飛鳥カナ配列スレッドメモ。

 わずか数日の間に、話が結構進んでいてびっくり。


 私の場合、飛鳥を選んだきっかけのうちひとつに「(スペースバーが文字キー4つ分ある)東芝ノートPCでも使えること」というのがありました。
 NICOLAの場合はさすがに、こういう条件で使うのは厳しい(こういうキーボードで使われることはまったく想定していないはず)のですが、私がやり始めた当時から「飛鳥はそうではなかった」ので、結局は使い続けることになった……という感じでしょうか。
 私が仮に「2008年のいま、はじめてけん盤配列界隈について知った」と仮定すると、飛鳥を選んだかどうかは判らないですね……というか、自分の性格からすると、たぶん初めての配列としては、「NICOLA」ではなくて「小梅配列」を選んでいたのではないかな、という気がします。
 その後に「小梅→飛鳥」と移行するかどうかはさすがに想像できないのですが、小梅配列ははじめから「普通のJISキーボードを使って、普通に無変換・変換キーを親指シフトキーとして使う」入力法なので、そこできっちり満足できたとしても、別に不思議はないかなぁ……と。
 #わたしみたいなのが他にもいて、それこそ「かえでにこら」や「かえであすか」のようなものを作っていたりすれば、もしかするとそういう方法に惹かれていたかもしれません……基本的に私は「見掛けが単純なものが好き」なので。


 それと、「親指シフト専用キーボード」について……ですが、個人的には「親指キーがかさ高になっていること自体が嫌い」で、かつ「真ん中にスペースキーがないのも嫌い」なので^^;、個人的には、親指シフト専用キーボードが「JISキーボードよりもよい」とは思えなかったりします。
 この理由は単純で、「一番はじめにつかっていたのが、JISキーボードの載ったワープロ専用機だったから」ということが、根本的な理由なのだと思います。同じ右手親指位置にあるキーが、たまたまワープロ専用機時代は変換キーであり、今はスペースキーである……と、そんな感じですね。


 そして、なかには

  • NICOLA×(スペースキーがあまり大きくない)JISキーボード(で、無変換・変換を親指シフトキーとして使う)」
  • 「小梅配列×親指シフトキーボード」
  • 「飛鳥カナ配列×Kinesisキーボード」

などでの評価打鍵例などもあり……と、結局は「配列に依存して決定する」ところだけには限定されず、「人に依存して決定する」部分も、結構あるのではないかな……という印象を持っています。


 安物キーボードの件については……「安物キーボードでも【手指を主とした体全体に負担を掛けずに】打てるようにと設計された配列であれば、安物キーボードでも、高価なキーボードでも、違うことなく快適に使える」ということは真だと思っています。
 一方で、その逆が真であるとは限らない(=高価なキーボードでだけ快適になるように設計してしまうと、安価なキーボードで負担がかからないかどうかを確認することができない)という都合がありまして、そういった絡みを考慮すると、

  • 配列を使うユーザさんは、その使用頻度や体感内容に応じて、コスト対ベネフィット比でみて自分自身に見合うキーボードを使えば、それでいいはず。
  • 配列を設計する設計者は、安物キーボードでも使用されるということを考慮しない場合を除いては、安物キーボードで評価打鍵を行うことで安全性を確認するべき。

というふうになるのではないかな……と、私はそう考えています。
 それと、別の理由として「ハードウェアはコピーできずに置換or増設しなければならないので大変だけれど、ソフトウェアはコピー(購入含む)して切り替えればよいので、できる限りはソフトウェアのみで何とかできるほうがいい」というところも、挙げておくべきかもしれませんね。
 特に最近はノートPCの出荷比率が高いはずで、なかなかキーボードの取替えや増設というものに興味関心を持ってくれる方がいないのではないか……とすると、「普通のキーボードでも使えること」というのは、デスクトップPCの時よりもさらに重要な点になってくるのかも……と感じています。


 ハードウェア的な変更というのは、どうしても「売れるものを売るよりほかに、生き延びる道がない」という事情がある限り、なかなか厳しい話なのかもしれません。
 一方で、ソフトウェア的な変更であれば、「ありもののハードウェアをとりあえずつかって、その中で使い手さん自身にとって使いやすいと思う方法を選んで使えばいい」と割り切ってしまうことができるので、ハードウェアベースでは商業的に厳しいようなユーザ数の段階からでも、十分に対応可能なのではないかと思います。
 商用か否かを問わず、個人製作なけん盤配列を実現するためのソフトウェアは用途別に多数発表されていて、今実際にその恩恵を確かに受けているわけですし。
 

 ……で、さいごに。
 「親指シフトは要らない子か」&「中指シフトは妥協の産物か」という点について。
 ……うーん、どうなんでしょうね。
 ひらがな90文字弱を扱わなければならない「かな系」配列というのは、そもそも妥協無しには成立しないですし、入力しやすさに関する感じ方というのも人それぞれに違うでしょうし。

  • 妥協して4段配列化&濁半音ポストシフト化して、JIS配列のような形にする。
  • 妥協して小指(or親指)プレフィクスシフト化&濁半音ポストシフト化して、新JIS配列のような形にする。
  • 妥協して中指プレフィクスシフト化&濁半音ポストシフト化して、新JIS配列のような形にする。
  • 妥協して親指2シフト化して、親指シフトのような形にする。
  • 妥協して行段で区切って、行段かな系配列にする。

……といった感じで、どんな方法を使っても「結局は何らかの妥協しなければならない」のですから、結局は「その妥協が、使い手自身にとって苦にならないかどうか」次第で、評価はいくらでも変わってしまう気がします。
 もちろん、この妥協というのは「かな系」に限ったことですらなく、どんな入力法でも同じだ……というところは、すでにけん盤配列スレッドをごらんの方ならハッキリと認識されているはずですし。
 もともと「親指シフト/JISかな→ローマ字入力」という時代の変化が妥協の産物*1という感じだったようですし、おそらくこの流れは「ローマ字入力→ケータイのかなめくり入力」という時代の変化へと続いていくだけだと思います。



 「ケータイのほうがラク、パソコンは面倒」という印象を持つ方は、次第に増えてくると思います。
 そういった方々にとって、近年設計の入力法がどういう風に映るか……というのはちょっと想像ができないのですが、このあたりは「ただ見守っていくよりほかにない」ですね……。

*1:というか、「親指シフト&JISかな」両搭載の機種が無かったことが原因なのかも。新JISかなの立場もハッキリしなかったですし……。