富士通が「インチキパンタグラフ」な親指シフトキーボードを試作。

(関連:(memo)待ち焦がれていた「親指シフト」の「上から打鍵動画」が公開された。 - 雑記/えもじならべあそび)
(過去:FKB8579-661EVは生産終息品目に。 - 雑記/えもじならべあそび)



 ……って、「インチキパンタグラフ」って言い方はアレなのだけれど*1、実際「パンタグラフではなく、ギヤの歯でリンクするシステム」を使ってるそうで。

 「ギヤドライブ」じゃないので、ポテトチップス攻撃を受けて風評被害をモロに食らう……とかいう、悲しき結末に至る恐れはなし。


 ちなみにこのギヤリンク、ちょー昔の富士通ノートPCでも使われてたはずで、たしかMMX Pentium時代に私が使ってたのも、この「ギヤリンク」方式でした*2
 たしか、パンタグラフと比べて「若干ぐらつく」+「一度バラすと組みなおしにくい」って問題があったはず……なのですが、パンタグラフと比べて「太い部品を使える」ので、打鍵音がほんのすこし「高級っぽくなる」ような記憶が。


 FKB8579-661EVのような「割り切りすぎて(機能キー関連が)使えないキーボード」でもなければ、FMV-KB231などのような「でかくてうるさいキーボード」でもない、あたらしい親指シフトキーボードがようやく来た……と。
 親指ノートPCと、ある程度キーボードの部品を共通化することによって、それなりのコストで提供できそう……ってゆー、共通化思想が見て取れるところがいい感じ。


 あとは……「親指キーの高さ」が、ノート機と同じく「試作状態のままで」提供されてくれればバッチリ、かも。
 FKB8579-661EVのときみたいに、「特定ユーザーだけの意見を聞いて、親指キーをチョー嵩高にしてみましたwww」なんてことは、今回はやめて欲しいです。
 #ってゆーか、それをやるなら「付け爪付けキートップ」を添付して、嵩高親指キーが欲しい人だけ「親指キーに、もう一個キートップを貼り付けて使う」ようにしてくれ。削ったり交換したりは難しくても、貼り付けるだけならユーザーでもできるでしょ……。


 んー……かなりムチャ振りするけど、定価で11,400円、実売7,980円あたりを目指して欲しい。
 理想を言えば、定価7,100円、実売4,980円くらい、だろうか……そこまでイケるかどうかは解らない*3けど、とりあえずは「販売本数が厳しくても、十分な利益を確保しつつ実売10,000円切りをキープできるところ」を目指してコスト設計して欲しいところ。
 便利機能とか、ハードワイヤーでのあれこれとかは「全部エミュレータにお任せ」しちゃっていい*4から、とにかくハードウェア的にはシンプル&共通仕様を貫いて、「使えるのに廉価な親指シフトキーボード」としての立ち位置を確立してほしい。

2010年6月12日19:38:07追記。

 ふと思った……ここからは(コスト視点で見るときに)無責任発言なので、中の人は眉唾で見てね。

ギヤリンク方式のキー構造と新開発のゴムカップを採用したことで、
キータッチに定評がある「OASYS/V BIBLO」〜「FMV-BIBLO DC」〜
「FMV-X8200」の親指シフトキーボードに迫る『こだわり』のキータッチ。
キーピッチはデスクトップ用のFMV-KB613/KB232と同様の19mmを確保。
キーの入力荷重は約0.54N(約55g)で親指シフトに最適化しています。


(from http://www.saccess.co.jp/oasys/fkb7628es.html )

 ギヤリンクは、パンタグラフと同じで「スライダによる接触抵抗が打鍵の向きに左右されず、押下特性がほぼ「ラバーカップの反発力から、キーの質量を引いたもの」で決まる性質がある……ってゆー正確さが(設計する人に対する)売りだから、その特性をうまく使ってあげるといいのかも。
 交換しづらいノートキーボードじゃないんだから、耐久性について考える必要は、あまりないような……キーボードは「馬」であって「鞍」じゃない、と解釈してしまってはどうだろうか。このキーボードは「PFU」ではなく「富士通コンポーネント」のものなのだから。


 「平均故障時間を【2年】と設定するかわりに、フェザータッチに近いことを目指す」ってのも、アリだと思う*5
 軽く言うなら「見かけの寿命を半分にして、ごめんなさい。そのぶんフェザータッチが実現できました。」とか。
 ラバーカップを文字キーと親指キーとで変えて、【利用開始後1年経過時点での同時打鍵領域キー押下圧が、同時打鍵となる2キーの組み合わせ全てで約90g(1キーあたり45g)となるように設計する】ってのも、設計目標としてアリなのかも、と。
 ……って、そこまでは厳しいと思うけど、販売時点で2キー同時押下圧の合計値が100g(1キーあたり50g)あたりを目指してもらえるといいかも。


 個人的には【ノートタイプのキーボードは、重いからヤだ】ってゆー理由で、ネイティブ親指シフトユーザーさんからあまり好まれてない……って状況が、どうにも不思議で仕方がないんです。
 せっかくギヤリンクには「経年劣化時を含めてのキー押下圧を、設計しやすい」ってゆーメリットがあるはずなんですから、そーゆーメリットを最大限に生かして【ああ、これはノートスタイルのほうが「いい」じゃないか!】と言わせてくれるような、そういうキーボードを目指して欲しい気がします。
 

*1:……ってゆーか、「パンタグラフの下半分」とか、そーゆー言い方でもいい気はする……のだけれど、これは結局「パンタグラフではない」から、どう説明するべきかと迷いがちなところ。「ギヤなんとか」って言ったら、いまだと「ギヤドライブ」のイメージを思い浮かべてしまって、だいぶ認識ズレする可能性があってまずいし。

*2:B5ノート機が「腐れシリンダ支持」であっという間に引っかかり病を発症したのに対して、A4ノート機の「ギヤリンク」はパンタグラフ族に特有の「経年劣化に強い」というメリットを、遺憾なく発揮しつづけたのが印象的でした。

*3:この価格を実現するには、コスト的な努力じゃどーにもならない。あくまでも「どうやって、たくさんの本数を売るか」ってゆー、マーケティング的な努力がないとできない領域。

*4:最近、「やまぶき」と「DvorakJ」の補完関係が、かなりうまいこと機能し始めてるみたい……なので、それらを中心にした「エミュレータへの依存」って方向で攻めてもいいと思う。ハードワイヤーが変じゃなければ、OSが違っても「どうにかなる」のがエミュレータの強みだから、そういう強みは最大限に活かして欲しいところ。ってゆーか、いまさら「IBUS-Anthy親指シフトをするときにコケます」とか、「Macで使うためにTesla野良ビルドがそのままじゃ使えません」とか、そーゆートラブルを起こすような「世間知らずマトリックス」を採用したらマズいでしょ、あくまでも「エミュレータユーザのこと」を考えた上で作らなきゃ。

*5:富士通のキーボードって、「10年使えて3万円」を目指しすぎだと思う。同じタッチ&物理配列のキーボードを10年作り続けると約束しておけば「2年買い換えで6千円ずつ」と案内してもいいじゃない。もっと「キーボードの生産サイクル」に踏み込んで、持続可能な生産体制を作ることを志向しても良いんじゃないかと思う。