最近読了したものリスト。

世界で一番不思議なあの子 (講談社X文庫ホワイトハート)世界で一番可愛いあの子 (講談社X文庫ホワイトハート)

世界で一番不思議なあの子 (講談社X文庫ホワイトハート)

世界で一番不思議なあの子 (講談社X文庫ホワイトハート)

世界で一番可愛いあの子 (講談社X文庫ホワイトハート)

世界で一番可愛いあの子 (講談社X文庫ホワイトハート)

 精神科医の「ゆうきゆう」という方が書いた本を大人買いしたときに、amazonのヘタレ検索エンジンがなぜか引っ掛けてきた本……そもそもフィクションものの本を最近読んでいなかった気がする*1ので、ついつい手を出してしまいました。
 amazonのレビューには「絵師が下手」みたいなコメントが付いていたのですが……「言葉では表現しやすいけど、絵としては表現しづらい事柄」のオンパレードになっているこの手の本にとって、絵師の仕事にケチをつけても仕方がないと思うんですよね……実際、誰がやってもこの手の世界観は映像表現しきれないと思いますし。
 内容については……うーん、冒頭とオチが重苦しいところは気になりましたが、話の作り方についてはテンポもよく面白いと感じました。
 ただし、【(大きなほうを含む)オトコノコにはオススメしません】というアラートは必要だと思います……とくに後者はボーイズラヴ(以下略)^^;。
 それと、ふと「これって、映画化したら(大ヒットはしなくても)話題にはなるんじゃないかな……」という気にさせられる筋はあると感じました。感覚としてはのミックス的な線に近づくのかも知れず*2、映画監督さんの采配次第では「映像作品なりの森山侑紀ワールド」が、うまく表現できるのかも……と。

セクシーサトラレ学 つい気持ちを飲み込んでしまうあなたへ (ピース KC)

セクシーサトラレ学 つい気持ちを飲み込んでしまうあなたへ (ピース KC)

セクシーサトラレ学 つい気持ちを飲み込んでしまうあなたへ (ピース KC)

 原典(というか、元ネタとなるマンガ)については読んだことはない……のですが、マンガのコマを引用しつつ「物事の伝え方」に関するエッセンスを紹介している点について、とても面白く読むことができました。
 どちらかというと、濃密なグッドコミュニケーションがどうあるべきかという点についての、指南書のようなものですね。
 詳しく内容について書くつもりはないのですが、少なくとも上記の本と
会社でチャンスをつかむ人が実行している本当のルール

会社でチャンスをつかむ人が実行している本当のルール

の2冊を同時に実践している方は見かけたことがない(コミュニケーションに対するスタンスが少し違う)ですし、そんな人が仮に上司だったら(いくらなんでも手ごわすぎるので)関わりたくないなぁ……と思いました(苦笑)。
 ただ、この本(勝間さんのではなくて、ゆうきゆうさんの本)については、(amazon関連で)ちょっとがっかりしたところが。
 amazonでは新品を扱っておらず、仕方なく中古本を購入したのですが……状態が「非常によい」となっている本を狙って買ったはずが、しっかりページが汚れていて、ちょっとがっかりしてしまいました。表紙が痛んでいるのは読む上で困らないのでどうでもいいとして、ページ中が汚れているのは「読む意識が途切れてしまう」ので、こういうところは微妙ですね……本屋が負うべきチェックコストから考えれば「見つけられなくても仕方がない」レベルなのですが、なにか納得がいかないんです。

英語で学ぶトヨタ生産方式―エッセンスとフレーズのすべて

英語で学ぶトヨタ生産方式―エッセンスとフレーズのすべて

英語で学ぶトヨタ生産方式―エッセンスとフレーズのすべて

 本筋についてはとても中身の薄い書籍。その薄さはに匹敵するほどの有様*3
 この本から「和文とその対訳*4」を取り去ると、本文が掲示する内容というのは
全図解トヨタ生産工場のしくみ

全図解トヨタ生産工場のしくみ

から図解を取り去ったよりも少なく、本書が一体何を掲示していたのかということがさっぱり見えてきません。
 その一方で、面白かったのは「ページ内に散りばめられたコラム」。著者がとくに力を入れていたのか、巻末近くになっても収まりきらずに「コラムだけで3ページを連続して取っている」ところが面白く、異なる言語・異なる文化をもつ方々とのコミュニケーションに関する難しさなどがひしひしと伝わってきます。
 私は最近、とても不思議に思うことがあります。この本を読んでいて特に思ったのですが、「ブロークンビジネス英語」を作成するようにして「ブロークンビジネス日本語」を作ってしまい、それで海外拠点における社内の日常業務をまわしてしまう……というのも、あるいはアリなのではないかな、と。
 ロボット工学の分野では「公用語が日本語」だったりする……という話をチラッと聞いたことがあるのですが、要は言語が何であれ「コミュニケーションが成立すれば、それでよい」という話なので、場合によっては使える機会が出てくるのかも。
 ……いずれにせよ、この本は「トヨタ式のため・英語のため」に読む本というよりは「ビジネスコミュニケーションのため」に読む本だな、と感じました。

