シャープの「QUADTRON(クアトロン)」は、Panasonic機のようなややこしさもなく、「設定値を全部真ん中」にすれば、結構マトモな色がでる。
【お知らせ――2013/12/12追記。】
シャープのAQUOSシリーズで、あの「(店頭用)ダイナミックモード」が排除されたようです。
http://japan.cnet.com/digital/av/35035006/
(過去:シャープの「QUADTRON(クアトロン)」がらみで、ふと思った……のだけれど、いまの「色覚検査」って、実は意味ないんじゃないだろうか……。 - 雑記/えもじならべあそび)
(過去:シャープの「QUADTRON(クアトロン)」は、テレビ画面を「絵作りされた写真」から、「ただのガラスの小窓」へと誘導するための、第一段階なのだと思う。 - 雑記/えもじならべあそび)
(過去:シャープの「QUADTRON(クアトロン)」は、見慣れていない金屏風で目くらましをしたりせず、真面目に『千切りキャベツ』と『きんぴらごぼう』を表現できるように色変換テーブルを作り直してから、ソフトウェアアップデートで全機漏れなく直せよ、と思う。 - 雑記/えもじならべあそび)
(過去:パナソニック 37V型 液晶 テレビ VIERA TH-37LZ85 フルハイビジョン 2008年モデル、導入初日レビュー。 - 雑記/えもじならべあそび)
のっぺりと激しく黄色飛びした何か*2を映し出しておいて、これがキャベツの色です!とか……正直、一体どんなジョークなのかとガッカリした。
となりで薄ぼんやりと、冴えない色を出してるパナプラズマのほうが、はるかにマシな色味で再現してるよ*3。
#……って、もしかしてVIERAと同じで「(店頭デモ用の)ダイナミックモード」な色指定を全部外せば、ちゃんとした色が出るのだろうか……もしそうだったら、もう一度見てこないとダメか。
……こんなことを書いて、ふと思い立って、PDFのマニュアルを熟読した上で、もう一度実機を見てきた。
……なんか、アップデートを待たなくても、調節だけでイケそうな気がしてきた。
Panasonic機は「フラット=センター」と「フラット=ゼロ」が混じってる……けど、シャープ機の場合は「フラット=センター」で揃ってるから、調節するのはカンタン*1。
- 画質を弄るには……リモコンでの、電源ボタンの4つ下にある「AVP」ボタンを押していって、【AVメモリー】にする。
- リモコンでの、右下にある「ツール」ボタンを押す。
- 画像に関する調節可能な部分を、全部【センター】にする。
- リモコンでの、右下にある「ツール」ボタンを押す。
- 店頭で色々弄って、次のヒトのためにと元に戻すときは……リモコンでの、電源ボタンの4つ下にある「AVP」ボタンを押していって、【ダイナミック(固定)】に戻そう。
- 【ダイナミック(固定)】は、言い方を変えれば「店頭専用の詐欺設定」。
- 「フラット設定」とは真逆の「超高輝度・(輝度を大幅に上方修正しているため)ダイナミックレンジも飽和しまくり」設定になっていて、【メチャクチャ明るい家電店でも、簡単な操作で確実に、十分に明るく見えるようにする】ことが出来る……ってゆーもの(そのために「固定」ってゆーキーワードが使われてるッぽい)。あくまでも販促用であって、常用モードじゃない点に注意*2。
- 個人的には、ストレートに「店頭デモ用設定」って名前をつけて欲しかった気もする。ンで、ついでに「明るすぎる場所のために作った店頭デモ設定では、一部の色が飛んでしまいます。ただし、ご家庭の明るさでお使いいただくほかの設定では、色飛びすることなく階調豊かな表現をお楽しみいただけます。」とか、正直に書くほうが良いんじゃないかと思う。
- 【ダイナミック(固定)】は、言い方を変えれば「店頭専用の詐欺設定」。
当たり前だけれど、フラット設定にしてると「彩度のダイナミックレンジを、めいいっぱいまで使ったりはしない」ので、すごく眠たそうな色になります……が、こういう設定ほど「家庭で普段見る明るさのときに、長時間見ても破綻しない色味を出してくれる」わけで。
この状態だと、黄色が飛んだりすることもなく、綺麗に【青〜青緑〜黄緑〜赤】の色味がつながってくれます。
#飛んでる色味から考えると、ハードウェアは「十分再現しきるポテンシャル」があると思う。ダメなのはソフトだよ、たぶん。
