「まじめにジョークを飛ばす技術」が受け入れられれば、その先には「発見という名のアフォーダンス」がある。

(未来:音響メモ。)
(未来:音楽/音響がらみのメモ。)
(過去:「プリアンプやミクサがあるから音がよくなる!」というわけではない……らしい(?)。)


 ……なんというか、Mackieのミクサ(1402-VLZ3)にはいろいろな意味(たいていは操作のしやすさ)で驚かされっぱなしな今日この頃なのですが、今日は「いかにも(あのジョーク満載なマニュアルを作る)Mackieらしいアフォーダンス」を発見してみたり。
 Mackieユーザにとっては「すでに当たり前のこと」なのかもしれませんが、個人的にはとても興味深い事柄だったもので、とりあえず記録しておくことに。
 #別の日の日記にも、追記としてこのことを記録しています


 Mackieのミクサには、ほかのコンパクトミクサと同様に

  • 主にマイク入力などを導入するための「モノラルチャネルストリップ」
    • 入力ゲインの調整は、ストリップ上部の「ゲイン調整ノブ」を回すことで行う。
  • 主に録音再生機器を導入するための「ステレオチャネルストリップ」
    • 入力ゲインの調整は、ストリップ上部の「ゲイン調整スイッチ」を切り替えることで行う。

の2種類のチャネルストリップがあります。
 「モノラルチャネルストリップ」のゲイン調整は回転ノブで行うことができるので、連続的に広範囲な調整範囲の中から必要なゲインを決定することができます……つまり「面倒だけれど自由度が高い」代物です。
 そして「ステレオチャネルストリップ」のゲイン調整は「+4dBu受け(CDプレーヤなど)/-10dBu受け(テープ/ラジオなど)の2状態から選択する」のみとなっていて、「簡単だけれど自由度が低い」というわけで。


 ……と、ここまではどのミクサを使っていても同じなのですが、Mackieのミクサには「おもしろい方法で、モノラルチャネルストリップのゲインをステレオチャネルストリップにあわせるためのアフォーダンスを提供している」という、珍しそうな特徴があります。
 どういう風にアフォードしてくれるのか?というと……

  • 「モノラルチャネルストリップ」で「+4dBu受け」を実現するには、ゲイン調整ノブをぴったり「9時」の方向にあわせる。
    • 人間というのは、不思議なことに「ぴったり水平」とか「ぴったり垂直」に合わせるのは得意なんですよね……。
  • 「モノラルチャネルストリップ」で「−10dBu受け」を実現するには、ゲイン調整ノブをぴったりMackieという印字の「M」中央】【MIC GAINという印字の「M」中央】の方向にあわせる。
    • どの文字に合わせるかを忘れた場合は、「Mackieのミクサを使っているのだ!」ということを思い出せばよい、と。この「Mackieのミクサを使っているのだ!」というのは、マニュアル中に何回か出てくる決まり文句のような話なので、結構印象強く残るんですよね。

という感じです。
 これらの位置については、もしもほんの少しでもずれていれば「偶然でしょ?」という感じなのですが、おもしろいことに「寸分の狂いもなく」これらの位置で入力ゲインが合ってくれるんですよね……あのマニュアルを作るメーカーだからこそ、と言える点なのかもしれません。


 「マニュアルの面白さに惹かれて買った」Mackieのミクサですが、まさか本体側にまで「マニュアルに載っていない」巧妙な仕掛けがなされているとは……と、ちょっと(いや、かなり)驚いていたり。
 日本語入力用のキー配列にも、こういった「使ってみてはじめて気づく仕掛け」を持つものは多いはずなのですが、こういった「発見という名のアフォーダンス」が、ハードウェアでもしっかり存在していたりするんだな……と、妙に感心してみたり。
 

 うーん……これは「たまたま手元の機器だけ」そうなっているのか、あるいはMackieのミクサ全体に仕掛けられた共通の暗黙的ルールなのか……ちょっと気になってしまいますね、こういう仕掛けは。

検証方法について。

 ……ふつうに「USB-DAC」と「Wavegene」を組み合わせて行いました。
 USB-DACの左右偏差などたかがしれていますし、Wavegeneで1dBずつ値を変えて「ゲイン表示LEDの閾値近辺(ランプが中途半端に点減する場所)」を確認しながらチェックしましたので、だいたい1/2dB精度ぐらいでは合っているのではないかな……と。

盤面への印刷精度について。

 基本的に、ユニティゲインマークがぴたりと合うように設計されているはず……なので、そう大きくはずれていないはずです。
 ゆえに、これが「個体差ではなくて狙ったもの」なのかも?と思ったわけで。