セル生産方式に対する胡散臭さがぬぐいきれない理由は、けん盤配列導入時の「慣れに時間がかかって苦しい思いをする」ことと、すごくよく似ている。

(参考:「かえであすか」を練習する時に、知っておいて頂きたいこと。 - 日本語入力法「かえであすか」まとめWiki - アットウィキ)


 高い頻度で使うものほど動作距離を短くし、連接頻度が大きいグループ同士をまとめて分離して、作業と水澄ましの役目をきちんと設定してあげると、総合的な生産性があがる……というのは(飛鳥カナ配列ほかの利用経験から)体感しているのだけれど、そう説明して実施しようにも「慣れている方法をそのまま使い続けるほうが楽でいいじゃん!何で変えるんだよ……」という話が出てくる、というのは、どこでも変わらない話だと思う。
 それこそ、「慣れている方法は、ほかの慣れていない方法よりも習熟しているので、高速に行うことができる」という、けん盤配列に対する慣れとまったく同じことが起きる、と。


 あと、個人と会社で違うとろは「みんなで同じルールを共有するかどうか」というところだと思う。
 会社では「標準作業」というのを使ってみんなで同じルールを共有することにより、みんなが同じ問題点に気づき、みんなが同じテーマに対して解決策を見つけ出していくような方向にいかないといけない(手順が同じだからこそ、各人が考えたアイデア同士を比較検討できるわけで)のだけれど、個人利用ならそういう問題は考えなくてもいいから、個々人それぞれに自由にやればいいと思う。
 ホントは、「聖域なき{生産|事務}革新」だのとデカイ口をたたいているようなところは、日本語入力法にも手を付けるべきだと思うのだけれど、職場系でやるには絶対的に「入力法の統一」が必要になってしまって、たぶん9割9分9厘の人たちが困るだろうから、実際にそういう奇特なことをするところはないと思う。
 #私自身も、かりに「カナ系かつ【かえであすか配列じゃない】もの」が社用配列として指定されたら、さすがに困ります……行段系ならともかく、カナ系の異配列を同時並行的に利用するのは、さすがに困難を極めるでしょうし……*1


 個人的には、飛鳥カナ配列系の入力法を使っていて、そこから得られるヒントに助けられている……のだけれど、だからといってたとえば「かえであすかを全社的に使おう!キャンペーンを張ってみる」とかいう気は、まったく起きないんですよね……。
 わたしが「飛鳥カナ配列」に満足できずに「かえであすか」を作ってしまったように、たぶん人それぞれにいろいろと細かな需要を抱えているはずですし。


 いずれにせよ、「それ」を経験したことがない、という方に対して、「それ」について語ろうとするのは、なかなかに難しいですね……*2
 

*1:しかもそれが「かつてあきらめてきた入力法」だったりすると、なおさらに。

*2:運用上の到達点が「経済的な範囲で自働化を施したライン」にあって、人の役目が「定型作業そのもの」から「定型作業のやり方を工夫すること」に変わっていっている……というあたりは、現状ではうまく説明しづらいような。近い表現としては「知恵のついた道具を作る」という感じなのだけれど、これも語弊があるしなぁ……。