インダストリアルエンジニアリング+ユーザビリティエンジニアリング=?

 IE手法に足さなきゃいけないもの。

  • やってもらったときに「一発でパッとわかる」よさがあること。
  • やってもらったときに「あっ、これを変えればいいのか!」と気づくチカラを引き出せること。
  • やってみてよかったアイデアを「思わず周りに伝播させたくてたまらなくなる」気持ちを引き出せること*1
  • 長く使ってみて「ようやくわかるダメな体の使い方」などをあらかじめ除去しておくこと。
    • 感情工学のたぐい、武術のたぐいなど、「定量化には適さないが定性化して扱うことは出来る」もの。

 とりあえず、根っこは↓にありそう。

誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)

誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)

ライト、ついてますか―問題発見の人間学

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さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす

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人間この信じやすきもの―迷信・誤信はどうして生まれるか (認知科学選書)

人間この信じやすきもの―迷信・誤信はどうして生まれるか (認知科学選書)

パーキンソンの法則 (至誠堂選書)

パーキンソンの法則 (至誠堂選書)

 生産性向上を阻害する要因はたくさんある……けど、とくに非生産職のそれは酷すぎるものがあると思う。

  • ECRSの「E」が放置プレイされすぎ。人間がやらなくてもいい定型処理はソフトウェア化してしまえと言いたい。
    • 手計算と電卓計算は「絶対悪」だと思わなきゃ。出来れば椅子とパソコンも捨てたい*2
    • B/S、P/L、C/Fあたりは「丸めた後の数字」だから、投資レベルで使えるとしても実務レベルでは荒すぎる(動きのム{ダ|ラ|リ}は見えない)と思う。
    • 手動記録もバーコードスキャンも捨てたい。人とモノが一緒に【将来使うネタなので非公開】すればいいだけの話。
      • 棚卸を行ったときに「帳簿資産と現物資産がずれる」ってことになるのは×。かといって昔のトヨタみたいに「厳密な人力棚卸」をするというのもなんか違う。「{人件費&ズレ}なし」を実現する方法が鍵になる。
    • 数字を分析して「ある視点」で丸める処理行動そのものには、人間による処理を一切関与させちゃダメ。人間の仕事は「丸め方を考えること」だけ……プログラムを組むのは人間の仕事。CPUの役目をするのは人間の仕事じゃない。
    • カラープリンタは使うな。というか、もういっそのこと全部をモノクロ電子ペーパープリンタにしてしまえと言いたい。フレームワークが決まっているのに「手で書く」「手で集計する」「手で計算する」「印刷物を手で掲示する」とか、正直全部ありえませんから……。
  • 生産性向上のために「見た目のエモーショナルデザイン」は要らない。ただし、「使い勝手のエモーショナルデザイン」は絶対に必要。その切り分けが出来るかどうかが鍵。使い勝手にこだわって作れば「デザイン美」ではなく「機能美」になる。
    • ECRSの「E」は「2S(整理&整頓)」が鍵……2Sのセンスがない人間を100人集めても糞の役にもたたないので、自他共に2Sの素質があるとされる人物を「整理整頓担当大臣」に任命してしまうのが手っ取り早い。
      • 2Sで使う「バミ(場見)テープ」は、次の「清掃」段階を効率よく行うために必須の技術。演劇など舞台系を経験してきた人間には「バミテープの役目と利益」がよくわかっているはずだから、そういう知見がある人物も活用しよう。
      • 2Sが行き届いた場所で複数年仕事をすると、「2Sが行き届いていない場面ではイラつく」ようになる……2Sのセンスが欠落している人でも「慣れ」の効果は出て、結果として「イラつく」センサは大抵正しく働くから、まずはそういう状態にもって行くのがポイント。
  • 業務効率改善のためのヒントは「似た慣習に塗れた同業他社」よりも「全く畑違いの異業種/異分野」に眠っている可能性のほうが高い。趣味の分野の物事が、意外なところで業務効率改善の基幹概念になる可能性さえある。
    • たとえばここでユーザビリティの話を出したように。
    • たとえばここで演劇の話を出したように。
    • たとえばこの日記で「日本語入力技術と仕事の関連性」について散文的に書いているように。

(2008年11月12日6:31:21追記)かならずやること。

  • 月配列でも飛鳥カナ配列でもいいから、とにかく「あなた自身がやったことのない日本語入力法へと移行し、かつ自力で配列を弄ってみる」こと。
    • これは絶対必須。「今までの【慣れていて速いけれども多手順】な方法」と、「新しくやる【慣れてないから遅いけれども省手順】な方法」との比較体感を自分自身で行うことによって、「なぜIE改善が受け入れられづらいのか」ということと「どうすればIE改善をつかって【気づいていただく力】を引き出すか」ということが、少しずつわかってくるようになると思う。そういう「慣れきったことをわざと変更して、自分自身で苦労してみること」をせずに改善屋をやるのは「変」だと思う。
  • 体の重心が「腰の中心か、その点の直下」に来るように作業設計すること(これが保証されないと無駄に疲れる可能性が極端に上がる)。
    • 手の動作は出来る限り「平泳ぎ動作」に近づけること(これが保証されると習熟性が上がる)。
  • 重力などを使って「作業対象となるワークが、1ミリの誤差もなく規定位置に来る」ように近づけること(タッチタイプと同じで、これが保証されると習熟後作業性がぐんと上がる)。
  • まずは実際の作業をやってみる。そうして苦労する点を掴んでから「苦労する点についてコミュニケーションで確認する」こと。一番その仕事を知ってるのは「現場の人間」なので、そういうところから「生の声」を聞いて、そこで出る不満点などをひとつずつ解消していくように取り組むこと。効率はよくないけど「勝手に想像して試行する」よりははるかに「現場の声を反映したもの」が出来ると思う。
    • 「現場が気に入って使うこと」→「現場が同じものを多人数で使うこと」→「現場のなかで出た改善提案を、皆がいっせいに試行して評価すること」→「自主試行を即すための資材などを提供して、自主改善が軌道に乗るようフォローすること」というふうにシーケンスを展開していって、最終的には自力改善のしくみが出来るようにフォローすること(これはよくセル生産あたりで「(自主改善が進み続ける)生きたセル・(自主改善がなされない)死んだセル」と表現されたりする話……って、セル生産に限ったことじゃなくて、全般的に言えることなのだけれど)。

*1:横展は「インフォーマルネットワークで自動的に展開される」ときに、最も高密度かつ最短時間で伝播することがポイント。先に伝播させるための公的な仕組みを整備するよりも、先に伝播元の人を拍手喝采で褒め称える風土を根付かせるほうが、持続可能性ははるかに高いと思う。これに似たことは【仙台市選管の「開票スピードアップ作戦」がOH!バンデスで取り上げられていた。 - 雑記/えもじならべあそび】かなぁ。プログラムのオープンソースと同じく「公開し伝播することで公益が出る」んですよね。

*2:パソコンは「どう処理するべきかという手順をテストする」ためだけに使うなら有用だけど、「実際に手計算&半自動計算で処理した結果を清書するため」に使うなら論外。