かえでこうめ、いきなり設計につまづいています……小梅1.3.1RC(リリース候補)を基に。

(言及:本日の配列−小梅 1.3.1 RC)
(過去:わずか4日で「かえでにこら」の利用を停止、結局「かえであすか」に戻すことにしましたorz。)
(過去: http://d.hatena.ne.jp/maple_magician/20080115/1200349001#c1200417092 )


 いちおうトラックバックは飛ばしますけれども、(中身がすっからかんな話なので)コメントはいただけなくてもかまいません>141Fさん。
 #記事最後部を拝見すると、「トラバを飛ばしていい時期ではなさそう」だという感じがしたもので……。


 それと、注釈ばかりの内容になってしまいました……ので、読む場合には斜め読みで良いと思います>皆様。


 親指シフト(NICOLA)とおなじ左右使用率・交互打鍵率をもつ「かえでにこら」を使ってみて、NICOLAがもつ特徴というのはなんとなく理解でき始めた気がしています。
 NICOLAそのものを試したときには、とにかく細かなところ──超低頻度かなが覚えづらい*1とか、小指が辛い*2とか、JISキーボードには厳しい*3とか──だけが目に付いていました。
 ところが、そのあたりの個人的な不満をひとそろい解消してみた「かえでにこら」が出来上がって*4みると、もっと大きいところ──そもそも「右手を積極活用したい」という要求が出てくると対応できない──が余計に気になってしまい、使用を数日で取りやめるという結果に至りました。


 私は「仮に【設備投資】をしたら、失敗しても取り戻せないし、投資して得た設備は無駄になる*5。だから、失敗しても経験という資産が残る【手順改善】でどーにかなるところがあるなら、まずはそこから先に着手しよう!*6」という考えでいるので、専用キーボードをいきなり買ってどーにかするという方法を薦めることはできません。
 そういう意味では、NICOLA用の専用キーボードへと投資してしまうよりも前に「かえでにこら」でパッと練習してみて、良さそうであれば専用キーボードを買って「本物のNICOLAに取り組む」ということを薦める、という手順を取るのも、結構ありなのかなぁ……と思い始めていたりします。
 この点は「かえであすか→飛鳥カナ配列」よりも「かえでにこら→NICOLA」の方が「かえで○○配列が果たすべき役目に沿っている」気がしていまして、仮に「かえでにこら配列Wiki」を作るのであれば、そういう方向で展開しようかなぁ……と思っていたりします。
 #もっとも、かえでにこらが「NICOLAに対する余計なサジェスチョンを提供してしまう」可能性があり*7、この行動自体が一種の賭けだと思っています。


 ……で、話をタイトルに戻して。
 「かえでにこら」で切実に思ったのは、NICOLAの左右割り振りのやり方では、左手の運動能力が全体の打鍵速度や快適さを感じる度合いまで支配してしまう……というところは、先に書いた絡みで感じました。
 そこで、NICOLAとは逆に「(飛鳥とは異なり)まったく同じロジックで動作し、かつ右手側の能力に依存するけん盤配列がほしい」と思いました。
 この方向ではすでに141Fさんが「小梅」を製作されているわけですが、冒頭のコメント欄にも書いたとおり、小梅(というか手作業設計配列全般)については、それを大きく崩すような調整ができない*8ので、今のところは「微調整を試みたのみで、他に動かせそうなかながない状態で頓挫している」という状態です。


 とりあえず、小梅1.3.1RC(リリース候補)をお借りして、「配列を崩す覚悟で、ひとまず忘れにくさ優先で再配字を試みた」途中のものを掲示してみることにします。

かえでこうめ改0訂0案1 無シフト面
123456 7890−^¥
 。なてせそ ・おのに,、:
 こたかるは ーんいしとBSEC
 .ょゅろゃ っうすらえ_

かえでこうめ改0訂0案1 左シフト面
?/〜「」& ’<>+=‘|
 「つもわぬ ゎびぎげ゜゛〓  ←半濁点をD10に置いているのは「半濁音の位置を忘れた場合のための対応用」。
 めをまさや ぁぴぐじどBSEC  ←「ぁ」は「あ」の同手同段ホームポジション外、以下順番にシフトをまたいで50音順折り返し。
 ゆほよふむ ぃヴずぢべ!   ←「ヴ」は「う」の逆シフトに戻した。

