【JVC XA-V80-B 8GBデジタルオーディオプレーヤー ブラック】はラウドネス等曲線の夢を見るか?

JVC XA-V80-B 8GBデジタルオーディオプレーヤー ブラック

JVC XA-V80-B 8GBデジタルオーディオプレーヤー ブラック

 あきらかにアンチiPodderなオーヲタ向けのポータブルデバイスです。本当に(ry
 ……ってどんな解説だよソレ。


 偏った視点から見た主な特徴は、

  • オーバーサンプリングK2処理とかいう意味不明な処理を行うことができる。
    • どんな効果があるのかさっぱり不明。「リミッタでつぶされた音を復元します!」系なのかもしれないけれど、まだそこまで聴き込んでない。
    • というか、これはたぶん「家庭用の機器へと接続するときに使え」というものなのだと思う。
  • 「聴力検査の要領で」5バンドGEQを設定して「ラウドネス等曲線」のようなものを記憶させることにより、イヤフォン&聴覚の大きな癖を打ち消す「サウンド工房・詳細セッティング」という機能がある。
    • これは◎、付属イヤフォンの癖をうまく補正できてる。ポータブルオーディオにおけるGEQって、本来こうやって使うんだ……ということが理解できた。
    • 部屋or自家用車内であれば「マイクを立ててオートGEQを……」となるのだけれど、ポータブルオーディオではソレができない。ゆえの代替機能、と。
  • お気に入りボタンを押す→お気に入りリスト行き、時間帯ごとに聴いている曲のログを収集→「○○(特定時間帯)の曲」といったホットリスト機能がある。

……と、こんな感じかしら。
 あくまでもオーディオプレーヤとしてしか見ないことにしているので「液晶画面がシャープのものより(略)」とかいう記述は省略してます^^;。


 朝に使ったときには「通常モード」と「オーバーサンプリングK2モード」を使ったのだけれど、付属イヤフォンが「ろくでもない代物*1」なので、もー朝からがっかりしていたり。


 夜に使ったときには「サウンド工房→チューニング→詳細チューニング」を使ったのだけれど、これは明らかに◎。
 ぱっと見た感じでは「ただの5バンドGEQ」なのだけれど、実際にはGEQを動かすときに「その帯域のクリック音」がずっと鳴っていて、画面案内どおりに「ぎりぎり小さな音で聞こえるレベルに」5バンドをそれぞれ調整していく、という風になっています。
 ぶっちゃけて言うと「自身の聴覚に沿ったラウドネス等曲線を荒く再現する」仕掛けになっていて、この設定を行うと付属イヤフォンのヤな癖がうまく相殺され、とても心地よく聴けるようになります。
 「DAコンバータの癖」「アンプの癖」「イヤフォンの癖」「外来音の癖」「聴覚の癖」を一緒くたにまとめて逆補正する……ってのは大雑把過ぎる気もするし、普通に家庭聴取でこんなことをすれば「GEQで弄りまくってダメになった音」という風にしか聞こえないはず……なのだけれど、もともと外来ノイズの大きな室外環境ではダメな部分がほとんど感じられず、この手の調整による「美味しいところ」だけがうまく活かされるようです。
 ……もっとも、個人的には「倍額でもいいから31バンドGEQ×2chを積んで欲しい」かも。調整の手間は13倍近くかかるけど、手間に見合う音質効果が期待できると思う。


 虜屋視聴記ちっくに評価すると、こんな感じだろうか。

  • 安定性:★★★☆☆
  • 拡張性:★★★☆☆
  • 音楽性:★★★☆☆ 
  • 経済性:★★★☆☆
  • 装着性:★★☆☆☆ ──まー、カナルタイプですから。
  • 遮音性:★★★☆☆
  • 推奨度:★★★☆☆ ──場合によっては★が一つ増えるかも。

 もしも「オーバーサンプリングK2モード」が「リミッタで波形がつぶされた状態(=頭のつぶれた正弦波+高調波ノイズの組み合わせ波形)から、そうなる前の波形を復元することができる」タイプのものであれば、★はあと二つか三つは増やしても良い……のかも?
 そのあたりは聴いてみないと解らないけれど、逆に「小さな音の分解能を上げます」系の技術だったら(そんなものはポータブルオーディオにとって無用の長物でしかないので)まるっきり評価できないよなぁ……と。
 いずれにせよ、何か気づいたことがあれば、また追記してみたと思います。


 ちなみに、操作性は比較的よい方かと。ボタンインターフェースに慣れた方にとっては、この形ならばまず迷うことなく操作できるはずです。
 ただし、これは「iPodスタイルのアレが大嫌いだという私」から見たときの話なので、逆にiPodスタイルが快適だと思う方にとっては、本機の操作系が「耐えられない」かもしれません。
 細かなところでは、再生/停止ボタンが中央ではない(中央はEnter機能)というところは微妙に惜しい気もしますが、こういうつくりでやる上では仕方がないところなのかも……そこを含めて考えると、「よくこのボタン数&配置を考え付いたなぁ……」という感じで、基本的には文句の付け所がないと思います。
 一万円以上のポータブルオーディオプレーヤを買うのは「Nomad Jukeboxシリーズ」以来なのですが、あのときの端末から比べても「久しぶりに良い買い物ができたな」という気がします。

2008年7月5日3:55:56追記。

 

 こいつをつないで聴いてみました……かなり良い感じ。
 「オーバーサンプリングK2モード」は、ただ単純に「普通にオーバーサンプリングしているだけ」ッぽい感じ(高音側応答はよくなってるけど、振幅方向は変わらない感じ)
みたいなのだけれど、オーバーサンプリングによる効果そのものというのは素直に楽しめそうです。
 EtyのERシリーズでマトモに聴けるということは、ShureのEシリーズなども含んだ、比較的高価なイヤフォン類もきちんと鳴らしてくれると期待できます。


 それと、本機では「高品位だが大きな振幅を必要とするイヤフォン」のために、通常よりも大きな音量を取れるようなボリウム指定が可能になるモードが選択できます。
 同モードを指定すると、エフェクト類のうちいくつかが使えなくなる……ということで、エフェクト用に用意している余裕分を振り分けることによって実現しているようです。
 高品位イヤフォンのため、あるいは家庭音響機器への出力のために、こういったモードを活用してみる……というのも一つの手かもしれません。

*1:「数万円クラスのイヤフォンと比べれば」という話です。音質的には2980円〜3980円くらいの価格帯相当かなぁ。ドンシャリ系に近い音が高音質だと捉える方にとっては良いイヤフォンだと思います。素特性は私にとっていちばん嫌いなタイプですが(^^;)。