富士通コンポーネントの「やる気・熱意」が見える……。

 801キーボードような「白牌キートップを持つ、狭ストロークのキーボード」が将来経験する「使用開始後3年目」を的確に想像して、ユーザーが将来持つであろう不満を先回りして解消してる*1。いい道具眼を持ってるな。

 これは、例のデザイナーさんが「ぜひ用意しよう!」って、強く訴えたのかなぁ。
 親指シフトキーボードを「効率追求のためのツール」としてではなく、「愛着をもって接するためのマーク」と見なして設計するセンスがないと、こういう部品展開はできないから……こーゆー気遣いは◎だと思う。


 ……そして、こーゆーシートを作ると「機械寿命が延びちゃう=買換え需要が減る」のだけれど、それについては気にしてないと言うことか。
 従来と比べて安いから、一見『重量半分・価格半分・寿命半分』設計かと思う節もあるのだけれど、どうせ中身は「富士通の高級機ライン用キーボードと同じ」で寿命には自信があるのだから……それに見合うように「汚れやすいカラーリングのキーボードを、きれいに使ってもらえるようにしたい」ってゆーサービス精神以外の裏はないんだろうな、とも思う。


 ……なんというか、昔のキーボード設計部隊とは、一味も二味も違うような気がする。
 ……ってゆーか、ニッサンのマーチ開発部隊にも同じ感覚を抱いたのだけれど、どうしてそれを「あと15年はやく」実現できなかったんだろう……って、そこがどうにも不思議に感じてしまう。
 富士通に当時から「こういう研究熱心な開発部隊」があったら、FKB7628-801のPS/2接続版が、1995年頃には誕生していても、全然不思議じゃなかったはずなんだよね……。


 ……って、巻き戻せもしない「時」を恨んでもしかたがないか。
 とにかく、この商品展開はまさに Good job! だと思う。
 あとは、親指シフターさんが「Japanist/64へのアップデート資金をお布施するために」Japanist付きのを買いまくってくれることを期待するくらいかなぁ。
 メーカーがやる気満々なのに、市場はさっぱり反応しなかった……なんてことになると、せっかくの「中の人のやる気」を削いでしまう可能性があるから、そのあたりは「静かに、しかし確かに買い支える」ってゆー行動でしめすべきなんじゃないかな、と思う。


 「JISキーボードでやる親指シフトは快適!」って言う人は、わざわざJapanistを支援しなくてもいいけど、「NICOLAキーボードでやる親指シフトは快適!」っていいたい人は、

  • 64bit環境に乗り換える。
  • 64bit環境対応の親指シフトエミュレータを使ってることと、Japanistの64bit対応アップデートを強く望んでいることとを、同時に書く。
  • Japanistを買って(買い足して)、ユーザー登録のときに「Japanistの64bit対応アップデートを早くやってくれ!」って意思表示する。

の3点セットをやってみるといいかも、と。
 「プレッシャーを掛ける」ことと「カネを出す」ことが同時平行で行われないと、たぶん富士通としては行動しづらいと思う……ので、そのあたりの「中の人にかかってるプレッシャー」は理解してあげるべきだよなぁ……と思うところで。


 今まで半ば「出血大サービス状態で」NICOLA環境の維持に尽力してる企業が、目の前にある……んだから、そういう企業が「すくなくとも報われて、願わば美味しい思いを出来る」ように、環境維持のための投資はケチらない方がいいと思う。
 私みたいに「ほとんど全部を投げ捨てて、どこのキーボードでも使えることを第一義に調節する」とかいう枯れた考え方とは逆のベクトルで「いいキーボードを使ったときにナイスな環境が構築できる」ってのがNICOLAなんだから、(オリジナルのキーボードを使う上で)NICOLAの運用に関してケチケチするのは、あまり良い方向ではない様に感じる。

*1:デスクトップ用キーボードのうちほとんどが、軸の都合で「真上から垂直にたたく」使い方を強要する(そうしないと、しばらくして「引っかかる」ようになる)……というのに対して、ギヤリンク支持やパンタグラフ支持を使う狭ストロークのキーボードでは、軸の制約がないので「なでるように、適当な方向から押す」ことも出来る。こういう使い方を出来るキーボードは、たたくことしかできないキーボードと比べて「鍵盤面に手垢汚れや爪傷が定着しやすく、かつ剥離しにくくなる」ので、一般的にキーボードは汚れやすくなる。ましてや801キーボードは淡色系の2色鍵盤だから、余計にその汚れが目立つわけで。キーボードカバーは、こういった汚れに対して「(すべり係数を減らすので)なでるように押すことを規制する」機能を持つとともに、「(本来機能の通りに)汚れを保護カバーの裏側まで浸透させず、キーボードを汚れから守る」機能を果たすから、2重の意味でキーボード自体をきれいに保てる。もっとも、その分キーボードカバー自体は半年〜1年で劣化するから「しばらく供給し続けなければならない」のだけれど、要は「供給し続ける覚悟」ができた、と言うことなのだと思う。提案した人も偉いけど、企画を通す決断をした人も偉いよ、これは。