かえでこうめ改0訂0案1 右シフト面
!”#$%[ ](){}〓〓
 ?づでぜぞ ぅひきけ」*;  ←?をD1に置いているのは「句点と!に二重関連付けをするため」。飛鳥の「?→!」とは逆方向。
 ごだがざば ぇれくりあBSEC
 ぽぼぷぶぱ ぉみねちへぺ   ←「ぺ」を3段10列規則の例外となる位置に配置。バックスラッシュ問題が絡んで、一部のエミュレータではコケるかも。

かえでこうめ改0訂0案1 小指シフト面
!”#$%& ’<>^=‘|
 QWERT YUIOP@[
 ASDFG HJKL;:]
 ZXCVB NM,./_

 小梅はTRONルールのように「逆手シフトは濁音、その他のシフトのどちらかに清音」を置いているので、覚えやすさ・忘れにくさという意味ではNICOLAなみの効果を発揮しつつ、かつNICOLA縛りよりも柔軟な配列設計が可能なので、効率追求のための余地が大きいという構造となっています。
 ところがこのルール、設計者にとっては「NICOLA方式よりも、へたをすると飛鳥カナ配列方式よりも配列更改が難儀」という困った性質を持っているようです。
 一番厄介なのは、NICOLAルールのように「同手シフト面は他のシフトに縛られずに、自由に配字できる」という安心感や、飛鳥カナ配列ルールのように「制限のゆるさをフル活用して、同じシフト面の近隣部に類似かなを置いてしまえばいい」という配字しやすさも無く、3面あるけん盤配列が複雑に絡み合って「複雑に絡んで解きにくくなったロープ」のような状況になっているところです。
 このもつれた糸を解きほぐして「かえで化」を試みようとしました……が、上の配列図のように「ほとんど配字を変更できていない」状況のままとなっています。しかも「3段10列にかなを収める」というルールをはずしてもこの状態なので、ほとんど八方ふさがりの様な……。


 チラッとしか弄っていない奴がこんなことを言うのは変なのかもしれませんが、小梅/TRONルールで配列設計を行うのは「(飛鳥系配列よりも探索範囲が狭いかわりに、飛鳥系配列よりも設計しにくい制約が増えてしまうので)飛鳥並みに設計期間が掛かってしまってもおかしくないほどに難しい」のかもしれません。
 飛鳥カナ配列をかえで化する場合には、ルールの自由度がかなり大きいので「(Rayさんがやってきた)快適化設計はとてつもなく難しくても、(私がやった)かえで化設計はなんとなくできてしまう」部分があるのですが、小梅/TRONルールについてはそれがうまく当てはまらないので、単純な配列へと動かしていくのもかなり難しいと感じています。
 これで「かえでにこら」のように、NICOLAを大きく変えてしまう設計が許容されるのであれば話は早いのですが……NICOLAを大きくスクラップ&ビルドできたのは、NICOLAのルールが「同手シフト面には絡まない」ということと、NICOLAが「どうやら手ごねで設計されたわけではないらしい*9」ことが大きく絡んでいるので、これは例外中の例外*10といえるのかもしれません。


 もうすこし「かえで化」が可能かどうか検討してみるつもりですが、失敗したらゴメンナサイ……。
 こんなとき、私がパズルゲームを得意とするような奴であれば「ズバッと小梅の仕掛けを切り分けて、目的にあう配列を生成できる」のかもしれませんが、私にはそういう素質が無いので、なかなかむずかしいな……という状況です。

