キーボード配列QWERTYの謎を読了。
- 作者: 安岡孝一,安岡素子
- 出版社/メーカー: NTT出版
- 発売日: 2008/03/01
- メディア: 単行本
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注2:以下には「ネタばれ」が含まれています。本書を楽しみたい方は以下を読まずに、そのまま書籍を購入してご覧ください。
個人的に興味があった話。
- (すみません、いったんここに書いたのですが、本書pp.9-10の話は伏せることにしました。)
- 文字符号の歴史―欧米と日本編の内容のうち、本書に関係する部分が整理されたうえで本書にも載っている。
- いわゆる「配列屋」は、いつの時代にも存在していたらしい。ショールズさんが1876年頃に作成した「これは思いっきり
右手用右利き用配列じゃないの?」的なけん盤配列(pp.47-50)があったり、グリフィスさんという方が1949年頃に作成した「これは飛鳥カナ配列(あるいはTHD配列系)のコンセプトにそっくりじゃないの?」的な省運指けん盤配列(pp.164-165)などもあったり。 - 「外方運指法」は「たまたまそう使われるときもある」というレベルの話であって、実際にそれを前提に運指法が定められたことはなかった……と。
- そのかわりに、昔は今で言うところの「人差し指伸領域」が「人差し指領域」とされていて、今で言うところの「人差し指領域」は「人差し指・中指兼用領域」のように捉えられていた……と。これはQwertyで「T・H」が「人差し指伸領域」にあったから……という配列由来の話ではなくて、そうではない配列でもたいてい似たような運指法だった様子(詳しくは本書の各配列挿絵を参照のこと)。
どんな人が読むと楽しめるか。
雑感。
- Qwertyネタに関して、はじめて(?)「安心して読める本が出た!」という感じだろうか。
- 文字符号の歴史―欧米と日本編にも増して、取り上げられた図版の「生々しさ」が印象深い。とても緻密に書かれたタイプライタ本体の模写図版があるかと思えば、字間やベースラインがメチャクチャに崩れているタイプライタ打ち出しの原稿があったり……と、元の図版が持つ印象の強烈さには驚かされるものがある。
- けん盤配列に興味がある人なら、読んでおいて損はないと思う。
- 少なくとも、彼女彼氏らが成してきた功績と、彼氏彼女らが犯してきた過ちについては、(遠回りを避けるためにも)知っておくほうが良いと思うので。
おまけ。(2008年3月28日23:26:58追記)
ふと思い立って、以下のような質問をしていたことを、ついさっき(終了通知メールによって)思い出した……ので、とりあえず追記。
QWERTYの謎(注:最近出た同名の書籍についてではなくて、「QWERTY配列がどうやってできたか」という伝聞)についてお尋ねします。
あなたは、QWERTYの謎について、何か知っていますか? | |
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(これはダミー項目です) | 7 |
詳しく知っている。 | 25 |
少し知っている。 | 100 |
知らない。 | 193 |
(これはダミー項目です) | 3 |
こんな状態で「なんとなく納得できるガセネタ」を見せられたら、そりゃあガセかどうかの判断なんて付くわけがないよなぁ……と。
*1:2008年3月16日0:43:08追記。別のメモを書いていてふと思ったのだけれど、親指シフト(富士通)に関する速度計測テストにも、M式(NEC)やQwertyローマ字入力(シャープ)のような行段系に関する同テストにも、同じように「(それをわざとやっていたのか、知らずにやっていたのかは別として)特定の入力方式が不利になるような、練習用テキストに対する小細工」をしていたのではないかと思い始めていたり。親指シフトの速度が有利になるように計ろうとする場面では「どの入力法も分け隔てなく、ホームポジション練習からはじめている」とか、行段系の速度が有利になるように計る場面では「どの入力法も分け隔てなく、50音図練習からはじめている」とか……入力法に見合わない練習法を用いれば習得が遅れるのはある意味当たり前なので、公開された情報だけを見て【そこで実際に行われた様子をまったく無視して】結果を引用するのは危険なのかもしれない……って、シャープの場合はバーチカルメソッドだったかな、そうするとあれは別なのかも?うーん……はっきりとしたものはつかめないのだけれど、とりあえず心の片隅には記憶しておいて、そのうち調査対象にするかも。