習熟期間を絶対値で語るなっ!
(言及不能:小さい子には「親指シフト」を!(@NICOLAフォーラム))
(言及受け:昔の日付でレスします。。古い!!、2007年8月5日発行)
ううっ、ですからこういうコメントが「世間離れした印象」を与えかねない唯一かつ一番の原因だと思うのですが…。
同化圧力に抗するべく「ではこちらも同化圧力を…」で失敗したのではないのですか?
一番はじめの日記にも書いたのですが、現実はこんな感じです。
(一部の人を除く)大衆は常に「それまでの常識」に近く、なおかつ「より楽が出来る」インターフェースがもっとも優れていると感じる。既存の概念を始めから全否定してはならない…と思う。
「これは優れている!」って宣伝しようとも、「アレは優れてはいない!」と言い放とうとも、現実は変わりはしません。
それらはCMと同じなんです。生きるために必要のないCMは誰も見ません。それは親指シフトやら飛鳥やらに関しても、OSに関しても、その他多くのことに関してもまるで違いのないことです。
ローマ字入力が何故普及したか?単純ですよ。
困ったときに周りで教えてくれる人が、ローマ字入力についてだけ精通していた(ロマかな切り替えの方法は知らないから旧JISカナが廃れはじめる原因にもなってしまった)からでしょう。
困っている人を困っているその場で助けること、それが何よりも重要なんです。それらはCMではないから素直に聞き取れる。CMは聞き流されるだけです。
宣伝するならもっとソフトに、「使い始めた人を応援する・困っている人を助ける」のが筋でしょう。それを飛ばして先走ってしまっては何にもならない。
作られたCMなど、何の役にも立ちません。
代わりに重要なのは、ユーザーの声と、困ったときに役立つ資料。それらが一番のCMなのではないでしょうか。
リファラログなどを見ていると、ホントにそう感じます。みんな何かを探しているんです。CM目当ての人など稀で、何か困っていたり、何かに興味があって資料をあさろうとしている感じなのです。
では、仮に子供に同化圧力を掛けたとしましょう。
その子供がもし「旧JISカナ」や「ローマ字入力」を知らないままに育ってしまった場合、将来どんな壁に突き当たるのかを。
そして、突き当たってしまってから後出しじゃんけんの様に全てを説明しても、既に時遅しなんです。
自分がそう教え込まれる立場だったらどう思いますか。私は本人に面頭向かって言うつもりはないですが、はっきり言ってそんなの許せないですよ。だまされたと思いますよ。善意のつもりで言ったことが、かえって仇になることもあるんです。そうなったらもう最後、取り返しはつきません。それは、いくら親指シフトが事実上優れていようとも、なんら関係ありませんから。
(注:元々このblogを「敗戦記念日に」はじめたキッカケは(配列界隈とは全く関係のない)だまされたという思いが元になっています…ゆえに、ここは特に過激な表現を使っております…すみません。)
だから、メリットもデメリットも全てひっくるめて、何一つ包み隠すことなく、正直に話した上で「いくつも入力方法はある。どれでも好きなものを選べ。ちなみに俺はこういう方法を勧める。」といって、きちんと選択肢が与えられていることが(そして子供自身に入力方法を選ばせることが)何よりも重要なのだと思います。
将来子供自身が「親指シフトができない端末」を目の前にしたときに、そういう経緯があって今の入力方法を選んできた子供と、そうではない子供とでは、親や世間に対し思うことの方向性が大分変わってくるはずです。
…ちなみに、私が引っかかったのは同化圧力云々の話ではなくて、唯一「習熟期間」に関する点のみです(って、いつも通りだな…)。
不得手な人にとっては、言うとおりの期間で覚えられないときもあります。
あなたは一週間で覚えることができましたか。私は4ヶ月掛かってもダメでしたけどね、と。
その辺の配慮は欠かさないでいただきたいのです。
あの一言が、多くのサイトメソッド・タイパーな人や親指シフトに挫折した経験を持つ人を傷つけ、親指シフトから遠ざける原因になっているのですから。
ポジティブコマーシャルは大変ですよ。実際に使っている人しかやらないし、闇雲に声を上げればお節介に聞こえるだけですから。
一方でネガティブコマーシャルは信じられないほどに簡単。なんといっても使っていない人ですらも堂々とそれを行えるのですから、実際に使ってみて挫折した人の意見はどれほど大きいことか…。
挫折するまでの期間をそんなに短く設定しても大丈夫なのでしょうか?私にはそれが非常に心配なのです。
誰も反対意見を述べなければ、それがNICOLAフォーラムの統一意志と見なされてしまいますが、それでよいのでしょうか。
もし「キーボードは人差し指で」の親指シフト版「キーボードは親指と中指で」か「キーボードは親指シフトで」、あるいは「日本語は親指シフトで」などを作成可能でしたら、是非にこれは作るべきだと思います。
推定10万人(?)の親指シフターが色々な意見を持ち寄れば、必ず良いものが出来上がるはずです。これは「誰が主役で作っているか」をあまり濃く出さずに、みんなが「私はそれに参加しています」と堂々と表明できる形にすれば、より良くできるはずです。
(この方法論で主張を宣言している方がおります。詳しくは「新しい創傷治療-更新履歴」の冒頭をご覧下さい…きっと何らかのヒントがあるはずです。)
何度でも書きます。必要なのは「役に立たないCM」じゃないんです。
ツールや教材を試行錯誤して作ること、困っている人に手を貸すこと、クレームに耳を貸すこと、現実に見合ったステップをゆっくりと踏んでゆくこと…そういう地道で苦労を伴う行動が、一番必要なんです。
こればかりは、焦ってはダメ・お手軽に事を進ませようとしてもダメで。
いつもよりもきついことを書いているかもしれませんが、避けて通るわけにはいかない話題なので、ひとまず。