*1:これは池上さんが「小指シフトキー」経由でアフォードしていたオリジナルのやり方では正解だと思う。NICOLAを制定する際に、アフォードのかけらも無いような例外規定を作ってしまったことが問題。NICOLAの「ぱぴぷぺぽ」を覚えて使いこなす能力がある方ならば、たぶん「かえであすか」ぐらいは配列全体を覚えて使うことなど造作ないはず……といえるぐらいに、NICOLAの「ぱぴぷぺぽ」はアフォーダンスが無いと思う。実際NICOLAを4ヶ月やってみた記憶を探ってみても、「ぱぴぷぺぽ」の位置については自信を持って打てた記憶が無いので。

*2:JISX4063/Qwertyローマ字入力で小指が辛ければ、NICOLAでも小指は辛くなる可能性があると思う。この点はハードウェア側で「タッチの軽いキーボード」を使って解消してきたのが従来手法なので、けん盤配列側では考慮する必要が無かった……というのが、今までの話だと思う。

*3:専用キーボードであれば、結構いけるとは思う。ただ、勝間さんが銀行本で指摘している「物価の上昇」は既に始まっている(今まで搾取の結果として低価格になっていただけなので、これは当然の報いだと思う)ので、正直言ってこの点はとても心配。近々の予測では、親指シフトコンパクトキーボードは(メンブレンシートスイッチ仕様なので)大丈夫かもしれないけど。

*4:今回は評価打鍵しているうちに「できちゃった」かえであすかよりもひどくて、かえでにこらは評価打鍵前の配列設計段階で「ぴたりとはまるモノができちゃった」という状況で……これってどーよ?みたいな不安はありました。ただし、使ってみると大きな不安は無しい、ひとまずNICOLAの交互打鍵がらみについての検証をする上での必要スペックは満たしていますので、これを評価打鍵してみて今回の記事を書いています。

*5:勝間さんが自転車やソフトなどを「いろいろ買って試す」ことは、勝間さん本を読んだ方なら知っているはずです……そして、あれは「投資に対応するリターンを原資として再投資している」姿であることも、同じく勝間さん本の読者ならご存知のはずです。あの手法は「まず原資を得て、そこからはじめていろいろなものに並行投資して、はじめて合うものを見つけることができる」のであって、「無い財布から原資をひねり出して、ようやく選択肢のうちの一つにだけ投資する」ということとイコールではないということにもつながります。原資が限られていて「買って合わなかったらがっかりしてしまう」という状態の場合、手順改善をすっ飛ばして設備投資に走るというのは、決してお勧めできない……と、私はそう考えています。

*6:本の場合は「知識という資産」が残るものを買って読んだ場合に限っては、その投資は無駄にならないし、それが残らないならその投資は無駄になると思う。

*7:特に【は、】と【す。】について、NICOLAの場合は専用キーボードにしたからといって解決する問題ではないので、この点をどうやってうまくごまかすか(ここで今までにチラッと見た「句読点を打つ前に一瞬間をおくからこそ良い」という話などをわざと提示するのは、普及活動にとって明らかに逆効果だと思う……どうしよう。)を考えなければならないのは辛いところです。

*8:これは「かえであすか」のかえで化を試みていて痛感。手作業設計配列はたいてい「そこにかながあるべき理由」が(明文化されているかどうかは別として)存在してしまっているので、いくら50音順に近づけようとしても「それを指さんが拒絶しやがるので」限界がある……というのは、手指の運動機能が「人それぞれに微妙に異なっていて、かつ大体は似ている」からなのかも、と感じています。

*9:これは「かえでにこら」ができていくうちに、切実に感じました。NICOLAの基となった「50音配列」の試作配列を使った感想を基に「頻度表とにらめっこしつつ、手で配字した」要素と、「ひとつの配列を評価打鍵した」要素はあるように思うのですが、「評価打鍵した配列を、さらに手作業配列をこね回した」という泥臭い要素については、どうにもその「におい」をNICOLAから感じ取ることができなかったもので……。

*10:たぶん……ですけど、NICOLAルールの手ごね配列がもしも今後設計されたら、そういう「そこにその【かな】がある理由」が確立してしまっている配列に関しては、やっぱり「かえで化」はしづらいと思う。