(memo)待ち焦がれていた「親指シフト」の「上から打鍵動画」が公開された。

(言及前:親指シフトの倉庫 親指シフトのタイピング動画公開!)
(過去:タイピング動画における運指は、やっぱり「真上」から見ると、わかりやすい。 - 雑記/えもじならべあそび)
(関連:富士通が「インチキパンタグラフ」な親指シフトキーボードを試作。 - 雑記/えもじならべあそび)


 しかも、公開したのは「親指シフトのセールスマン」な、ぎっちょんさんだったりする……これは超期待。





 ……とりあえず、「(他の配列における)上から撮影した打鍵動画」を見慣れた方は、ぎっちょんさんによるこの動画を、よく観察してみてください。
 私もまだ内容までは見てないなかで書いてるので、まだ感想は述べられない……ので、チェック次第追記してみます。
 #とりあえず「撮影スタイル」は、まさにこれでOKだと思います。こーゆーNICOLA動画を待ってました。

2010年6月12日23:08:43追記。

 こうして「上から打鍵動画」で色々な配列が揃ってくることによって、たとえば
D
D*1
あたりとも「両方の動画を見比べてみる」ことができる……と。


 上から動画の共通点として、「横から撮影」ではさっぱり解らなかった「各指の細かな動き」が、邪魔されることなく映っているので、まだその入力法を練習してない人にとっても、「自分が訓練したら、こう打てるようになるんだな」ってゆーイメージを膨らませることができるわけで、こういうのが揃ってくると「いい教材になる」と思います。
 ぎっちょんさんの動画はまだ一つ目を見始めたところ……なのだけれど、やっばりよく撮影されていてナイス。
 #親指シフト方式NICOLAユーザーさんが「B下割れキーボード」を欲する理由は、これら動画を「10秒」見るだけで納得できた……とか、短時間でも解るところがあったり。とりあえず全部通して見て、整理してみるつもり。

2010年6月12日23:29:20追記。

 一巡目、3個目を見ていて気づいた……体は正直だな左手小指は正直だな、と。
 ……でも、やっぱり一巡しただけでは気づけないところが多いのかも。何順か見てみる予定。

2010年6月12日23:35:56追記。

 一巡目、4個目を見ていて思った。


 Japanistの予測変換が邪魔をして、動画後半ではよりにもよって「(き)くちつ」の打鍵を隠しちゃってるのが、NICOLA的に「すごく」もったいない。
 あれって、NICOLAにおける漢語対応のうち「受け」の一翼をになっているから、案外と重要だったりするんです……。
 #とはいえ、隠れるのは後半になってからだから、前半のうちによく観察しておけばいいだけ、ともいえますけど。

2010年6月13日0:05:32追記。

 一巡目の閲覧を完了。
 動画の撮影品質、すごく良いです……うちも同じWebカメラを買おうかと思いました。


 個人的には、親指が「指のスナップで」押されてるのか「手のひらごとの動きで」押されてるのかを見たい気もするので、あと3センチくらい下までキーボードが映ってると最高だったかも……なんて贅沢を言いたくなるところです。
 ただ、↑の個人的趣味の部分を放置すれば、この動画の撮影方法で「NICOLAのことが、よくわかる」のは、間違いなさそうです。
 さて、二順目に突入するか……。

2010年6月13日1:04:09追記。

 僕にとっては「左右逆転NICOLA」だと打ちやすそうだな……と感じてきた。
 左手親指のあの動きは、僕にとっては結構キツイな、と。


 それから、NICOLAで「右手小指至近に【後退】キーが欲しくなる理由」も、なんとなくわかり始めてきた気がする。
 【短い文節で区切って変換していく】という使い方をするときに、表現変更のためのキーとして、確かに手近にある「べき」だな、と。
 たぶん、配列構造にはほとんど関係なくて、かなりの部分が「変換するタイミング」に依存してる気がする……長文節変換をする場合は「後退」だけが手近にあっても有難みは薄いのだけれど、ぎっちょんさん実演のように単文節〜短文節で変換(or無変換)するなら、「後退」キー1個が手近にあるだけで、十分使い勝手がよくなるのは確かだし。


 NICOLAって、すごく意地悪に言うと

  • 開発1.5ヶ月、改定1回ででっち上げた配列。

なのだけれど、こういうのを

  • 1979年時点の、計算リソースが貧弱な時代に作り上げた。

ってところを知ってる人なら、NICOLAの運指動画から「製作時点での、鬼気迫ってる感」を感じ取れるかと。


 開発期間を徹底的に圧縮して「極端に短い期間で、使える配列を作る」ってゆー無謀なことをするには、配列設計に時間を掛けてる暇はなくて、むしろ「配列設計前の、事前準備」を綿密にやらなきゃいけない……のだけれど、NICOLAはそのプロセスをうまく成功させたんだと思う。
 かなの一文字ずつを細かく調節してたら、とても一ヶ月じゃ完成するわけがない。たぶん、「真面目にやったら、今の計算能力じゃ何年かかっても終わらない」って気づいてたんだと思う*2
 そうした中でとった手法として、たぶんカナをある程度グループ分けしてから、「日本語入力法って、こうありたいよね。」ってゆー意思にそってけん盤配列へと当てはめていったんだろうなぁ……と、この運指動画を通じて感じました。


