「見える化」の「かえで化」を試みるテスト。

 色々迷うことばかりなので、現状での認識をつらつらと書き出してみることに。
 ひさしぶりに本の目次を読んだのだけれど、所詮は付け刃状態です……。
 #見える化本についてはロクに書いてなかった気がするので、そのあたりの整理を兼ねつつ。


 ちなみに、ここでの「かえで化」は、「んがなし目に飛び込んでくる」のことを指している場合があります。

見える化とは何か。

 失敗や問題点が浮上するようにすること。
 ……そう、たとえば「見える化とは何か」という説明をできない現状とか、そういうのを見えるようにすること。

そもそもなんで「見えない」のか。

 人間の認知には「数段のフィルター」が掛かっているから。
 人間は物事をありのまま捉えるのではなく「特定のフィルターを通して抽象化して捉える」癖がある。
 フィルター(というか関数)の中身について変えていくのは無理がある(そもそも結果を記憶してフィルターが構成されているのだから、はじめにフィルターの変更を考えるのは順番が違う!としか言いようがない)ので、とにかく「誰が持つフィルターをも通過する」ように「見せる化」が先行して必要になる、という理屈。

見える化とは、一言で言うと「何を」見えるようにするのか。

 ズバリ「失敗」。
 あるいは「計画との差分」。

見える化の一例は?

 「カーナビ」「信号機」「スコアボード」と、それぞれに対応するルールとを「組み合わせ」て連想してみてほしいところ。
 (まもるべき!ではなく)守りたい!と願うルールがあり、それと現実との差分を「かえで化」して現示するシステムがある……それが「見える化」のシステム構成。

見える化の約束。

 失敗した事実は、可能な限り追及する。
 失敗した人は、可能な限り責めない。
 これは「見える化」というゲームを進行するうえで、必ず守るべきルールの一つである。

見える化は一つなのか。

 全く違う。
 まず、「経営者側から見たときの見える化(指標の見える化)」がある。
 つぎに、「現場側から見たときの見える化(異常の見える化)」がある。
 前者は大脳的な役割を必要とし、後者は脳幹的な役割を必要とする。
 前者と後者は互いに補完しあって「法人」を為す一対であり、片方だけでは法人を構成できない。
 ……と書くと、たぶん「小脳的な役割」をする立場も必要になるだろうと思う。

見える化にはどういう環境が必要なのか。

 四次元的な整理。
 四次元的な整頓。
 清掃は手順化出来るが、整理と整頓は手順化できないので、もともとそれに対する感受性が高い人間を必要とする。
 あとは、「パズルゲームが得意なやつ」は、「ルールそのものの整理整頓」のために、等しく役立つと思う。

見える化にはどういうリソースが必要なのか。

 黄色信号が灯ったときに、かならず駆けつけるというルール。
 赤色信号が灯ったときに、かならずシステムを止めるというルール。
 ……ルールがあってもプレーヤがいない、ではお話にならない。

見える化の定着にはどの程度の期間が掛かるか。

 100年経っても出来ないところは出来ない。
 新規事業会社なら即時開始出来るかも。
 「見えない化」に慣れるために要した期間と同じだけの時間が、「見える化」のために掛かるのが普通だと思う。

見える化のために必要な意識と行動。

  • 実働部隊──とにかく「黄色発報」「赤色発報」をルールどおりに打つこと。
  • 中間職──とにかく「黄色発報」「赤色発報」に対して、ルールどおりに「現場・現実・現物」で問題を把握し、「即時・即座・即応」で問題に対応し、「徹頭・徹尻・徹底」で問題の真因解消に取り組むこと。
  • トップ──「やるぞ!」と四半世紀!言い続け、かつチェックパーソンとして「ルールが正しく働いていること」を保証するために戦うこと。

大抵くじけるよね……そういう時はどうするの?

 実働部隊の発報に対する対応がない場合のための「{イエロー|レッド}カード」システムを「現場の武器」として与える必要があるかも。

どうやればうまく行くのか。

 原理的には、中間職に「正直者であるせいで馬鹿を見てきた人」が入ると、この手のシステムは「本当に使える代物」に化けると思う。
 「見える化」の原理原則は「失敗をさらけ出すこと」にあるので、場合によっては失敗データベースを作ったりすることも必要になる。
 こういうところを「うまく取り繕って乗り越えてしまう人」がいると、取り繕い方はシステム化できないのでうまく行かない。
 「失敗を見つけ出し、衆知の知恵を借りつつ知恵を絞り、よりよい答えを見つけ出すために諦めず立ち向かうこと」を苦としない(というか、そうでないと気がすまない)人間を付けると、確実に「その人の能力を最大限に生かしたナイスなシステム」が組みあがる。
 こういう人は過度の負担を感じる恐れがあるので、前出の「失敗した人は、可能な限り責めない。」ルールがどうしても必要になる……ということになる。
 正しく守れるルールを作り、可能な限り多くの人がルールを守るようにすることが重要だと思う。
 これは戦争じゃない。リアルに展開されてるシミュレーションゲームなんだよ。

俺はいま、何をやるべきなのか。

 これを見ている方に対しては、「出来そうなことから始めてみよう!」といいたい。
 個人的なことについては……もちろんヒミツ。

見える化にお金は掛かりますか。

 ……一過性の設備投資か、継続的な人的コストか、のどちらか(あるいは両方)が掛かる。企業規模と要求精度によって投資配分検討を行うべき。
 基本的に人間は「長時間の意識集中は出来ない」生き物なので、それを前提にしたフェールセーフシステムを組む必要がある(意識の問題とすると「見えない」人的コストが掛かるので、「見える化」を目標とするにはお勧めできない)。
 使えるツールはたくさんある……けど、何と何を組み合わせるとよいのか、という点についてはヒミツ。

見える化は何故必要なのか。

 「見る能力に長けた超人」でなくとも、現状を見えるようにするためのツールとして。
 「セルシステム」が「人間の手足の機能」を補佐するのと同じように、「見える化」がうまく機能すれば「人間の認知システム」を補佐できる。
 「普通の人が、プロ並の精度と即応性を発揮する」ための、便利なツールになる……はずです、「うまく設計すれば」の話ですが。

何を見える化すればいいのか。

 「見る能力に長けた超人」が見る視点と、同じ視点。
 そこから外れるところをいくら「見える」ようにしても、何の意味もない状態になる。
 ルールを守るコストを最小にするためには、「見える化によって見えなければならないポイント」を、可能な限り絞ることが重要だと思う。
 情報が溢れすぎると「どれがノイズでどれがシグナルなのか」というS/N比が悪くなり、信号がノイズに埋もれてしまう恐れがある。

……で、「相沢かえで」自身は、「見える化」について何を知っているの?

 ……さぁ(苦笑)。
 ↓を読んだのはもう半年前なので、正直いま言えることはこれくらいなんですよね……って、絶対著者さんから「全部違う!」って怒られそうな気がするorz。

見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み

見える化-強い企業をつくる「見える」仕組み

現状の理解度を100点満点で表すと、何点くらい?

 ……3点、くらい……だろうか、たぶん。