルの設計時点では、「交互打鍵」にとらわれすぎて、「右手→右手」を有効活用しなかったのだろうか。

 素直に読めば、「左手→右手」の後に更に右手を使うほうが、速度の最適化には有利……という推測が成り立つ。

 逆に言えば、「左手→左手」を相応に避ければ、それで良い……ということなのかも?

 (左手→左手はホームポジションASDFのみ許容して、ほかは徹底的に避ける……とか。)

 ただし、本当にそうなのかどうかは計算してみないとわからないし、計算してもわからないかも……。


(from http://d.hatena.ne.jp/maple_magician/20070615/1181883207 )


 んー……「左右逆転配列」を作ってみて、それを使った検証でもしてみればいいのかしら?
 どういう手順が相応しいのかはわからないのだけれど、このあたりに「清濁分離配列」にとっての、もう一つの突破口がある……のかも。
 って、わずか数日「月影配列」を使っただけの感想*3としては、ちょっと風呂敷を広げすぎという気もするけれど……仮に他の配列屋さんにとって「ピンと来る」モノがあるとすると、こういうアプローチもありなのかなぁ……と考え始めていたり。


 ちなみに、新JISかなの【か→゛を左手→右手にする】というルールは、作者の渡辺さんが「配列設計時の事前剪定*4をするため」に決めたような雰囲気がある……ので、ここをひっくり返しても「月配列」としての思想から外れたりはしないと思う。
 濁点を左手側に置いた配列が「レフティ月配列」になるか?というと、単純鏡面配列化すれば確かにそうなるだろうけれども、「左手に【゛】を置くことを前提に、右利きの方が作った打鍵速度データに基づいて配列を作る」ということをすれば、普通に右利き用の配列になるだろうから……。
 このあたりは、自分でテストできるのかどうか、そのうち調査してみようと思う。

2009年3月13日22:16:59追記。

 ……と思ったら、過去にもこれを書いていたのか。

 んー……3年も放置していたとはorz。

2009年3月13日23:45:09追記。

 ……ちなみにこれ、rage2050さんが作成されたツールですと「(濁点位置を変更した)配列生成」はできないのですが、手作業で入れ替えたデータを使えば「配列評価」はできます。


 ……というわけで、早速「月影配列(右手濁点)」と「鏡面月影配列(左手濁点)」*5を評価してみることに。

######## 月影配列(右手濁点).gk1 ########
## export.kna.txt ##
analyzing 0/ 2155
打鍵数 12548 , time 1528005(msec)
左43.8 [人11.4 中24.5 薬 6.7 小 1.2]
右56.2 [人18.3 中18.2 薬10.6 小 9.2]
上段22.3 中段57.9 下段19.8 (良 7.0)
交互64.9 同指 5.9 跳躍 3.1 (良 0.5) 和音11.1
ok

######## 鏡面月影配列(左手濁点).gk1 ########
## export.kna.txt ##
analyzing 0/ 2155
打鍵数 12548 , time 1523622(msec)
左52.7 [人18.3 中18.2 薬10.6 小 5.6]
右47.3 [人11.4 中24.5 薬 6.7 小 4.8]
上段22.3 中段57.9 下段19.8 (良 6.0)
交互66.2 同指 5.3 跳躍 3.5 (良 0.5) 和音11.4
ok

 ……これで「ピンと来る」なら、こういう記事を書いてみた甲斐があった……といえるのかも。
 #JISかな換算で15,467打鍵のワードセット全体を打って、わずか5秒半しか差が出ない……という、微々たる物なのだけれど。


 ……たぶん、「濁点」は左手に置くほうが、(右利きの方による打鍵速度データを用いた場合については)GA的には「より高速に入力できる」清濁分置配列が設計できると思う(し、利き手が左なら右手濁点のほうが高速打鍵に適する配列に近づきやすい可能性も……って、こっちは推測だけれど)。
 ……で、当然配列の傾向は「新JISかな系/月系配列を、左右ひっくり返したような姿」になると思う。
 このあたりについては、そのうち具体的な追試があるといいなぁ……と。


 いずれにせよ、新JIS系/月配列系には、まだまだ伸びしろがある予感が……。
 ざっくりとした感触として、

  • 右利き用配列なのに、右手側に濁点を置いてしまった。

というところが、もしかすると「もったいないポイント」だったのかも。
 これがもしも、

  • 右利き用配列として、左手に濁点を置く(=濁点の前に打たれやすいかなを右手に置く)ところから設計した。
  • 左利き用配列として、右手に濁点を置く(=濁点の前に打たれやすいかなを左手に置く)ところから設計した。

という過程を基に配列設計をしたときに「そうではない配列よりも好成績をたたきだせる」可能性があるのならば、一度こういう方向性についても探求してみる価値があるのかな、と。
 #この場合、ややこしいのは「両利きのかたにとっての配列がどうあるべきか」というところが見えないあたりなんですよね……。結局は「濁点位置を固定せずに、本人の打鍵速度データを基にGAを行う」よりほかに、最適解にたどり着く方法はないのかも。

*1:ダメじゃない理由は、http://d.hatena.ne.jp/maple_magician/20090312/1236859071 に書いたような感じでして。正直、シフトの方式は「気に入りさえして、違和感さえなければ、何でもいいんじゃないの?」という感じ……どうせ相性問題だし。

*2:たぶん、かなの「右側上」に【゛】を「書く」から……とか、そういう感じなのかも。根拠としては薄い気もするのだけれど、「素直に常識に従った」結果なのかも、と。

*3:いや、それ以前にも何度か、こういった実験配列とかを含めてるか。

*4:配列候補という枝にとって、これをあらかじめ切り分ける行為は「剪定」なんじゃないかな……と。で、「剪定」と当ててみました。

*5:30キーの単純鏡面配列なので、右手小指を伸ばす領域は交換対象外になっています。そのため、(人差し指・中指・薬指の負担は完全交換されていますが)右手小指の負担だけは完全交換にはなっていません。