 親指シフトの設計プロセスや設計思想、あるいはその裏にあった「開発競争に関するドラマ」をも垣間見れそうな、いい打鍵動画に仕上がってると思います。
 それにしても、上から動画の印象って、やっぱり強烈だな……たぶん開発陣の「こんな感じでルールを作って、カナをおいてみました」みたいな簡単説明があったのかな、そうであればなおさらに「富士通社内で、いわゆるOASYS残業を嬉々としてやってる人がたくさん居た」ってのが、すごく現実味のある話に思えてくる。


 ……結局、「でっち上げ配列」でも、別に構わないと思う。
 それが「設計者の意図」であることは別に悪く言われるべきものではないし、「グルーピングでカナを置く」って考え方自体は今も健在*3なんだし。
 ……で、こういう「NICOLAでカナのグルーピングをどういう風にしたのか、という記録」を、やっぱり見てみたくなった。どこかに「配列構造計算書」とか「配列設計趣旨書」なんてのは、存在するのかなぁ……すごく興味があるのだけれど。そのなかに、「NICOLAの、本当の意味でのメリット」が、何らかの形で描かれているのだと思う。
 #「カンタン設計なのに、愛される理由」が、どこかにあるのだと思う……と言うか、この場合は「わざとカンタン設計にしたから、愛される」理由、なのかも。デタラメな簡単設計をしたら失敗する……ってのは、実際デタラメカンタン設計を何度もやって身に染みてるだけに、「デタラメではない、カンタン設計」のための、何らかのノウハウが詰まってるんじゃないかと思う。

2010年6月13日13:57:57追記。

 二順目閲覧完了。


 ……やっぱり「1.5ヶ月の設計目標」にあわせて、配列の設計手順そのものに重きを置いて来たッぽい印象が強い。
 ケツが決まっていて、それに「きっかり間に合わせる」ために逆算して計画を立ててきた……って感じじゃないと、たぶん「中途半端な配列」になっていたはずだと思う。
 そうならずに、うまくまとまってる……はずなのだけれど、「どういう基準に沿って、うまくまとまったのか」ってのを、まだつかめていない。


 んー……「慣れたあとの、NICOLAユーザーさんにとっての、NICOLAの打ちやすさ」が、確かにある……ってのは動画できっちり表現されてるからいいとして、それを支える配字理論ってどうなってるんだろう。
 配列だけ見ると全然ピンと来るところがなかったのだけれど、運指には「それ」が出ているような気がするんだよね……でも、まだ「どこがどうなってるから、うまく行ってる」のかが解らないまま。
 何なんだろう……なんか釈然としないままだけど、絶対「なんかヤってる」はずなんだよな……。


 二順してもわからんから、ちょっと一休みしようっと。
 #ってゆーか、配列だけ見てもわからなくて、「運指をみて始めてわかる」部分があるのは、やっぱり「キーボードによる文字入力」が「指の運動」によって行われてるから、なんだろうなぁ……。

*1:tomoemonさんの打鍵動画へのリンクは、2010年6月13日2:26:37にここへ追加しました。私のミス過多な打鍵動画だけだと、運指確認には問題がありそうな気がしたので。

*2:まともに計算配列を作ったJIS X6004は、このころ開発を開始して、完成までに数年掛かってるし……それと同じ事をしていたら「ワープロの開発競争」真っ只中に居た富士通的には「目的を達成できない」わけで、同じ手法での長期配列探索を「商業的な理由で」選択できなかったのは当然といえる話。

*3:マクロ的な設計をやる「計算配列」を別にすると、手捏ね配列で「○と△と□は※※※※だから右手に置く事にして、その中で調節した。」とかいう話は日常茶飯事だし、実際そうして「意図」を含ませるからこそ「手捏ね配列ならではのリズム感に裏打ちされた打ちやすさ」が確保されてるのは、たいてい真実だろうし。計算配列の目指す「打ちやすさ」と、手捏ね配列の目指す「打ちやすさ」は、到達するべき目標点が同じでも、「どう打ちやすくするか」という手法が全く違うから、これらを相互評価するのはすごく難しいと思う(し、下手をすると「相互評価自体が無意味」になる可能性すらありそう)。