(TitleOnly)親指シフト「キーボード」は、人間工学に基づいた設計指針を採用してなどいなかったのではないか?と邪推してみるテスト。

(過去:(PhotoOnly)手首と腕の角度ー。 - 雑記/えもじならべあそび)

 2008年7月16日20:05:52追記。
 以下の記事は、根本的に誤った論理を下敷きにして書いた、トンデモ記事です。
 以下に、何がどう誤っていたのかという点について、反省点を記しています。

 この記事に置いて、「改悪」といった表現をしているところは、私の解釈ミスが原因でして、記事の本質的なところではありませんでした。
 取り消し線引きを伴う修正をかけることができる分量ではないため、記事についてはそのまま公開し続けるしかありません……その点、申し訳ありません。

 ……すくなくとも、「親指シフトキーの【高さ】については指針がない」*1ようで……。

 親指シフトキーボードの特徴は「左親指・右親指・無変換・変換」の4キーに表されている……ということは、NICOLAのシンボルマークがそうであることからも明らかですね。
 ところが、それだけ重要なキーであるにもかかわらず、「高さ」というファクターについて、「この手の大きさ・この手の動きだったら、このくらいの高さになるべき!」といった恣意的なものがない……というのは、元NICOLAユーザ*2の私から見て、とても不思議に思えます。


 ……で、幅方向については「ユーザ合意はあるけど、規格にはない」というあたりは、以前にこんなカタチで記録していたことを思い出してみたり。


 親指キーの「幅・位置」と、「高さ」の2点について、なにか「(推測or後日談は別として)オリジナルではこういう指針がきちんと決まってるよ!」という話or文書をご存知の方がいらっしゃるのでしたら、お教えいただけますとうれしいです。


 ……ちなみに、親指シフト方式が持つ「打鍵数を減らせるけれども、その分だけ一打鍵辺り一打鍵当たりの打鍵コストが重い」という点については、ここ最近RayさんがBlogで指摘していた記憶があるのですが、それに絡んでこんなことを記録してみました。

 「かえであすか」をネタに使ったのはいつものとおり*3なのですが、実際にこんな解釈であっているのだろうか、と、ちょっと不安なところもあったり。


 うーん、もしかすると、「何のために親指キーがかさ上げされたのか」というところが明示されていないあたりが、一番の原因なのかもしれないですね……。
 ちなみに私は、「左親指キーと無変換キーの干渉」および、「右親指キーと変換キーの干渉」を防止するために、これらのキーの高さの「相対値」をずらしてある……という推測をしています。


 で、この推測、はじめはテキトーにそう思っていただけ……だったのですが、どうやら「普及率2割を誇っていた」専用機時代の実機が、同じ考え方でキーの高さを決定していたように見て取れることに気づきました。

 ↑の「斜めから立体的に見ると」というところを、「画面に穴が空くまで」よ〜くご覧ください。

……と、ここまで書いて気づいた。オリジナル「は」悪くないんですよ。いうなれば【後に改悪された】と表現するのが正しい。

 ワープロ専用機のためのキーボードは「下段を高めにすることにより、下段と親指シフトキーがほぼツライチになっている」ことに気づかれるはずです。こうした工夫によって「親指キー【だけ】が不自然に浮く」ことをおさえつつ、その直下にある「変換・無変換」キーとの干渉を防ぐ……というのが、ワープロ専用機時代の親指シフトキーボードにこめられた「現場の設計士が込めた意思」だったわけです。
 へたをすると、当時このあたりについてきちんとこだわっていたのは「現場で金型を起こした人だけ」だったのかもしれません。


 今の親指シフトキーボード……いや、正確には「パソコン用の親指シフトキーボード」には、ワープロ専用機時代のキーボードでは当たり前だった「段差を出さないための工夫」が、全くなされていません。
 こういった工夫をないがしろにして「ただ、変換・無変換キーに親指が引っかからなければいいのだ」という思想で、親指シフトキーだけが妙に突出する形のキーボードが作られだした……ということが仮にも真実だとすると、これはかなりまずい事態に陥っているのかもしれません。


 富士通高見沢の人は、このあたりに「違和感を持ってはいた」らしく

の一番最後には、「下段と親指キーの高さをなるべくそろえようとした」試作品も掲示されています。
 ただし、結局は「試作に携わった人も、試用した人も、だれもオリジナルの意思には気づけなかった」らしく……こういったことが原因で「下段が妙に叩きづらいキーボードが出来上がった」とすると、とても悲しい話ということになってしまいますよね……。
 しかも、こういう話が「NICOLAユーザさんからはさっぱりあがらず、よりにもよって飛鳥カナ配列ユーザから指摘される*4」ってのは微妙すぎます……NICOLAにしても下段は全く使わないというわけではないのに、いったいなぜ?


