(memo)配列維持コスト。

 いつものWindows Journalではなくて、「はてなお絵かき」で書いてるから、いつもよりも酷くなってるけど……ひとまず。

 飛鳥カナ配列だと、ピーク時で200万打鍵/年換算くらい打ってた時期でも怪しかった……ので、たぶん「無練習でイケる下限点」ってのは、300万打鍵/年くらいの利用頻度になるんじゃないかな、と。上限はよく解らんけど、以前に特許事務屋さんが「下駄配列スレッド」で書いてたところからすると、500万打鍵/年かもう少し上辺りにリミットがありそうな気がする。
 かえであすかの場合、「指が打ち間違えるとおりに、正しいカナが置かれるように再配置する」ってゆーヒネクレたことをやってたから、(私にとっては)かなり打鍵量が少なくても大丈夫っぽい……今までのディップだと80万打鍵/年換算とかまで落ち込んでも問題なかったから、もうちょっと下でも「ゼロ練習・通常利用のみ」で記憶・維持できるのかも。
 #もっとも、ここには141Fさんが着眼したところの、いわゆる「俺配列属性」みたいなのが絡んでるから、「ほかの人にとってどうか」ってなると、また話は変わってくる……けど。


 いずれにせよ、配列が習得できるかどうかは「難易度<練習量+普段の打鍵量」の関係が成立しなきゃダメだし、それさえ成立すれば習得練習・維持練習をしなくてもいけるはず。
 ……で、ここで重要なのは【指強度と配列によって決定される負荷限度線】の存在。
 とことん練習すれば、どんな配列だって「無練習でいける……ハズ」ってゆー考えを崩しやがる、やばいところ。
 これはたとえば「かえで配列」とかみたいに、指負荷を全然考えずに作ったものだとはっきりわかるのだけれど……その配列を「無練習維持」するために必要な打鍵数を打ち切るよりも前に、その配列のせいで指がダメージを受けるようだと、そもそも「無練習維持」が成立しないってことになる。


 【指は痛くならないけど、打鍵量が少なくて覚えられない】ってゆー配列だと、打鍵量を増やすなり練習量を増やすなりのうち、どっちかを選択できる。
 でも、【指が痛くなるせいで、打鍵量をこなすことができない】ってゆー配列だと、打鍵量をこなして無練習維持をすることができないことになるから、「創作文を打ちたいのを我慢して、指の強度ギリギリで低頻度カナを集中練習して、忘れないようにする」ってゆーことが必要になっちゃう。


 無練習でやることを前提に設計されてる配列の場合、少なくとも配列設計者にとっては「難易度<ゼロ練習量+普段の打鍵量」の関係が成立してるから、上図における「かえであすか」位置のように、配列がフォローする平行四辺形エリアの最右端に「指負荷限度線」が立つ。
 一方で、練習することを前提に設計されてる配列の場合、誰か一人が無練習習得にチャレンジして成功するまでの間は「難易度<ゼロ練習量+普段の打鍵量」の関係が成立していることを保証していないので、配列がフォローする平行四辺形エリアの最右端に「指負荷限度線」が立つのか、それとももっと左側に棒が立って、平行四辺形のエリアを押しつぶしていくのか……ってところが、判らないことになる。
 で、押しつぶされ具合が特にひどい「かえで配列」の場合だと、それが極端に出て「指が運指記憶する程度まで使い込むことは、そもそもできない」ってことになる。


 鍵盤配列について、そのうち上図のような主観的保証が必要になってくるのかもね……あるいは以下のような箇条書きとか。

  • 習得維持負荷について。
    • この配列は作者にとって、80〜120万打鍵/年を下回る場合、80〜120万打鍵/年に満たない部分に相当する「低頻度かなに対する、出現頻度の低さを補完するための特殊な維持練習」が必要です。
    • この配列は作者にとって、80〜120万打鍵/年使う分には練習なしで維持できます。
  • 打鍵量限度線について。
    • この配列は作者にとって、80〜120万打鍵/年使う分には指に対する痛みを伴いません。


 ちなみに、平行四辺形エリアの最右端に「指負荷限度線」が立つのか、それとももっと左側に棒が立って、平行四辺形のエリアを押しつぶしていくのか……ってところは、「ある1人の、すでに習得し、かつ不満なく使えている人」にとっては、なーんにも関係ない話である点に注意。
 習得して不満なく使ってる人は、このグラフに描かれた『平行四辺形』の中にいることは間違いないけど、どこにいるのかはわからない……し、それで『本人が』困ることなんて何もないし。


 このグラフもどきで指し示したい事柄ってのは、【配列の作り方次第で、フォローできる領域は広がったり狭まったり、あるいは左右にシフトしたりしうる】ってこと。
 簡単化ルールを導入すれば、その分だけ平行四辺形の左辺は左側にシフトするだろうけれども、右辺だって左側にシフトするかもしれないし、たぶん「指負荷限度線」は左側にシフトしちゃう……そこは設計次第で変わっちゃう。
 無練習でいくことを前提にして、「指負荷限度線」を右側端に追いやることばかりを考えていると、「指負荷限度線」を右に動かしたつもりが、実は逆に平行四辺形の右辺が左側にシフトしてるかもしれない……ってのは、それを狙って設計したなら間違ってないか。
 練習することを前提にして「指負荷限度線」と平行四辺形の右辺をどっちも右側へとシフトしようとすると、平行四辺形の左辺まで左側へとシフトして、不必要に難しすぎる状態になるかもしれない……そこも設計次第で変わっちゃう。
 調節の結果は絶対的に働く……って考えてちゃだめで、相対的に動く……ってところに注意してないと、直感で感じたことが『事実とはズレていたりする』かもしれないところが怖いなぁ、と思う。


 その配列は、「どれぐらいつかって、どれぐらい練習することを前提として」作るか……ってゆー配列設計者の『考え方』と、それに抗う『現実』との間で、ほぼ自動的に「グラフ中における、とある配列の平行四辺形エリア」は決まってくる……ってのが、ちょっと怖いところ。
 配列を作るときには、「自分にとって使えること」が必要なのと同時に、「このグラフにおいて、自分がどこの位置にいて、そして自分からどれぐらい離れた人までをフォローしたいと考えるか」ってところを見つつ、配列設計をしていくほうがいいのかもしれない。
 ……かといって、ここで「低頻度カナを練習しまくったときに、どこまで通常打鍵を省略できるかチャレンジ」をやってしまうと、低頻度かなが「指にとっては高頻度」ってことになって、いざ評価打鍵をするときにカンが狂う恐れがあって怖いし……やっぱり「一人で平行四辺形の四隅を探してみるテスト」ってのは無理なんだろうなぁ。
 ……結局は「極端な使い方をするユーザーさんが同配列を使う」ってゆー事例がいくつかないと、その配列の本当の性質ってのはつかめないのかも。