親指シフターさんにとっての「第一選択キーバインダー」が、「専用エミュ」から徐々に「汎用エミュレータ族」へと移りかわっているらしい……。

 ふつうに「やまぶき」とか「em1keypc」とかの話が出ていて、なるほどね……と思った。
 「メンテナンスされているという安心感」を求めたい気持ちは、誰だって同じだし……。
 んでもって、もしも「やまぶき」が動かなくて、「em1key」だと設定しにくいってときには、さらに「DvorakJ」がある……という、三重の冗長化環境が確保されてる。
 かつて64bit化の荒波にもまれ始めたときには、一体どうなるんだろう……とひやひやしていたのだけれど、こうして「柔軟なキーバインドを簡単に実現できる、たくさんの選択肢」が実在してる……ってのは、ホントに強い安心感をもたらすんだな、と思う。
 Macintosh環境についても、さらに選択肢が増えつつあるッぽいし、そっち方面でも安心度は増してる。


 かつて「事実上、NICOLA専用」のエミュが全盛期だった頃は、「NICOLAができれば、それで良いじゃん」って皆が思っていたせいで、『ただ一つの標準的なエミュレータしか、多くのユーザーを獲得できない』って状態になっていた。
 ……で、それが長年掛けて日笠さんにストレスを与え続けてしまった……ってゆー、苦い経験をしてる。


 翻って、今は「NICOLAはサポートするけど、他の特色がそれぞれのソフトにある」ってゆー状態だから、ユーザーの嗜好がそれぞれ異なるために、どうやっても極端なユーザーの偏りは発生しない。
 ……だからこそ「それはこのソフトではサポートしないと決めてるところだから、どうしても必要なら他のを使ってくださいな」って方針だって打ち出せるし、それぞれのソフトがそれぞれ自由に進化して行ける。
 こーゆー体制って、「飛鳥のためのエミュレータ」時代には既にあったし、実際それで「作り手も、使い手も、みんなお互いにうまく難題を切り抜けることができた」ってゆーことがあるから、今のように「十分に多重化された状態」ってのは、たぶん皆にとって良いことなのだと思う。


 かつて鈴見咲さんは、(シェアウェアとしての売り上げに響くはずだとおもう)やまぶき1.xの登場を、それでも強く支持していた……のだけれど、あの当時からすでに「こういう未来が来る」ってゆーことを理解していたんだろうな……と想像してみたり。
 様々なシフト方式をサポートするソフトが、多重化するに足るだけ揃う……とは、私は当時さっぱり想像できていなかったのだけれど、実際にそういう時代になった今を目の当たりにしてみると、改めて驚いてしまうんですよね……。


 いくつもの汎用エミュレータが、ユーザー層の多い領域については多重化してカバーしつつ、すごく広い範囲のけん盤配列を「プログラミングの知識を持たないユーザーでも使えるように、フォローしている」ってのが、今の現実。
 ……で、いろんな配列を使う人が「それぞれのエミュレータ」をテストするからこそ、単一配列経由では見えないようなバグを見つけ出したり、単一配列経由では思いつかないようなアイディア機能を皆に提供したりしてくれる。


 ……こういう世界が「妄想でもなんでもなく、今目の前にあって、手元のパソコンで普通に使えている」ってゆーのは、今となってはアタリマエなのだけれど、だいぶ前から使ってる身としては「改めて見てみると、やっぱりすごいこと、なんだよな、これって……」と、そう感じるところで。
 それにくらべて、俺がやったことっていえば、せいぜい【NICOLA-F風JISキーボードをNICOLAで使うための定義(かな入力モード用) - 親指シフト(NICOLA)まとめWiki - アットウィキ】みたいなのを作るか、あとは「JIS X4064違反を指摘して、直してもらえるように頼む」なんて程度の話だし……もうちょっと貢献できるといいのだけれど、あまり出来ることがないんだよなぁ……orz。