AZIKの「ああ、ずっといい感じ」は、確かに正しかった……と思う。そして、この思いは(止めてから5年が経過した)今でも変わらない……と。

 最近tomoemonさんが、AZIKを用いた高速打鍵適性についての追及を試みていらっしゃる様子で。
 AZIKはもともと「打ちにくいとは限らない2打鍵を、より打ちやすいor実際には打ちにくい1打鍵へと代替することによって、とにかく打鍵の数を減らすもの」なので、打鍵を楽にする意味では効果があっても、高速打鍵性については考慮していなかったのではないか……と思い込んでいたもので、今回のチャレンジについては興味深く思っています。


 tomoemonさんが「人差し指に関する痛み」について書いていらした……のですが、AZIKの配字特性からすると、思い当たる原因は「G(y)」と「H(uu)」くらいでしょうか。今パッと思い浮かぶものはないのですが、たとえば互換キーを「F(y)」や「;(uu)」にするような解決策が見つかると、「タイパー向けAZIK」としての展開が明るくなるのかも……。
 #特殊拡張をひっくるめた再定義が必要になるので、現実には「AZIKの作り直し」レベルとなる大規模改修になりそうです(汗)。


 そういえば、わたしはAZIKを2001/01/01〜2003/11/02に使っていたので……あれからもう5年が経っていたとは。
 特殊拡張の部分がぜんぜん覚えられなくて、「これなら【かな系】に行ったほうが覚えやすいかも?」とか思いつつ使っていましたが、その後に移行を試みたはずのNICOLAでは

 NICOLA配列(…古くは純正親指シフト配列に遡るよな…)の持つ「親指シフトキー」のメリットは非常に大きかったものの、こと入力の感触を大きく左右する「い」「う」「ん」「っ」「ょ」「ー」の打ち心地が(AZIKと比べても)とにかく悪く、
  「これならAZIKを捨ててまで移行する意味はあったのか…?」
と感じることが意外と多く、移行開始から3ヶ月強経った現時点では
  「とりあえず親指シフトキーの練習が出来たから良いか。」
と割り切るコトでしか納得できない状態に陥っています…


(from http://www.eurus.dti.ne.jp/~yfi/touchtype_asuka.html )

……といった感想を持ったくらいでして。
 今になって思えば、単純に【配列は打鍵数だけで決まるような、そんな単純なものじゃないよ】というふうに片付く話も、当時はほとんど知らなかったですし……。


 AZIKについては、今になって思えば「JIS X6002+JIS X4063による、いわゆるロマかな」との干渉がとても激しかったと記憶しています。
 ほとんどの癖が2年くらい後まで尾を引いていたような……飛鳥に慣れ切るまでの間は、【眠いときにに、なぜか「っ」を打つために「;」を叩こうとしてしまう】ことがあって、運動性記憶の強さに驚かされたこともしばしば……という感じでした。
 AZIKにとって最大の利点である「段階的な移行が可能なほど、互換性が高いこと」は、裏返せば「元配列に対する干渉が特に激しく出る」ことを意味しているわけで……どの配列にとっても【利点とはすなわち、諸刃の剣でしかない】ということを、一番初めに意識させられたのだと思っています。
 #たとえば飛鳥についても「運指距離を短くしていったはいいが、とにかく単字カナ系のくせに覚えにくいし、なおかつ高頻度更新にさらされてきた」という問題があって、それの改変を試みた「かえであすか」では何もかもが中途半端になってしまったという問題点があって……と、結局は同じように「利点と欠点は鏡像関係でしかない」という結論に至ってしまうわけで。


 タイパー界にAZIKがどの程度浸透するかは未知数だとおもわれますが、個人的には「試す方が増えてほしい入力法の一つ」ですので、こういった絡みについては応援したいところです。
 非商用の入力法に限って言えば「相当広く普及している」様な気がするAZIKですが、速度面での追求を試した方はほとんど見かけたことがないもので、今後の配列レビューと記録更新に期待したいですね。