(メモ)チャイムケーブルを安定的にスピーカケーブルとして使う方法。

 チャイムケーブルなどの「単芯線」というのは、いわゆる万力型やねじ型のスピーカ接続端子に接続しようとしても「簡単にゆるんでしまう」という不都合を伴います。
 これを簡易的に解決する方法は……

  • 芯線の被服を普段の倍以上(チャイムケーブルであれば30mmぐらい)剥く。
  • 末端から14mmぐらいのところで180°折り返す(折りまげた芯線が平行に並ぶ)。
  • ラジオペンチを2本用意して、1本は「被服端&配線端」を、もう1本は「折り返したところ」をつかむ。
  • 「折り返したところ」をつかんだラジオペンチをぐるぐると回して、配線に「隙間が出ない程度に」よじる。
  • 同じ作業を、すべての末端に対して行う。

 こんな感じですね。
 芯線を半分の長さで折り返して、あとはよじるだけ……と。


 理由は単純で、「単芯線を万力で挟むと不安定な面接触になってしまって、圧力が集中しては掛からない」ので、「単芯線をよじって点接触になるようにして、圧力が集中して掛かる」ようにする……と、それだけの話。
 単純かつうまくいく可能性が十分にあるので、お困りの方は一度おためしください。


 それから、Belden/8460の様に「芯線数が中途半端で、なおかつ硬い」場合は、この方法を使おうとすると芯線が折れてしまう上に「そもそもきつくよじること自体が困難」だったりします。
 この場合は、前出の応用編として

  • 芯線の被服を普段通りに(スピーカ側は15mmぐらい、ねじが小さい場合は10mmぐらい)剥く。
  • 芯線の本数がだいたい半分になるように、V字型に2つに分ける。
  • ラジオペンチを2本用意して、1本は「被服端&配線端」を、もう1本は「V字型に分岐した先のうち片方」をつかむ。
  • 「V字型に分岐した先のうち片方」をつかんだラジオペンチをぐるぐると回して、配線に「隙間が出ない程度に」よじる。
  • 「V字型に分岐した先のうち、残りの片方」をラジオペンチで掴み直して、同じことをする。
  • 同じ作業を、すべての末端に対して行う。

 こんな感じですね。
 芯線を2分割してそれぞれよじり、Y字型に芯線が出る状態にする……と、ただそれだけ。
 Belden/8460は芯線数が下手に多いので「きつくよじっても隙間ができてしまう(=万力型で静的に押さえつけても、隙間が残ってゆるむ原因になる)」うえに、芯線が硬すぎて「万力型でしめ込んで固定するにも向かない」という都合がありまして……このあたりは、同種の処置をしようとすると単芯線よりも面倒なところが困りどころです。
 ほんとは、普通のスピーカケーブルで済めば一番楽(スピーカやアンプの端子や、あるいはスピコンの内部などは、もともと普通のスピーカケーブルがつながれることを前提に作っている)なのですが……このあたりは迷いどころかもしれないですね。


 それと、VVFの場合は……どうしましょうか。

  • ある程度扁平になるまで、ただひたすらに金槌で叩く。
  • 配線をねじ止めする際に、配線を揺すりながら少しずつねじを締める。

 ……ぐらいしかないかもしれないですね。
 ただし、いくら叩こうが、いくら揺すろうが、VVFぐらいに太くなってしまうと「ねじ止めでどーにか止めるという発想自体が間違い」だと割り切ってしまう方が良い気もしますけれども。
 リング状にして止めるというのは確かに可能なものの、それで安定して通電するのは「安定的に電流が流れる、電源レベルでの話」であって、電流が平均的には流れないスピーカ用に使うと、どうしても「アンプに入っている、出力切り替えリレースイッチが逝かれ始めたとき」のような状況になることを避けるのは、中長期的には難しい様に思います。
 はさみで切る方が適切な「テンションの掛かっていない物体」に対して、カッターで挑もうとする……そんな使い方になってしまうのが「スピーカケーブルとしてのVVFの立場」なのかもしれません。

 2008年5月4日0:50:02追記……半年後にこんなことを書くのもどうかと思いましたが、とりあえずVVFケーブルを接続してみて、ようやく過去の記憶を思い出した……ので、以下のような記事にチラッと書いてみました。
 【今日のオーディオ設定。 - 雑記/えもじならべあそび
 結論を一言で書くと、「VVFは叩いちゃダメ!」ってことですね。
 すっかり基本を忘れていた自分に意気消沈……orz。


 正直、こういった単芯線や硬質線は「安物コンポ」や「埋め込み用メスコンセント」でおなじみの「バネ端子」のような、動的に加圧され続ける構造のものに対して使うべき代物なのですが、この手のセオリーを無視してでも配線したい!という場合は、それなりに【なぜそこにその構造が使われているのかをよく考えて】配線するのが順当だと思います。


 VVFなどの単芯線が使われる屋内電源配線のうち、配線同士を静的に接続する部分には「リングスリーブ(銅製金属製のリングで、中に配線を通してから専用の圧着工具を使ってつぶし込む)」が使われていて、それ以外の部分には「バネを利用した機構」が使われていたりするのは、趣味でも「ただなんとなく」でもなくて、そうする理由があるわけです。
 室内で使われるテーブルタップなどの電源配線が「単芯線ではなく細線の集合体」であるところにも、それらにつなぐコンセントやタップ類の内部結線方法が「ねじ止め」であることにも、同じく趣味でも「ただなんとなく」でもなくて、そうする理由があるわけです。


 理を知らずに変わったことをするのであれば、まず理を知ることから始めなければならない……と、私はそう思います。
 #とか何とかいいつつ、もうえらく過去の話なので忘れつつある私……ダメじゃんorz。