その配列を『使いこなせている』ことと、その配列を『快適だと思う』事との間に、相関関係はない……と思う。

 ある配列を覚えることによって『使いこなせている』状態にはなると思う……それこそ、多くの人にとって「Qwertyローマ字入力」は『使いこなせている』よね。
 ……でも、そーゆー問題じゃないんだよ!って感じた人が、配列乗換えを指向するンじゃないかな……そんなときに、『使いこなせてるけど、快適じゃネェよ!』ってゆー、そーゆー配列が「人それぞれに」存在するんだ……ってことを、忘れていたりすると「いつか自分が、その罠にはまって、痛い思いをする」のかも、と。
 #それが「やるまえから」解れば苦労はない……のだけれど、今のところそれを実現する技術は開発できてませんorz。


 実際、「やれば出来る」は、ある程度まで真だと思います。そして「やらなきゃできない」のは当たり前の話だし。
 ……ってゆーか、「Qwertyローマ字入力」なんていう、だいぶややこしいのだって、皆何とかやってるわけで。


 ……ところで、実際に配列乗換えを指向してる人って、皆が皆『使いこなせてるけど、快適じゃネェよ!』って状態に、満足出来るんだろうか?……と、私はそこが不思議に思うんですよね。
 だって、『使いこなせてるけど、快適じゃネェよ!』って思ったからこそ、(その快適じゃない配列は維持しながら)配列乗換えを指向するンだよね……それなのに、『使いこなせてるけど、快適じゃネェよ!』って配列を、もう一つ習得したところで、一体『自分自身にとって、何の意味があるの?』って、私はそう感じてしまうんですよね……。


 「訓練によって手順を習得できるか否か」と「訓練によって得られた手順が、自身にとって快適かどうか」って話との2つが、きれいにリンクしてる!……なんて、さすがに誰も信じないと思う。
 この世の中で『手順』と『官能』がシンプルにリンクしてるんだったら、誰も苦労なんかしないじゃん……『手順』は「皆にとって共通」を実現できても、『官能』は「皆、人それぞれに違う」わけで。
 がんばって習得することによって、「成功するか失敗するかは別にして、いい勉強になる」ことは確実だけれど、がんばって習得したからと言って『必ず成功することを保証してくれる』なんて事はないし。


 結果的に、どんなにがんばって習得したって、「自分にとってやりにくいと思うその手順は、永遠にやりにくいまま」だよね……こーゆーのって習熟度にはさっぱり比例しなくて、それこそ移行の最初期に『これは絶対に、慣れたら快適になる予感がビンビンするぜッ!』みたいな、そーゆー感覚を感じ取れたものこそこそ「慣れたらアタリだと思う手順」なのだと思う。
 ただ、今の時点では、「一発で、これがアタリだ!ってゆー、確かな感触を得るに足る経験」を、インスタントに誰もが得られるような方法が存在しない……ので、結局は1ないしは複数の配列を乗換えしつつ、少しずつ「自らの官能に対して順応する、最も優れた手順」へと歩みを進めていくしかない気がする。


 実際のところ、何回か乗り換えすると、それこそ1四半期/回ずつくらい乗換え期間が掛かるから、下手をすると1年くらいかかってようやく「本当に求めていた配列か、それにすごく近いもの」にたどり着くンだと思う。
 ただ、それに対して「長すぎるよ!」って諦めるのは、正直もったいないと思う……わたしなんか、4回乗り換えるだけで10年掛かってるけど、その一番の原因は「10年前には、選択肢がさっぱりなかったから」なんですよね……。
 10年前なんて、今と違って「似てるけど、結構違う」くらいの離れ具合な『配列群』と呼べるものがなくて、これこそ「目隠しをして、スイカ割りをする」ぐらいに、無茶な乗換えをしなきゃいけなかったし。
 ……でも、2011年の今になって、そんな無謀なことをする必要はなくなり始めてきたと思う。

