(TitleOnly)プロケーブルスタンドにおいて、(特許要件には含まれていない、全く別の理屈により)長手方向壁面にスピーカを並べるなら「軸交差角度90°」のXYステレオのみ。短手方向壁面を使うか正方形部屋の壁面を使う場合は、スタジオ推奨の「軸交差角度60°」(120°AB方式)も使える。いずれにせよ、規定セッティング法では軸交差角度を決め打ちにしていないので、「たまたま角度が合ってうまく行ってしまう場合」と、そうではない場合とが発生してしまう……のかも。
……これはタイトルのみ。
この推測が正しければ……以下のようなミスマッチが綺麗に聞こえるかも?
軸交差角度60°環境でマスタリングしたソースを、軸交差角度90°環境にセッティングしたスピーカシステムで聴くとき。
- 高さ方向と奥行き方向……
1/sqrt(2)に縮む。「1/√2倍」に縮む。 - 幅方向……
SQRT(2)倍に伸びる。「√2倍」に伸びる。
XYステレオで録音したままの軸交差角度90°のソースを、軸交差角度60°環境にセッティングしたスピーカシステムで聴いた場合
- 上とは逆の伸び率になる。
- 高さ方向と奥行き方向……
SQRT(2)倍に伸びる。「√2倍」に伸びる。 - 幅方向……
1/sqrt(2)に縮む。「1/√2倍」に縮む。
- 高さ方向と奥行き方向……
(2008年7月16日20:30:44追記)何でこんなことを思ったのか。
- 長方形の部屋の長手方向両部屋角にスピーカをおいて、リスニングポイントをその中間位置の逆壁面寄りにとった場合、長方形の部屋の比率からすると、90°セッティング(XYステレオ録音ソース用)しか取れない(し、それを意識せずにテキトーセッティングしても、大体似たような角度になる)。
- このあたりは、「ITU-R BS.775-1」スタイルのモニター環境で作成されたと思われるソースを聴いてみるといいかも。
- 長方形の部屋の短手方向両部屋角、もしくは正方形の部屋の一壁面両部屋角にスピーカをおいて、リスニングポイントをその中間位置の逆壁面寄りにとった場合、60°セッティング(ITU-R BS.775-1)から90°セッティング(XYステレオ録音ソース用)あたりの間になる場合が多い。
- このあたりは、RODE/NT-4あたりで直録音してみないとテストできないかも。テストに適したソースがどれなのかは知らないもので。
(2008年7月16日22:37:35追記)そもそも……。
「プロケーブルスタンドによってアフォードされるスピーカセッティング」の本質が、もしも仮に上記角度の近似値(あの手順では軸交差角度に焦点をあわせていないので、軸交差角度が合わなくても不思議ではない)への生成にあるのならば、
- XYステレオ録音されたソースを聴く場合は、スピーカ同士の軸交差角度を90°ぴたりにするほうが重要。
- ITU-R BS.775-1環境を前提に録音されてITU-R BS.775-1環境で調整されたソースを聴く場合は、スピーカ同士の軸交差角度を60°ぴたりにするほうが重要。
- これらは「プロケーブルスタンドによってアフォードされるスピーカセッティング」と共存可能なものの、わざわざ「プロケーブルスタンドによってアフォードされるスピーカセッティング」を実践しなくても良い?
という可能性もあるのかもしれない。
それと、一般的には90°設定よりも60°設定を前提にしたソースが多いような気がするので、「普段は60°、たまに90°」に設定できるように、長方形の部屋を使う場合は「短手方向壁面の両端にスピーカを置く」方が自然だと思う(90°にスピーカをセッティングして60°収録のソースを聴くと、テレビのアナログ放送をワイドテレビ向けに引き伸ばしたような感じで、横にベターっと広がってしまって不自然すぎるし)。
あとは、60°←→90°の展開ができるような台が必要……だろうか。
(2008年7月16日22:57:04追記)録音時に気を遣っていただきたいところが。
音の定位間というのは「左右マイクロフォンに対する音量差・時間差」あたりが重要なフェーズになると思う……ので、「楽器ごとにばらばらに多トラック収録」するときには、
- 楽器ごとに「部屋のセンターに60°クロスのステレオマイク」を立てて、それで基本的な音場(エア)を収録する。
- ここで重要なのは、バンドセットのうち一つのソースを録る場合であっても「その場の録音では使わない楽器セットなどもすべて定位置に配置(撤去しておく場合はきちんとバミテープを貼って、位置を復帰できるように)」して、その中央にステレオマイクを立てること(そうしないと、トラックを重ねたときに定位感にバラつきが出てしまう)。
- 特に目立たせる必要がある「楽器に直接立てたマイクから拾う音」については、ミックスダウンの段階になってから「基本的な音場(エア)」を再生して、それの位置にぴたりとあうように、「楽器に直接立てたマイクから拾う音」についての左右音量差を弄る。
こういうことに気を遣う必要があるのではないかと思う。
まっとうな録音がなされていれば、このあたりはきちんとやっているはず……なのだけれど、そうではないソースもまま見かける(J-POPとか)ので、このあたりは何とかして欲しいところ。
2008年8月9日23:06:31追記。
この手の録音チェックをするには、以下の機器が有効。
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こいつで「色々なソースを2状態で録音」して、それを再生してみると、「何がどう変なのか」というところがわかると思う。
#あっ、録音するときには「騒音計を使って音量を記録すること」も重要なので、それをお忘れなく。あと、公式サイトのコンテンツは全部読みましょう……XYステレオとABステレオの使い方(これは「ミキシングモニターの角度との整合性」にも関わる)とか、パッチングによる擬似リミッター機能の話など、録音ネタを多少でも知っていれば十分に楽しめる内容だと思うので。