シャープの「QUADTRON(クアトロン)」は、撮影→伝送→表示の全てを、4チャンネルカラー(RGBY)でやらなきゃダメ。

(未来:シャープの「QUADTRON(クアトロン)」は、テレビ画面を「絵作りされた写真」から、「ただのガラスの小窓」へと誘導するための、第一段階なのだと思う。 - 雑記/えもじならべあそび)
(未来:シャープの「QUADTRON(クアトロン)」は、見慣れていない金屏風で目くらましをしたりせず、真面目に『千切りキャベツ』と『きんぴらごぼう』を表現できるように色変換テーブルを作り直してから、ソフトウェアアップデートで全機漏れなく直せよ、と思う。 - 雑記/えもじならべあそび)


 1年ほど昔、3原色だとうまくキャプチャできなくて「こりゃあ、4色で数値化しなきゃダメかな」とか妄想してたことがある*1……のだけれど、シャープが似たよーなことを考えて製品化していたと知って、とても驚いた。
 残念ながら、シャープのそれは「出画だけ」の話だけれど、将来に期待できるところがあると思う*2

 緑のチャンネルを細くして、黄色を埋め込んでる。
 「太赤・細緑・太青・細黄・太赤・細緑・太青・細黄……」ってゆー(反対色をうまく混色させる)バーパターンは、よく考えられてるな……と思った。
 (ASV系にとって得意ではなかった)肌色再現性の粗さを解決できる*3から、シャープは相当速い速度で「クアトロンの低価格化」を推し進めると思う*4
 「自然な色合い」ってゆーと、普通はS-IPSを思い浮かべがちなのだけれど、テレビコンテンツの内容を考えるに「評価がQUADTRON-ASV系へとシフトする」のは、時間の問題かもしれない*5
 私は3色系ASVの「発色」が好きではなくて、あえてS-IPSを選択していたのだけれど、低価格帯でのQ-ASVがでたら、たぶんそれを買うことになると思う。


 ちなみにこの4チャンネルカラー方式、「色弱とかを持っていて、色を判別しにくい」という人にとって、かなり有効に働くと思う。
 たとえば、緑や赤がギラつきやすいH-IPS方式に適用すると、「RとGをギラつかせずに、必要な輝度を出す」ことができる。
 「目に優しい」ことにかけては、昔からASVが一番の評価を得ていた……のだけれど、色再現性でもS-IPSと戦えるところにきたら、松下・日立連合にとっては致命的な事態になるのかもしれない*6


シャープ 40V型 液晶 テレビ AQUOS LC-40LX3 フルハイビジョン   2010年モデル

シャープ 40V型 液晶 テレビ AQUOS LC-40LX3 フルハイビジョン 2010年モデル

シャープ 40V型 液晶 テレビ AQUOS LC-40LV3 フルハイビジョン   2010年モデル

シャープ 40V型 液晶 テレビ AQUOS LC-40LV3 フルハイビジョン 2010年モデル

2010年7月26日0:13:56追記。

 たとえば、↓を知ってる人だと、「あー、シャープの狙いって、そーゆーことなのか。」ってピンと来ると思う。

  • 「色光の三原色」を実現するためのカラーフィルタ自身が「色料の三原色」で構成されてる。
  • 3原色の考え方で綺麗に出ない色を「特色」としてカラーチップ指定したことがある。
    • しかも、特定の中間色が「わずかに色味の違う」ものになっていて、ブチ切れたことがある。
  • (インクジェットプリンタにありがちな)蛍光黄とか蛍光赤がどうしても使いたくて、3原色に入ってない色の掛けあわせをやったことがある。
  • CMYKRGBとかの、多色分解印刷に興味を持って本を買っちゃったりしたことがある。

 ……それこそ【豪華な同人誌を作って印刷したことがある】ような人だったりすると、『あー、なるほどね。』って納得できる話なんじゃないかと思う。
 #……って、そんな分野に首を突っ込んだこともない私が、↑のたとえを出すのもどうかと思うけれど。



 ……個人的には、クアトロンがインチキ呼ばわりされてる状況から、速く脱して欲しいなぁ……と思う。
 そのためには、たぶん、色評価方法を根本的に変えなきゃダメなのかも。
 たぶん、シャープ社内には「色の基準を決める、マイスターみたいなひと」が居る……と思うのだけれど、その人だけを頼りにするんじゃなくて、たぶん「CUDO」のサポートが必要になると思う。
 「過敏な色域と、鈍感な色域との区分けが、他の人とは違う、という人」に、たくさんチェックしてもらう……ってのが、クアトロンからインチキらしさを抜くために、相当に役立つんじゃないかと考えていたり。
 #特に、「P 型弱度」と「D 型弱度」の人によるチェックでは、色々なことがわかってくる*7と思う。

*1:ちょうど、この絡みについて調べていたときに「CIE L*a*b*」(JIS Z8729)にぶち当たって、ふとそう考えました……ってゆーか、この手のヤツって「輝度+青さ+赤さ」の3チャンネルで表現できるから、4チャンネルカラーである必要はなかったりするorz。

*2:現実的には難しいと思うけど、「CIE L*a*b*」で撮影できる4色フィルタを使った「ビデオカメラ」が登場して欲しいと思う。伝送系はもともと似たような仕掛けだから、まぁいいのだけれど……。

*3:自然を忠実に描き分けるなら「RGB+CMY」の6色は必要なのだけれど、それだと輝度確保&カラーパターン設計が難しくなる(例:富士フィルムハニカムCCDセルパターン)し、下手をすれば「技術者のオナニー」になりかねないところがある。テレビコンテンツが「人」に偏って表示される&ヒトは「ヒト」を認知するときに敏感だ……ってゆー事実に着目すれば、「RGB+Y」で妥協するのは、コスト的にも色域的にも正しい判断だと思うし、液晶vsプラズマ戦争において「液晶の方が有利に扱える技術」として有効に作用すると思う。

*4:シャープはTVCMで「金屏風」を例に特徴を説明しようとしてるらしい……けど、そーゆー「普通のヒトが、現物を見慣れていないもの」をテーマにしても無駄だと思う。簡易暗室に3波長蛍光灯の照明をつけて、料理番組とかライブコンサートDVDとか、そーゆー「比較的見慣れた緑←→黄色←→赤色のコントラスト」をうまく出してるソースを選ぶほうがいいと思う。

*5:2010年7月22日23:01:19追記……個人向けだと、成人男性にとって「AVとかが生々しく見える」ってのはプラス要素だろうし、家庭向けだと「東芝製高演色蛍光灯との組み合わせ」で全てのコンテンツがより魅力的に見える点をアピールできると思う。

*6:もともと普通のテレビが描き分けを苦手としていた「黄色人種の老若差&化粧の色味差」をきっちり描き分けるはずだから、テレビ女優と化粧品メーカーにとってQ-ASVは、(テレビ解像度のHDTV化と同じ理由で)かなりヤな存在になると思う。

*7:たとえば、色変換式のバグによる、わずかな誤差を検知できる、とか。