 まだ「目の荒さ」は大雑把だけれど、それでも10年前みたいな「ただの点、あるいはせいぜい線」としかいえなかった状態からだいぶ進んで、「網といえるレベル」にまで近接するほどに、候補が増えつつあるし。
 たくさんある配列を「候補がたくさんあってメンドクサイ」って考えるのは、正直もったいない話だと思う……そういった配列には、それぞれに関連性があって「たくさんの配列が、広い範囲を覆うメッシュとして機能してる」状態になりつつあるし。
 自分がそのメッシュの中に立った時に、その位置から「最も近い、メッシュの交点」に歩いてたどり着くことで、本当に使いやすい配列を得られるのだと思う……そして、それでも満足できなかったら、『自分が立っているその位置に交点をつくって、周りの交点に向かって線を引いて、メッシュの目をもっと細かくしてしまえばいい』と思う。
 今後もどんどん配列は増えていくと思うし、それにしたがって「メッシュの目」ももっと細かくなり、結果として「自分にとって快適と思える配列が、自分からとても近くに存在してる!」って感じられる人が、もっと増えると思う……そういう時代が来ることによって、もっと「共用配列とは別の、自分にとって合う配列を捜し求め、そしてたどり着くという人」がふえるんじゃないかな。


 私は、そーゆー時代が来ることを期待してます。
 そして、そのためには「他の人にとっていいかどうかは気にせず、自分にとって良いとおもえる配列を作ったら、公開してみる」ってのが、重要なんだと思う。
 無駄な配列なんて、たぶんひとつもないと思う……一つ一つの配列がたくさん集まってメッシュを構成することにより「より多くの人が、自ら網目を捕まえられるようになる」のだから。
 自分の目玉に掛かったフィルターだけで、配列の良し悪しを評価したって、仕方がないと思う……皆それぞれに違ったフィルターを持ってるし、皆それぞに得手不得手も違うンだし。
 むしろ、「自分の作った配列が、どの配列にどれぐらい近いのか」ってのを意識して配列解説を書く……とか、そーゆー方向に進むことによって『□□配列を試してみて、○○はよかったんだけど、××が気に喰わなかった!』って人に対する、よい水先案内が出来るのではないかな……と思う。
 まだまだ配列の網目が粗くて、なかなか『メッシュを構成するに足る情報』を書き記すには問題が残ってる気もする……けど、なんとなくこういうところは「配列数×経過時間」の積によって解決される気がすると思う。
 時間が解決してくれるかもしれない……ってのはあるけど、基本的には「俺配列を含む、配列数」が、問題を解決する一番大きな鍵になるはず……なので、今後も配列wikiで配列を追いかけようと思うし、メッシュを書くに足る『配列群』が形成された領域から、少しずつでも図示していきたいと思う。


 そして、もっとも忘れちゃいけないことが……。
 無駄な配列なんてない、ってゆーのと全く同じく、「無駄な習得訓練もない」と思う。
 乗換えに失敗したら、時間は無駄にした……って思うかもしれないけど、そうして乗換え訓練をしてきた経験って、後々『配列選び・配列作り』をするうえで、全くムダなく活用できるものだし。
 1〜2回乗換えに失敗したくらいで、諦めちゃ勿体無いよ……だいたい3回目を選ぶときには「何を選ぶとよさそうか?ってゆー見当が、ほぼ付く」ようになるはずだし、4回目ともなれば「ほぼドンピシャのもの選び出せるか、あるいは自力で3回目に使った配列を、1ヶ月程度で俺配列化改造できる」様になると思う。
 ここでは、「どの程度で見切りをつけるか」ってのも重要になる……けど、個人的には「未来がこのまま、辛いままになりそうだ」って感じたら、そのときが乗換え時だと思う。どのくらい習熟したか?ッてゆー習熟度にはほとんど意味がなくて、たぶん肝心なのは『体がそれを欲しているか&望まざる障害を回避できた自分を想像できるかどうか』ってところなんだと思う。
 想像力が足りない(=近隣配列を知らない)とか、当該配列を信じきっているときとかだと、案外と1〜2年くらい「なんか違うんだよなぁ……って悩みつつ使い続ける」事もあるかもしれないけど、それは仕方がないと思う。そーゆー経験もまた、「次に選ぶべき配列をアイボールサーチで探すときに、特に役立つ経験」になると思うし。


