19AQ5単管ヘッドフォンアンプ……修理できるほどの時間が取れない(明日に回します)ので、とりあえず「ノイズ乗ったまま・エージング不足」でのインプレを。

(未来:19AQ5ヘッドフォンアンプ、ようやくハム&ノイズ問題が解決!……というか、本体側には問題がなかったらしい。)
 USB-DACにはEDIROL/UA-25を使用し、「EDIROL/UA-25のヘッドフォンジャック経由音声」と「19AQ5単管ヘッドフォンアンプのヘッドフォンジャック経由音声」とを比較試聴しました。
 音楽ソースはうちのPCに入っている音声で、無圧縮/WMA圧縮/OggVorbis圧縮/MPEG Audio Layer3を混ぜて試聴しました。
 イヤフォンにはEtymoticResearch/ER-4Pを使いました。ほかのイヤフォンをつないだチェックは、まだ行っていません。

(2006年12月18日11:40:46追記、ノイズが乗るのは「EtymoticResearch/ER-4Pがローインピーダンス過ぎ&能率高すぎ」であることが原因。「ヘッドフォン」を使う限りノイズは検出限界未満となるはずで、有効な対策も存在します。詳しくは後の記事「19AQ5ヘッドフォンアンプ、ようやくハム&ノイズ問題が解決!……というか、本体側には問題がなかったらしい。」にて。)


 音楽性に関するレビュー……という仕上がりにはなりそうもないので、とりあえず聴きながら思ったことをメモしたのみです。

  • 何も考えずに組み立てれば、たぶん3時間ぐらいで組みあがるかと。電源部の組み立ては面倒くさいものの、「普通に回路図が読める」人ならば、実体配線図との突合せでそのまま組み上げる事が出来るはず。迷わず組み立てできて、かつ改造しやすくなっているのは「回路図・実体配線図・実物の整合性が良いから」に他ならず、組み立て説明書を含めたキット全体の「解りやすさレベル」が非常に高い。【キットは卒業したいけど、一から部品を集めたり回路設計したりするのは大変で……】という人にぴったりフィットする気がする。「無線と実験」誌で、だれか組み立て記事を書いてくれないかなぁ……。
  • 久しぶりに「めい一杯の音量で聴いてみたい!」と思わせてくれた。小音量時のニュアンスは普通の半導体アンプと対して変わらず「普通のアンプ」として使えるのだけれど、音量を上げても耳に刺さるようなキツい音が出ず、きちんと音楽を楽しむことができる。
  • 手元アンプで乗っているハムは「ボリウム最小で少々、ボリウム最大で大目」……ボリウム以前とボリウム以後の両方にハムが飛びついているらしい。
  • 真空管の温度はサイドが60度ぐらい、頭頂部が45度ぐらいだろうか。電源OFF時は徐々に音が小さくなっていき、電源ON時は徐々に音が大きくなる……立ち上がりの方が早い。ボリウム最大で起動してもぎりぎりボリウムを絞る余裕があり、逆に待たされるというほどではない……という、ちょうど良い起動待ち時間になっている。ヘッドフォンを掛けたままヘッドフォンジャックの挿抜を行ってもポップ音はなく、電源ON/OFF時も同じくポップ音はなし。
  • LEDは表に出すとまぶしすぎるかも。
  • EMC(電磁環境両立性)に関する問題は今のところ発生していない。家中での主たるEMI元である空気清浄機からの支障を受けず、家中での主たるEMS先であるラジオ・テレビへの支障もなし。初段(本機では「=終段」でもある)のバイアスがラインレベルよりも十分に深い(-6V強)ので、仮にVICSのUSB-DACがEMIを受けて暴走しても何とかなりそう(……って、いい加減アレも何とかしないとなぁ……)。
  • 一つ一つの音を分離して聞かせるタイプではない……(+B電源が左右共通なためか)チャネルセパレーションが不足しているらしく、音が定位する位置はかなり曖昧。フルオーケストラのような構成の音楽を聴くには物足りない。極端にパンを多用した音楽は逆に聴きやすくなるよう。
  • いわゆるPOPS族(特にJ-POPS)には面白いようにマッチする。このジャンルではチャネルセパレーションの不足がほとんど気にならず、むしろ半導体ヘッドフォンアンプとは違って「スピーカーで聴いている感じに近い」鳴り方をするような。もともと刺々しい音がたくさん入っているようなソースを聴くときにちょうど良さそう。
  • ヘッドフォンを通して聴く限りは、真空管の音というよりも、入力トランスと出力トランスの音が支配的なのかもしれない。いわゆる「真空管の音」を聴きたければ、プリアンプ用の追加部品を付けてみるといいかも……って、そうすると今度は「コンデンサの音」が付加される訳で……このあたりはお好みで。
  • 改造ノートに記されている「音楽性の高いアンプ」という表現は、確かに当たっていると思う。このアンプは音楽を「忠実に鳴らす」ことはできないけれども、「楽しく鳴らす」目的は果たしていて、イマドキの真空管ヘッドフォンアンプに対して与えられている「音は柔らかいけれどもキチンと鳴る」という目標をしっかり達成している。AudioTechnica/AT-HA20にはもう居場所などない*1のだけれど、このアンプはきちんと居場所を確保できそうな気がする。
  • これに似た構成で、STAXのイヤースピーカーを鳴らせないだろうか?と考えてみたり……いや、どう弄ればいいのかわからない&部品調達がそもそも無理なので想像するだけなのだけれど、なにか興味深い鳴り方をしてくれそうな気がする。
  • 現行での満足度は……100点満点中65点、うち「忠実度」が50点ぐらいで「音楽性」が15点ぐらいか。ノイズ類が一掃されればあと3点ぐらい上がるかも。EDIROL/UA-25も100点満点中65点ぐらいで、個人的にはどちらも「お気に入り」のレイヤにある。ちなみにAudioTechnica/AT-HA20は……100点満点中35点……今回のアンプと比べてしまうと*2「ええっ、これで定価が¥14,700なの?」と、別の意味で驚かされてしまうのですよorz。

