議事録。

(過去:とりあえず「リアルタイム速記」する必要性はないので「スロー再生」に切り替えてみました@参議院 - 雑記/えもじならべあそび)


 最近、議事録……というか私的会議メモを取ることが多いのだけれど、これをやっているとホントに

  • 物理筆記って実は馬鹿に出来ないなぁ(指は痛くなるけど)。
  • 要約筆記レベルなら、十分会話についていける。
  • 一番重要なのは「追いつかないときに、少し待ってもらう配慮」なんだな。

ということを感じます。
 あとは工夫として、間に合わなければ途中でブランクのまま改行して、ちょっと時間が空いたときに改行しちゃった部分を書き足して……という風に書いていたり。


 出来た記録は「字面がぐちゃぐちゃで、自分にしか読めない」悲惨さなのだけれど、「漢字で書いたほうが書きやすいところは漢字で書く&わからない漢字はカタカナで書く」などのファジールールを採用せざるを得ないので、結果として全文カナ書き&全文ローマ字書きとは違って「反訳に必要な要素は揃っている」……と。
 はじめてやったときには「これは反訳できるのか?」と不安になったのだけれど、いざやってみると「漢字を交ぜる」ことによる反訳性の向上度には驚かされますね……とてもじゃないけど「全文カナ書き&全文ローマ字書き」では無理だな、と感じさせられることが何度もあり、結局は今のようなスタイルを継続していたり。


 議事録としては大体1〜2時間くらい「漢かな図解交じり」で筆記して、データ起こしは多少短いくらいの時間で終わるのだけれど、これをパソコンを使ったリアルタイム記録でやるのは「かなり無理がある」だろうなぁと思います。
 筆記でやると「怪しいところは筆記がぐちゃぐちゃになる」ので注意して読み取る必要があることはすぐにわかるのですが、パソコンでは同じフォントになってしまうので読み落とししやすいですし、誤変換があると誤変換結果に引きずられてしまいがちですし……。


 一般人が会話速度の筆記を試みる場合は、それこそ

  • 間に合うところは漢字かな交じりで筆記する(反訳性を上げるには重要)。
  • 漢字がわからない&漢字で書くと時間が掛かるところは、誤読の恐れがない限りカナで書いてよい。
  • 詳しいルールを決めず、ノリで書いていく。
  • 文字がぐちゃぐちゃでも気にしない。ただし、記録から会話を思い出せるうちに反訳する(ここ重要)。
  • 他人に読ませる文字を書こうとしない。十分な反訳品質を保てる限りは字体を崩してもいい。

あたりをやってみるといいかも。


 個人的には、とにかく   

  • 「漢かな図解交じり」で筆記してるから、ラフ議事録を反訳するのに時間が掛からない。

というところのチカラを、強く思い知らされた気がします。
 あと、冒頭に引っ張ってきた【とりあえず「リアルタイム速記」する必要性はないので「スロー再生」に切り替えてみました@参議院 - 雑記/えもじならべあそび】についても、反訳性を上げるポイントとして「実際の会話の勢いを、カナやローマ字などで低密度記述したりせず、そのまま漢字かな交じり文へと変えていく」というのがあったんだな……と、いまさら気づかされたり。


 そういえば。
 同例では速記技術者さんの将来が危ぶまれていた気がする……のだけれど、再起するためのヒントは「まさにここにある」と思う。
 要するに、「現場でインライン漢字変換&固有名詞のオフライン確認をする」ためのシステムを組めば、速記技術によるベタ文章を「ほぼリアルタイムにかな漢字交じり文章へと落とし込む」システムが構築可能だと思う。
 このシステムで必要なのは

  • リアルタイムで発音データを入力する機会速記入力者
  • リアルタイムで発話データを反訳する変換エンジン
  • リアルタイムで反訳結果を修正するインライン訂正技術者
  • 反訳に失敗した語句(固有名詞など)をその場で調査する、オフライン訂正技術者

の4組になると思う(たぶん、前2者は従来法であって、後2者は新法なのだと思う)。
 この考え方と「再生速度を落としたり、リピートしたりするための機器」とを組み合わせると、最終的には「議事終了とほぼ同時の議事録配布」すら可能になるのではないかと期待していたり……ようするに「完全リアルタイム反訳」ではなく「ほぼ完全な、タイムシフト反訳」が最終形態なのではないかと思うわけで。
 速記系入力法というのは「かな系・ローマ字系・漢直系」の入力法と同じく「入力法の一つ」であって、なおかつ発音入力を高速で行うための工夫がたくさん詰まった「特定用途向け入力法」なのだから、こういった入力法を「反訳前の段階でのリアルタイム入力」とだけ組み合わせて「反訳後の時間について考えない」というのは、いくらなんでももったいなさ過ぎだと思う。
 「反訳語の最終成果物を、最も早いタイミングで配布する」ためには、「反訳前の段階でのリアルタイム入力」だけにこだわるよりも、「最終成果物を最も速く出すためにはどうすればいいのか」という最終目的にフォーカスしたライン設計が必要だし、そういうシステムを構築する上でも変わることなく「速記系入力法のチカラ」は生きると思う。そのための「考え方」くらいはこうやって提示できる気がするのだけれど、実際に運用できるかどうかはちょっと不安なところも。
 ……もっとも、機械速記や筆記速記については、今後も生き続けてほしいところで。


 ……って、個人的には「自分には速記系入力法が出来ない」ので、そのあたりをどうしようかと考え中だったりするわけですが。
 #「かえであすか」にしたとしても、ちょっと速度的には追いつけないだろうなぁ……などと不安に思っていたり。