Re:Re:勝間和代さんに物申す 親指シフト(@司法書士小林亮介の日々勉強)

(言及:Re: 勝間和代さんに物申す 親指シフト(@司法書士小林亮介の日々勉強): 親指シフトウォッチ)

 記事の趣旨に合わないトラックバックだとは思いつつ、とりあえず思ったことをつらつらと書いています。
 議論の足しにならないようでしたら、そちら側で受信されたトラックバックを外していただいて構いません(実際、トラックバックしていいのだろうか……と悩んだもので)。

 「反親指シフト運動」との時期関係はわからないのですが、8年前の月刊アスキーあたりに載っていた意見広告( http://www.oyayubi-user.gr.jp/opinion.htm )に対しては、酷く嫌な印象を受けたことを、今でもよく覚えています。
 「JISかなとQwertyロマかなを攻撃すれば、親指シフトの優位性が認められるはずだ!」という色の濃い一連の言及がなされたことによって、「新しい選択肢としてNICOLAを増やすべき」という、発展可能性がある言論の芽を「NICOLA自らが摘み取ってしまった」のではないか……と、今ではそう考えていたりします。


 NICOLAの意見広告が終盤に差し掛かったころ、鈴見咲さんの意見表明( http://suzumizaki.at.infoseek.co.jp/himeodorikosou/20020225.html )が発表された……というのは、個人的にはとても興味深いところだと思います。
 私はこの記事をしばらくたってから読んだのですが、当時「(練習するためのモチベーションを確保するために)以前使っていた入力法に付いてダメ出しするよりほかに、よい方法を持っていなかった(たとえば、 http://www.eurus.dti.ne.jp/~yfi/touchtype_asuka.html )」私にとっては、とても印象に残る記事でした。
 もともと「毒を吐いた後には必ず凹む」性格なもので、毒を吐かずに納得できる説明を求めていた私にとって、鈴見咲さんによる意見表明には「そうそう、まさにこれだよ!」と感じました。


 基本的に、【どの入力法を好んで使っているか】にかかわらず、【排他主義的に特定の入力法を推す】というのは、とてもじゃないですけど好きにはなれないなぁ……というのが、今の私にとっての偽らざる想いです。
 もともと日本語入力法は「利き手などを含む手指の運動機能に関するスペックと、日本語入力に対して望む機能」によって、その理想の姿が大きく変わってくるものだ(≒万人が納得できる配列など存在しない)と思います。


 私個人は、自分が作った入力法についての注意喚起を、それぞれの配列ごとに書いてきた気がします。たとえば「かえであすか」については、(飛鳥カナ配列のような752万文字/年での利用など想定しておらず)100万打鍵/年より高い頻度での利用について対応していないこと・右利き向けに偏った調整をしていること・左利き向けの反転配列については評価打鍵をしていないこと……など。
 こういった「弱みもきちんと見せる」方針が正しいのかどうかはわからない……のですが、実際にこの方針が使われた他配列に関する解説(たとえば、 http://homepage2.nifty.com/61degc/reports/koume/index.html や、http://keybor.web.fc2.com/index.html など)を見る限り、こういった「弱みもきちんと見せる」方針を取るほうが、他の配列との比較をやりやすくなるんだな……という印象を受けました。
 #例の「新しいキーボード配列のJIS化」な件についても、このあたりの事情を詰め込む形で、「そういうおまえを、わしゃ食った」という昔話を参考にしたストーリーを作りました。


 ……と、脱線しまくっていたので話を戻します。


 Qwertyローマ字入力については、「入力効率がケータイ並に悪い」というデメリットを覚悟したのかどうかは不明ながら、「どこの端末でも使える、最大公約数としての入力法」として考案されたはずで、そしてその読みどおりに普及した……という経緯をたどったのであろうと解釈しています。
 それと、Qwertyローマ字入力には「他の入力法と並行的に使っても、互いに干渉しあうことが少ない」という特徴もあるようですから、今後も「後方互換性」を確保するために残り続けるのではないかという気もしています。
 また、今後のシェアについては「両手を要するQwertyローマ字入力よりも、似た効率なら片手でかな入力できるケータイのほうがアクセシビリティがあっていいじゃん!」という世代が実権を握るまでの20年弱については、安定したユーザ層を確保できるだろうと踏んでいます。
 もともとは「おもちゃ+α」程度だったパソコンが、使い手の高齢化に伴って仕事に活用されだした……という経緯があるだけに、ケータイについても同様に「歴史は繰り返される」原則に従って、仕事の主要位置を占める時代が来るだろうとにらんでいます。


 JIS X6002かな入力については、そもそも「JISかな入力を経由する、イネーブルハードウェア(障害者用のキーボードなど)」が利用していたりする事実もあって、すでに「JISかな入力者だけのインターフェースではない」という問題があります。
 したがって、こちらは配列そのものの利用者がいるかどうかにかかわらず「かな入力デバイス用のインターフェースとして」残り続けるだろうと思います。


 英「字」入力については……うーむ、Qwertyロマかな経由で覚えたはいいのですが、私はもともと英「文」を打つ機会がないので……MS-DOS管理をする機会がなくなり、URLを手打ちする必要もなくなってしまった現在としては、あんまり役にはたっていないかも、というのが実感です。
 英「文」入力としてのQwertyを覚えられれば便利だろうなぁ……という気はしますが、英「字」入力としてのQwertyを覚えても英「文」入力にメリットがあるとは思えない(もともとタイピングは「複数キー単位での打鍵ストリームを指に教える」ことで実用域になり、QwertyロマかなではQwerty英字のストリームを網羅できない&出現頻度も違う)ので、そのあたりが微妙だと思います。


 あと、勝間さんの真意を理解しようとする場合、それこそ勝間さんのように「ローマ字入力・JISかな入力・花・親指シフト」を試した上で、最終的に何かを選択する……といったプロセスを経験することが必要なのかもしれません。
 ここはイマドキなら、それこそ以下の4パターンから選択する……とか。

  • ローマ字入力系から一つ。
  • JISかな入力、または新JISかな入力。
  • 中指シフト系の配列から一つ。
  • 親指シフト系の配列から一つ。

 これでも全然選択肢を網羅してはいないのですが、何もしないよりは近づける可能性がある……のかも、と。


 ……以上、えらく長い駄文で失礼いたしました。