行動分析メモ。
http://d.hatena.ne.jp/maple_magician/20080404/1207245970#c1207265132
ketttさんからいただいたコメントを発端として、この絡みの書籍を読んでいてふと思った。
……そもそも、「心理学」のアプローチからどーにかしようとするんじゃなくて、「行動分析」からどーにかするほうが適切なんじゃないかと。今までだいぶ遠回りしていた気がするけれども、たぶんこの方向性を軸にするのが、一番安定した姿になりそうな予感がしていたり。
「心理学」のアプローチというと、漠然と「人の心を掴んで云々/人の心を操って云々」というイメージに結びついてしまいがちで、【なんか違うよなぁ……】と思いつつ積読していたのだけれど、そこから一歩だけ身を引いて「行動分析」のアプローチで行こうとすると、ものすごく「しっくりとくる」内容に満ち溢れている気がする。
……で、コメントをいただいた前後に「応用行動分析」関連の本を「(それをまったく意識していなかったのに)すでに買って読み始めていた」ものだから、そこでとても驚いてしまった……というのが、今日までの状況で。
応用行動分析のコンセプトというのは特に面白くて、ぶっちゃけて言えば【できないコなんて誰一人としていないよ。やり方がわからないというコには、あいまいさのない手順を示してあげなさい。継続できないというコには、(継続により得られる結果ではなくて)継続しているという行動それ自体を肯定してあげなさい。この2つをきちんと提供してあげることで、ほとんどの問題は解決できるよ。】という、(根気強く教える気がある人は自然とやっている行動そのままの)わかりやすいコンセプトを持っている。
……で、一歩間違えれば「何?この甘ったれな方針。」とか言われそうな話が、実際に面白いように効果を挙げている例が、すでにある……と。
- 作者: 石田淳
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
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「やる気を出せ!」は言ってはいけない ~行動科学で見えてくるリーダーの新常識~
- 作者: 石田淳
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- 発売日: 2008/02/09
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それぐらいに「今までの方法とは考え方がぜんぜん違う」ところには驚かされるのだけれど、読んでみるとどちらも「ちっとも変なところがなくて、そりゃ確かにそうだ!と納得させられることばかり」で……そう感じる理由は、まさに「行動に焦点を当てている」というところにあるのかな、と。
応用行動分析に絡む本としては、「企業を対象としたもの」と一緒に「学校を対象にしたもの」もあるようで、この方向性についてはこれから読み進めようとしています。
学校を対象としたものでは、主に「普通学級にいる、すこし学習が遅れ気味の子供を救済するための方法」としているようです。
……これって、「苦手なもの・ちょっと手に余るもの・社会人になってからやろうとして苦労しているもの」に取り組もうとしている、普通の大人にとっても大きな効果があるのかも……と考えていたりします。
増田さんがキーボードのタッチタイピング教材として「音声教材」や「メール教材」を使っている理由がすっきりと理解できた……というところもあり、この絡みに「かえで式キーボード練習法」を乗せて行きたいなぁ……などと考えてもみたり。
……って、それがどうなるかはわからないにしても、「けん盤配列の練習法」と「仕事の進行方法」というのは、結構つながっているのかも。
実際に試すとなれば、まず「かえであすか」「かえでにこら」「かえで携帯配列」あたりの、酷評されたとしても他の方に迷惑がかかりにくいものからはじめることになるかな。
……って、だらだら書いてても仕方がないので、とりあえずプチまとめ。
会社でこの手の話を展開するときには、
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できる!をのばす行動と学習の支援―応用行動分析によるポジティブ思考の特別支援教育
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ちなみに、企業導入用のものは実践的なので単独で使えそうなのですが、図版が少ないので「イメージで捉えることを得意とする」方にとっては、読みづらくて仕方がないと思います。
翻って、学級導入用のものは、企業へと応用するにはちょっと工夫が必要になってしまうことと引き換えに図版が多く、イメージで捉えたい方にとって特に理解しやすいように工夫されています(特に、「できる!をのばす〜」はとてもよくできています。これの企業導入版ができれば、日本企業に応用行動分析が普及する可能性は飛躍的に高まりそうだと思います)。
もしも行動分析がらみを会社などで導入しようと企てている方がいらっしゃるのでしたら、「企業導入用の書籍」と「学級導入用の書籍」の両方を読み解いてからにすることをお勧めします。
……と、今日はそんな感じ。
……あっ、ひとつ書き忘れていた。
この方法、企業導入用のものに書いてあったのだけれど「メソッドを秘密にして実行しちゃダメ!全部理論を説明して、みんなで納得してから始めてね!」というのが原則らしい。
……で、企業導入用のものでも、学級導入用のものでも、基本的な格子はまったく同じ……と。
ゆえに、「企業でやるんだから子供の教育用の本を使っちゃダメでしょ」とかいう風にはならないわけで。
実際、企業導入用のものにも「こんな子供っぽい方法でいいの?と思う人もいるけど、これでいいの。楽しく仕事をできる環境ができれば、みんながそろってベストパフォーマンスを叩き出せるんだから。」という感じの説明があったりするので、会社で使うテキストが「学級向け」のものであっても、ほとんど同じ効果を発揮できるはずです。
適用先の違いというのは、応用行動分析というものを「企業向けに翻訳した」か、あるいは「学級向けに翻訳した」かという違いだけであって、応用行動分析の仕掛けそのものは、どちらの視点向けの書籍であってもキチンと漏れなく書かれているはずです。
おまけ。
ちょっと脱線かも?という気がするけれど、
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応用行動分析そのものには絡んでいないのだけれど、最終的には同じベクトルを向いているので、応用行動分析の本とあわせて読んでも、たぶん混乱はせずに理解できるはずです。
……あるいは、【若いリーダーをいきなり抜擢しちゃったはいいけど、本人が戸惑っててどーにもならない】なんてときには、本人にこれを渡してあげるというのもいいかも。この本から応用分析の本にいく、という方向であっても、おなじく戸惑うことなく理解していけると思われます。
まとめ。
「根気強く教える」ことは、例外なく正しいです。しかし、教え方次第で、教育の効果はがらりと変わってきます。
教育の効果を最大限に発揮させるためには、「どう教えればよりよいのかを学ぶこと」が、とても重要です。
「根気強く教える覚悟」×「よい教え方を知り、そして実践しているかどうかの度合い」=「実際の教育効果」が、本来の教育の方程式、と。
それと、「相対評価」では「たとえ全員ががんばっても、原理的に一部の人しか高評価にならない」ので、これは避けること。
「全員ががんばれば、全員が高評価になる」ような、「絶対評価」を採用しよう。
集団の外はどうせ「相対評価」でしか見てくれないのだから、「外から見た時の、集団そのものの相対評価を上げる」ためには、「中で相対評価をして、ベストパフォーマンスを出せる人を限定してしまうなんて、ただの馬鹿でしかない」ということに気づこう……ってのは、
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「劣化コピーしてきた成果主義」が原因でくたびれてしまった会社を立て直そうとする場合、この考え方はとりわけ大きな効果をもたらしてくれると思う。