( http://d.hatena.ne.jp/maple_magician/20100726/1280153136 )
……なんてことを書いてたけど、色が飽和せず、ダイナミックレンジの範囲に納まっていれば、結構いい発色になっていると思う。少なくとも「歪んでる」感じはほとんどなくて、単に「ダイナミックレンジをオーバーして、クリップが発生して潰れていた」だけの話ッぽい。
……で、いざフラットにしてみてると、とにかく「目に痛くなく、発色のいい蛍光黄」の感触が上手くでていて、やっぱり上手い色を選んだなぁ……と感心してしまうところ。
赤と緑で作る「明度は高いけど、彩度が低い、くすんだ黄色(≒プロセスカラーによる黄色)」じゃなくて、きちんと「明度が低くても、十分に彩度が高い、透き通った黄色(≒特別調色としての黄色)」になってる。
これで赤と緑のキツさを減らしつつ、(【青×緑】【緑×赤】のプロセスカラーを、【青×青緑】【青緑×黄緑】【黄緑×赤】のプロセスカラーに分解できる分だけ)黄色近辺の色度精度が上がる……ってのは、結構楽しみではあるな、と思う。
……ただ、いいことばっかりでもない、という状況かなぁ。
ダイナミックレンジの問題が解決すると、はじめて気になる……ってゆーところが2つ。
- 色相の「連続性」に、やっぱりなんか違和感がある。
- 差に鈍感な【ダイナミック(固定)】を優先で調節したのかなぁ……と感じてしまう。
- 全体的な画像処理が「orz」な感じ。
- この辺は、好みの問題*3だから、なかなか難しいだろうけどね。
じっと見てると、けっこうダメなところがある……けど、「透き通った黄色」によって、だいぶペイできる部分があるとは思う。
「太赤・細緑・太青・細黄・太赤・細緑・太青・細黄……」ってゆー(反対色をうまく混色させる)バーパターンは、よく考えられてるな……と思った。
(ASV系にとって得意ではなかった)肌色再現性の粗さを解決できる*3から、シャープは相当速い速度で「クアトロンの低価格化」を推し進めると思う*4。
(from http://d.hatena.ne.jp/maple_magician/20100711/1278776199 )
当初の予測どおりに【Expired】って話になったみたいだし、他社の中にも「緑(G)」を「青緑(BG)と黄緑(YG)のペア」へと振り替える例が増えそうな気もする*4。
……ってことで、他社(とくに、IPSアルファテクノロジ)が追随することを期待したいところ。
……で、いまのところ「クアトロン」を買うかどうかは、結構迷ってる。
たぶん、3世代後くらいに「色制御技術が十分に成熟した、ちゃんとしたクアトロン」がでるんだろうなぁ……って感じなので、そこまで待ってみたい気もするけど。
ただ、今のクアトロンでも、「ダイナミックレンジを使い切らず、輝度に最低6dB分くらいの余裕を持たせて使う限りは」比較的まともな性能を発揮してくれると思うから、そう明るすぎない(≒プラズマテレビにとって適した照度の)場所では、十分に使えそうな気もする。
【ダイナミック(固定)】での、ダイナミックレンジを振り切る使い方は反吐が出るほどキライ……なのだけれど、そういうのをやらずに【フラット設定】で、十分に輝度余裕を持って使う分には、クアトロンのいいところが、上手く発揮されそうな気がする。
*1:ただ、見た感じ「フラット」ってゆープリセット設定は、ないみたい……よく検証してないから確かではないけど、そこはもったいなさ過ぎるきもする。
*2:金色や青色などの低輝度部分は、これでも綺麗に見える……けど、薄い色身の部分はダイナミックレンジの飽和によって色が崩壊してるから、これはあくまでも「液晶テレビの美味しいところは生かせていない」特殊用途向けの設定でしかない。
*4:新たに「カラーフィルターの色素構成+色変換式」を再発明する……ってのは賢明じゃないから、ソニーと東芝あたりは「シャープのクアトロンパネル搭載」ってゆー売り方にシフトするんじゃないかと思う。うちの周りで聞くと、「クアトロンのアクオスが欲しい」ってのとほぼ同数で「クアトロンのブラビアが欲しい」ってのと「クアトロンのレグザが欲しい」って話を聞くし。シャープはコンポーネント屋であると同時に部品屋でもあるのだから、たぶんそういう方向にシフトして、始めて「シャープのクアトロンパネルはイイね」って評価に落ち着くのだと思う。