JIS規格がらみで「かえで****あすか配列だけの実装可能性」を満たすために作戦を立てるなら、【ユーザ補助機能として必要】なものを【複数個提案する】方法でいく……けど、ンな手段は使いたくない。

(関連:「タイムシフト」の検索結果 - 雑記/えもじならべあそび)


 飛鳥系「だけ」が実現できれば良い……と割り切ってしまうと、実はわりと単純に「ユーザ調整機能の積み重ね」だけでいけてしまう……という話。


 飛鳥系のけん盤配列には、それを実現するための同時打鍵ロジックとして「同時打鍵方式の連続シフト化拡張」によるものだけではなく、より単純(であって過去のJIS X6004文献に掲載済み)な「タイムシフトロジック」も使うことが出来ます*1
 もともとJIS X6004には、今風に言うところの「ユーザ調整・ユーザビリティ」を実現するための機能として、規格に載った「プレフィックスシフト」と「親指1キーシフト」だけではなく、実装はされなかったが論文には載った「タイムシフト」というものもありました。こういったユーザビリティ関連技術が1980年の時点で既に確立していた……というのは、今となっては驚くしかないというべきところなのかも。
 で、本番規格には採用されなかった「タイムシフト」ですが、こいつは「普通のシフトを補助するもの」として、JISかな・JIS/Qwertyローマ字・英字入力などに対して適用しても、なんら問題なく使うことが出来、かつ「シフトキーの打鍵遅れを補正しつつ、通常のシフトキーに求められる機能を一切阻害しない」という面白い特徴があります。
 こういうプロセスがあるので、「かつてJIS X6004で採用され損ねた【ナイスアイデア】を復活させよう!」という話が書ける……と。


 つぎに、親指位置キーシフトについても、「小指を動かさずに、普段親指を置いている場所のままシフトできるようにする」というだけであれば、単純なキー入れ替えで実現できる範囲なので、これもアリかなぁ……と。「SandSの2親指化」というかたちの仕掛けでいけるので、機能的な負担はほとんどない領域ですし。


 ……で、三つ目の「かな入れ替え機構」についても、それこそQwertyローマ字入力で言うところの「ローマ字定義入れ替え」と同じ考えで実装できる。
 こいつが使えれば「特殊なソフトウェアなしに、定義変更用のデータのみで【比較的自由に】イネーブルハードウェアのためのけん盤配列を定義し利用できる」ようになる(※人力入力のためにこの機能を設定する必要はない)……と。


 ……以上のような感じで「かえで****あすか配列だけの普及」を目論んで「情報処理装置用キーボード配列」への意見陳述書を書いていれば、当時実際に書いたような「広範囲なけん盤配列をサポートするべきだ!」という、ややこしい作戦を取らずとも、「単なるユーザビリティ向上策の3点セット」として処理してしまって、その結果として「組み合わせたら、かえで****あすかが実装出来ちゃったwwwww」という作戦も可能……なのですが、こんな方向に逃げてしまったら【私がここの日記で得てきた全ての体験が無駄になってしまう】という気がして、とてもではありませんが、こういう作戦を取ることは出来ませんでした。


 これらは、飛鳥系専用エミュレータとして最低限必要となる機能を「ユーザ調整機能」へと切り分けたもの……なのだけれど、このやりかたは「単独のキー入力入れ替えソフト」向けには提案できても、「JIS化案」向けには提案できないんですよね……さすがにこういう方法を使うのは卑怯だろう、と思ったわけで。
 んー……こういったユーザ補助機能自体はほしい、と思う……のだけれど、それとは別に(or共用で)、「IMEとの安定した連携が可能な、公的規格に準拠したキー入力入れ替えソフト」が出現できる状況になってほしいなぁ……。

*1:「繭姫」をうまく設定すると、擬似的にタイムシフトロジックを再現することが出来ます。いまそれをつかって「かえであすか」を使っていますが、同時打鍵に特有の厄介さのうち「シフト残り現象(指の操作遅れに起因するShift_Off遅延現象)」がバッチリ解消されて使いやすいです。繭姫の動作都合から「シフトが掛からないときがある(Shift_Onは同時打鍵判定でしか成立しない)」という制約はある……のですが、実際のタイムシフトロジックでは「どれだけシフトキーが先行しても構わない」仕様なので、実際にタイムシフトロジックが設定されれば、こういった動作もより自然に行えるのかもしれません。このあたりは非連続シフトであれば、(「シフト範囲の変動」ではなく)「シフト対象キーの取り違え」として発現するので、シフトロジックが違っても「シフトミス」の問題からは逃れられないところが厄介な話……と。