2006年11月22日11:34:14追記。

 ノイズの件は……なんとなく、だけれど、ボリウム中点→グリッド間の配線(実体配線図から大きく変えた場所)がマズイっぽい様子。右チャネルは+A電源のハムを拾っていて、左チャネルは+B電源のハムを拾っているのかも?
 というか、落ち着いて見直すと「汚い引き回しをしているなぁ……」という場所ばかりなので、マズはそのあたりを直さないと始まらないような。

2006年11月22日20:38:41追記

 配線長さは切り詰めずに、ただボリウム中点→グリッド間の配線(実体配線図から大きく変えた場所)を実体配線図の位置に引きなおしてみました。それと、ソケット間を結ぶスズメッキ線に対して接続していたアース線類は、端から端まで等間隔に半田付けしていたものを「すべて中央付近に寄せて半田付けしなおし」てみました。ついでに、+Bの線がアース線同士の間をくぐっていたので、これは一番上(運用時では一番下)に変更。
 かなり配線が余っているので微妙ですが、後々確定した時点で配線長を切り詰めればいいかな……と。
 ……で、これではハムは減りませんでした……少なくともここが原因ではなさそう。
 ところが、不思議なことに歪感は少しばかり減っているらしく……なぜ?って、これは「耳の」エージング*3が進んだからかもしれないけれども、このアンプにあるべき低音が徐々に姿を現し始めていることからすると、アンプ自体のエージングも徐々に進行しているのかも。
 TUGEIさんから教えていただいたアース関連ポイントのうち、ヒーターアースと入力ジャックアースについてはたぶん大丈夫そうな……ボリュームのボディアースについてはうまくいっている自信がないので、日曜日あたりに一度ボリウム周りを再点検してみることに。

*1:お嫁の貰い手が見つからない限り、永遠に箪笥の肥やしになってしまいそうです……最近似たパッケージングでDAC付きのヘッドフォンアンプが出たらしいのだけれど、まるで興味がわかないですしorz

*2:ホントはこんな比較はしたくなかったのですが……価格帯が近いだけに、どうしても比較してしまうのです。

*3:たとえば騒音が激しいところにいると、その特定の音だけが認知対象から外れてしまうようになるアレ。逆に「聞き取りづらかった音がきちんと聞こえるようになる」も真。