英語にも主語はなかった 日本語文法から言語千年史へ

英語にも主語はなかった 日本語文法から言語千年史へ

英語にも主語はなかった 日本語文法から言語千年史へ

 きっと著者は、この本のタイトルにおける「〜はなかった」という語が、英語的な「過去形」だ、というつもりでタイトルをつけたのかもしれない。
 日本語には「過去形」といえるようなスタイルがない……と書いていたから気になったのだけれど、本書のタイトル冒頭に「かつて」と3文字付け加えていれば、さらにその点が明らかになったのかもしれない。
 もっとも、今の英語にさえ「過去のスタイルを維持し続けている例外」がある、ということも記しているから、あえて「かつて」をつけなかったのかもしれないけれど。


 ……で、この本で興味深いのは、英語が「する化の深化と簡略化」をしたように、日本語は「ある化の深化と簡略化」をしていくのではないか……という話。
 いまは「です/ます」と使い分けているのだけれど、今後は「です」が中心になって、「ます」が廃れていくのではないか、という指摘がなされています*5。「ます」を使うときには始めから意識していないと使いづらいのに対して、「です」を使う場合にはただくっつけてもうまく行く……というところから、発音ベースでは確かにこの手の簡略化が進むかもしれないですね。
 もっとも、文字を書く場面においては、この考え方が進むかどうかは微妙ですね……普及しているローマ字入力では「で」が左手同手同指縦連という悲惨な割付になっていますし、ケータイのかなめくりでも標準ポケベル入力でも「で」は冷遇されていますし。
 こういう面においては、「で」が打ちやすいかな系が普及してしまうと、「ます体の消失とです体への統一」が進んでしまうのかもしれず、そういう意味ではちょっと悲しい気もしますね*6……。
 もっとも、一番面白かったのは「古い英語は日本語みたいな語順で意味が通じた&日本語が大和言葉で語をつなげた代わりに、古い英語は語を変化させてつなげた」というところなのかも。 

トヨタイズムを支える「トヨタ」情報システム (B&Tブックス)(2008年1月28日6:51:34追記分)

 ……ええと、時差ぼけしつつ書いているので、ここの内容については微妙かも。

トヨタイズムを支える「トヨタ」情報システム (B&Tブックス)

トヨタイズムを支える「トヨタ」情報システム (B&Tブックス)

 この本は、トヨタ情報システム「の歴史」を表したものであって、現在のシステムそのものについて詳しく表現したような本ではありません。
 似ている本というと……それこそ一番近いのは
真空管半代記

真空管半代記

でしょうね。技術書としてではなく、歴史書としての価値を見出すべき本です。
 したがって、トヨタ式の今を知りたい人が読むべきではなくて、トヨタがどういう経緯で「成功と失敗を繰り返してきたのか」を知りたい人が読むべき……と、そういう立場にある本です。
 この手の本は「ぱらぱらめくって書店で読むと、どうしても購入されづらい」きらいがあるのですが、中身が読めないネットショップではそれなりに売れて、かつ的外れな非難にさらされるんだろうなぁ……と、ちょっと心配してしまいます。
 書籍のタイトルが【トヨタイズムを支える「トヨタ」情報システム (B&Tブックス)の歴史】であれば……と、その点がちょっともったいないなと感じました。
 ……そういえば、同じ歴史書としての接点で行くと、こういう本もかなり近いかも。
セブン・イレブン流通情報戦略 (知的生きかた文庫)

セブン・イレブン流通情報戦略 (知的生きかた文庫)

 こちらは「真空管半代記」とは異なり、よりトヨタ情報システムと近い接点(コンビニの歴史は情報取り扱いの歴史そのもの!)を持っているので、一緒に読む本を探しているならこちらがお勧めかも。

*1:これの前に読んだもの……というと、マンガの

インストール (デザートコミックス)

インストール (デザートコミックス)

あたりまでさかのぼらないといけないような気がします^^;。

*2:前者はテレビ放送を中途半端にしか見ていませんし、後者はまったく見ていないので、もしかすると勘違いをしているかもしれませんけれども……。

*3:この本は、「速読技術書」としてみると中身が薄いものの、「速読与太話」としてみるととても面白いので、何を得たくて買うかによって、だいぶ評価が分かれるとは思います。

*4:この和文対訳は本文を補強するためには役立っておらず、会話用途向けの言葉が収められている。

*5:たとえば、「するかもしれないですね」という語は、「するかもしれない」+「です」+「ね」で構成できるので、「です」をつけるかつけないかの違いで2つの立場を表現できるわけで。これを「するかもしれませんね」とすると分離しづらい(=記憶負担が増える)ので、こういう表現は徐々に減っていくのではないか?ということが書かれています。

*6:とはいえ、だからといってマゾヒスティックに「で」は打ちづらいほうがいいのだ!なんていいたくはありませんけれども。「で」は「ですます」のみ使われるわけはないの、これが使いづらいというのは全体効率を下げる原因にすらなりますから。