 いずれにせよ、『新しいことに、チャレンジしてみる』ッてのは、配列だけじゃなく私生活全体にわたって心地よい刺激をもたらしてくれるんじゃないかと思う。
 「無駄が多いけど、慣れてるから速い」手順って、鍵盤配列に限らず、世の中のそこらじゅうに溢れてるんだ……って事を体感して、その上で「慣れるまでの期間は遅くなるけど、それでも無理・無駄・ムラをなくすように工夫するほうが、結果として自分にとって利益がある」って事に気づくための教材として、箱庭的にそれをマルッと体感・経験できる『鍵盤配列乗換え』ってのは、結構重要なものだと思う。
 そして鍵盤配列の本当に面白いところってのは、「無理・無駄・ムラ」をなくすだけに留まったりすることなく、その先にある「手順の組み合わせ方を吟味することによって、人それぞれの快適さまでフォローできる」ってゆーところにたどり着けることにあるんじゃないかな……こーゆー事は「箱庭の外でやろうとすると、大変なことになる」けど、箱庭の中で出来る『鍵盤配列乗換え』なら、ヤヤコシイこのセカイのもつ偶然要因をほとんど廃した『かなり純粋な環境での実試験』ができるし。


 『Qwertyローマ字』と干渉しやすい方法さえ避ければ、あとは失敗することを恐れる必要はないと思う……そういう準備だけしておけば、移行に失敗しても、とりあえず『Qwertyローマ字』に戻しておいて、狙いを次に定めなおすことが出来るし。
 昔みたいに『候補が少なすぎるせいで、安易に乗り換えることができなくて、結果として目的地にたどり着くための時間が、10年とか掛かる』なんてことは、もうたぶんないと思うし。
 一つの配列を練習しながら、その周辺配列について少しずつ知っていくことによって、「そこにとどまって練習しまくるのが近道」なのか、あるいは「自らにとって耐え難い要素のないもののうち、より適してると思うものに乗り換えるほうが近道」なのか……ってのが、次第に見えてくると思う。
 場合によっては、たとえば「手持ちのノートパソコンに合わせて、デスクトップのキーボードを交換しちゃう」とかいう環境整備*1が必要になるときもあるかな……と思うけど、そういったところも含めて、いろいろ試してみる価値はあると思う。

*1:私の場合だと、使っている『かえで****あすか配列』の性質上キーボードに制限があって、「NEC・富士通Panasonic東芝Appleスタイルのキーボード」か、「DELL・BUFFALOスタイルのキーボード」のうち、どっちかじゃないとダメ……なので、そうじゃないものは「観賞用・実験用」としては買うけど、実用環境には一切投入しないことにしてます。もっとも、「NEC・富士通Panasonic東芝Appleスタイルのキーボード」でなく、かつ「DELL・BUFFALOスタイルのキーボード」でもないキーボードなんて、日本語入力用のキーボードとして存在or販売されているものの中には「ほとんどない」状態だから、実際には「何も考えずに買えば、まず問題はない」ってゆーレベルではある……のですが、それでも「ノートを基準にして、デスクトップ用キーボードにはなるべく同じものをあてがう」くらいのことはします。うちの場合だと、その「ノートにあわせる」ことをやるために、有名メーカー製型落ちデスクトップパソコンのキーボードを「もらってくる」か「ジャンク屋で買う」かの、どっちかのパターンが多いですね……ただ同然で入手できるから入手は楽チンですし、配列の許容度は比較的大きいので「あれもダメ、これもダメ……とか困ったりしなくていい」から面倒がないですし。