打鍵効率→打鍵速度関連メモ。

(過去:「はかしとた くうい゛きな」は、「うしてけせ はときいん」(親指シフト)が【黒歴史化されるのを防ぐために】作られた。(2007年12月17日4:45:58追記訂正終了) - 雑記/えもじならべあそび)


 自己コメントのべた貼り……kouyさんのコメントがなかったら気づけなかった部分。


 標準時間に関して「メンタル面を考慮しない方法*1が成立しうる」のかどうかというところは不安なので、標準時間関連の本をいくつか読んで確認してみる必要があるかも。

トヨタ プロダクションシステム―その理論と体系

トヨタ プロダクションシステム―その理論と体系

ではこのあたりを明言してはいない……のだけれど、「チームに病み上がりの人が居た場合の、仕事の割り振り方」についてチラッと結果だけが書いてあって、あそこからの推測ではこれを考慮しないといけないようにも読める。

 標準時間法の絡みが「速度へとリニアに直結する」かのように書いている点については、この論理が私オリジナルの話ではない(NICOLAによる論理をそのまま使って付き返している)ところですので……(既にご覧になっているはずのものを再提示するのはどうかと思ったのですが)いちど
http://www.ykanda.jp/txt/hikaku.txt
の後半部をごらんいただいてから、すぐに
http://nicola.sunicom.co.jp/compare.html
をごらんいただくことをお勧めします。
 ここでのポイントは、前者では日本能率協会(あるいは神田さん?)が【メンタル面については無視してるから注意してね!】と表明されているのに、 NICOLA比較動画では【メンタル面を無視した標準時間法を元に(正確にはよりローレベルな打鍵数にして)打鍵速度比較と証したものを提示している】ことですね……。
 標準時間法は「普通の人がふつーにやったときの作業時間」(http://www.bekkoame.ne.jp/ha/torii/seisank132.htm)をベースにして考えるものなのですが、打鍵法においては
A.(日本能率協会のように)メンタル面を無視して「文字を想起させずに、特定のキーを押していく作業として測定する」方法。
B.(創作打鍵をするときのまま)メンタル面を絡めて「普通に創作打鍵をさせて、思考プロセスが含まれた値を測定する」方法。
 の両方を「標準時間法」として示すことができます(コピー打鍵をするならA.の測定方法にも意味がありますので、A.の測定条件は必ずしも間違っているとは言い切れない……のですが、創作打鍵用のけん盤配列として性能評価をするのであれば、A.の方法は論理を支えるに足る根拠にはなりません)。
 A.であれば「作業工数が少なければ少ないほど、リニアに作業効率は上がる(簡易的には、打鍵数が少ないほど&運指距離が短いほど、それに比例してリニアに作業効率は上がる)」のに対して、B.では「作業工数が少なくなっても、思考工数がそのままになるので、リニアといえるほどには作業効率は上がらない」と言うことができます。
 今回はA.の意味で本文を書いているので、「従来と書いていることが違うように見える」という結果に至っています。実際の創作打鍵で重要なのは(創作プロセスを無視した)A.ではなくてB.なのですが、今回は冒頭のように【「まっとうに批判と呼べるもの」を拾ってきて「それに対する答え」を考えよう】を目的としていましたので、あえてA.のやり方を使わせていただました。

(from http://d.hatena.ne.jp/maple_magician/20080727/1217166778#c1217416177 )

 うわ、「×打鍵速度比較と証したもの」「○打鍵速度比較と称したもの」ですね……orz。


 ここでは、A.の方法が「創作と作業を切り離して、打鍵作業を行うこと」を指していて、B.は「創作と作業が繋がっていて、打鍵作業を行うこと」である点がポイント。


 打鍵作業を創作と完全に切り離してしまえば、A.で示した方法で打鍵速度そのものを提示するのは、誤りではなくなります。
 「作業工数が少ない方法ほど、全体の作業時間が短くなる」というのはこのことを指していて、実際には「あらかじめ原稿が用意されていて、打鍵前に先読みをして打鍵プロセスを準備できる」という条件があれば、文章入力においても(よく訓練されていれば)A.のように打鍵することが可能となるはずです。
 まえにRayさんが書いてた「コピータイピングなら、飛鳥よりも月が有利」って話の支えは、たぶんここの事を指しているのだと思います。


 一方で、創作打鍵の結果を打鍵作業によって記録するという場合には、(創作プロセスを考慮していない)A.で示す方法は適用しようがなくて、B.で示すような方法を使うしかありません。
 「打鍵効率がよい入力法を使っているはずなのに、打鍵効率が悪い入力法とのスペック差ほどには、打鍵速度差が出せない」という論理の支えはこっち。
 こういう場合には、「打鍵速度へと振り替えできなかった」分は「省打鍵による身体的負担の低減」*2という方向での効果になります。
 NICOLAが打鍵動画で例示しているような内容が「創作打鍵時の様子」であるならば、ああいう例示方法よりも、【VSモード】(※InternetExplorerでご覧ください)のような例示方法をとるほうが、実際の創作打鍵に近いように思います。
 もしも例外があるとすれば、「効率がよい方法での打鍵速度に慣れてしまっていて、効率が悪い方法での打鍵速度も同じだけしか出せない」場合でしょうか。この場合は、創作打鍵であってもA.として評価することは可能……ですが、効率が悪い方法を使う機会が増えれば増えるほどB.の状態に近づくはずなので、創作打鍵に対してA.の測定方法を常に適用可能であると看做すのは難しいと思います。


 このあたりの「操作数」に絡めた「速度」と「楽さ」の関係については、以下のような感じで何回か「下手絵」として書いていたな……ってことで、とりあえず再掲。



 ……と、ここまでのロジックについても、やっぱり怪しいトコがあるかも。引き続きツッコミ大歓迎です、はい。

(2008年8月2日1:15:38追記)あれっ?「標準時間法」を使ったことが書いてないよ?

 …… http://www.ykanda.jp/txt/hikaku.txt の中から引用している様なのだけれど、いくつかの重要な話が抜け落ちている。

*1:仮にこれを「機械的操作によって行う」のであれば、ばらつきは基本的にないので「標準」時間ではなくて「確定」時間になる。

*2:これが、いわゆる「倍速打鍵」という不思議な現象を可能とする支えのひとつだと考えられる。打つべき文字列の想起速度は「カナ文字数に対して一定」というわけではなくばらつきがあるから、そのばらつきのうち「速い速度が要求される部分だけ」を支えてあげれば、(カナ文字を基準に考えたときに)瞬間的にはスループットを超える必要があったとしても、きちんとフォローできる……と。もちろん、下駄配列/姫踊子草入力法などのように、「倍速打鍵のかわりに組み合わせ定義を使う」方法もある。どちらを選択するかは配列の設計方針次第であって、有利不利を論じてもあまり意味がないところ。