 正直、歴史を巻き戻すことができたら……などと、無謀な願いをしたくて仕方がありません。
 なぜに「現場のノウハウ」に気づいてやれなかったんだよ……チクショウ!*5


 ……エルゴノミクスキーボードって、設計するのはとても難しいのかもしれないですね。そして、継承するのはさらに難しい……と。
 今回は、とても貴重な啓示を受けた気がします。


 それにしても、「親指キーはかさ高でなければならない!」という方向に走ってしまった原因は、いったいなんだったのだろう……そんなに小指上段が打ちづらかったのだろうか?
 このあたりについてはよくわからないのですが、「専用機時代の親指シフトキーボードが特に打ちづらく、パソコン時代の親指シフトキーボードこそ打ちやすい」とかいう話はまるで聞いたことがないので、このあたりについては実際のところ謎なままですね……。
 専用機時代の親指シフトキーボードって、そんなに不評だったのかしら?シェア2割を取っていたくらいだから、そんなことはないと思うのだけれど。

……とすると。

 「Libertouch/ThumbShift」が出来上がったところで、文字キー部分は流用しなきゃいけないのだから、結局「本来の親指シフトキーボード」なんて、できるはずないじゃん……orz。
 

20080715#0053追記。

 親指シフトノートを作るのならば、中段あたりが一番へこむようなかたちで作るのがいいのかもしれない。
 親指キーだけが突出する機構を避けてロマかなに配慮しつつ、定評があった時代の親指シフトキーボードを復元して……という条件を満たすとなると、旧スタイルキーボードの復元というのは理にかなっているのかも(しかも「現代に通用する」エルゴキーボードとしての素質もあるし)。


 あと、自分でも写真を撮ってみるなどして「高さ」関連の謎解きをしないと。
 ストロークと角度が主因のような気がするのだけれど、ここのあたりを解明しないと、安心して親指シフトを奨めるには根拠が不足しているかもしれないので。

2008年7月15日12:17:00追記。

 写真で思い出した。
 【(PhotoOnly)手首と腕の角度ー。 - 雑記/えもじならべあそび
 ……このときは「浅いストロークのキーボード」でしか物事を記録していなかったから、こんどは「デスクトップ用のキーボード」と「親指部分をかさ上げしたデスクトップ用キーボード」について、同じように写真を撮っていけば良い……のかも?
 実験室再現性を出すためには「いろいろな条件が同じになるように整える」必要があるから、どういうパラメータが必要なのかという点を抽出するためにも、あれこれと撮影してみる必要はありそう。

2008年8月6日0:17:41追記。

 すっかり書き忘れていた……のだけれど。
 中の人に先手を打たれていましたよ(笑)。
 【(メモ)「FMV-KB232」=「Libertouch」+「休眠していたFKB8579-661の試作機」? - 雑記/えもじならべあそび

*1:というか、親指シフトKBのハードウェア的な特徴は「左親指・右親指・無変換・変換」キーに現れているのであって、ほかのソフトウェアレイヤでどーにでもなるところとは違って「言い訳が効かない」部分だと思います。

*2:たった4ヶ月しか使っていないので、「元ユーザ」なんて言えた身分ではないのですが……NICOLAの利用を中止してから市販の親指シフトキーボードを2本試した私としては、このあたりがどうにも奇妙に見えて、スッキリと納得できないんですよね。

*3:他の配列について書いて、あとで迷惑がかかったりすると洒落にならないですので……。

*4:飛鳥カナ配列で「パソコン用の親指シフトキーボード」を使おうとすると、下段が使いづらくてかなり微妙です。たぶん、「ワープロ専用機時代の親指シフトキーボード」と同じ設計指針でまじめに設計された親指シフトキーボードであれば、下段が叩きにくいなどというおかしな現象は発現しないでしょう。NICOLADvorakをネタに設計されたので下段は頻用しない……という話があることは確かですが、実際に上乗せされている英字配列は(飛鳥と同じで下段嫌いはしていない)Qwertyなので、当時詳細な物理設計をした技師さんは、そこを気にしてこういった形状のキーボードを考案されたのかもしれません。

*5:ええと……途中までは「なぜ?」という思いだけだったのですが、最後まで書いてみて、無性に腹が立ってしまいました。今あるキーボードがいずれも「オリジナルの意思を尊重していない」ことからすると、いま富士通富士通系企業には「親指シフトキーボードに関する詳細な物理設計をした人」が、すでに誰もいない……というのは確実だと思う。本来こういうところは「多少コストがかかる程度で再現できる」話だから、わかっていたら間違いなく実行できるレベルだし。いったいどうなってるんだ……。