JISX6002メモ。
カナタイプ配列といわゆる山下式初期版は、旧仮名遣い(正かなづかい)のカタカナ書記ルールを対象にして作られた……のかも?
そうだとすると、正字正かな用の「正かなづかい用鍵盤配列」とも、新字新かな用の「新かなづかい用鍵盤配列」とも違う配列に最適解があることになる。
誤解があってはいけない事柄だから、後で調べないと。
運指法、作者、ときて、こんどは頻度……カナタイプ配列は謎だらけだなぁ。
(2007年11月24日1:30:24追記)参考文献1。
山下芳太郎さんの「遺言」。「ウ」の代わりに「ー」を用いるところがある点など、現行仮名遣いとの差をじっくりと把握すべし!
http://www1.ocn.ne.jp/~kanamozi/will.html
この時代を生きた人が使った作った鍵盤配列にたいして、当時の言葉遣いについての知識をベースとしないままに「いまの基準でぐだぐだ文句を言う」というのは、どう考えても適切ではない。
(2007年11月24日1:30:24追記)参考文献2。
キー配列の規格制定史 日本編 ― JISキー配列の制定に至るまで(PDF)
http://kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~yasuoka/publications/ISCIE2003.pdf
節1.2として、本文がp.1に。それと、山下版・スチックネー版・カナタイプライタ配列の3つがp.2に載っている。
山下氏は「当時のカナ使用頻度に応じて」鍵盤配列を決定している。現行仮名遣いとは出現頻度が異なる「ウ」が、とんでもない場所にあるのは「当時の仮名遣いと、今の仮名遣いでは、かなの出現頻度が異なっている」ことをあらわしている可能性がある。
それと、(英文入力と同じく)分かち書きをすることに絡んで、「スペースキーを含めての打ちやすさを考えていた」節があるのかもしれない。
#当時のかな使用頻度については未調査のため、ここはあくまでも推測。
また、スチックネー氏の配列についても、同種のかな使用頻度を根拠に配列調整を行っていた可能性がありそう。
もちろん根拠はない、ただの感触なのだけれど、たとえば「い」に対する「ふ」の位置──現行仮名遣いで言うところの「い-う」として使われていて、かつ「て」「は」並に「い」から近い位置にある……と。
(2007年11月24日2:19:02追記)疑問点。
……いままでJISX6002についてはあれこれ批判なり擁護なりがあったのだけれど、いままで見ていて「この配列が旧かなづかいのカナモジ文でこそ真価を発揮する可能性がある」ことと「この配列は新かなづかいのかな出現頻度に基づいているわけではないので、新かなづかいで使う場合の最適解かどうかはわからない」ということについての指摘は、すくなくとも【NICOLA】【JIS X 6004】【TRON】の資料では行われていなかったような気がする。
- 私たちには、当時の運指法はわからない。
- 私たちには、当時のかな使用頻度もわからない。
……そんな状態で、いったいどうやって、山下氏やスチックネー氏の行った配列設計や評価打鍵について「批判」なり「擁護」なりができるというのだろうか。
これらの配列が「新かなづかい用に設計された」と思い込んでいる限り、真実は見えてこないのかもしれない。
皆がそろって「自分にとって都合が良いように資料を集め」、皆がそろって「自分が知る現在の常識というフィルターを通して、設計当時のフィルターを通すことなく配列を評価して」、それが今のJIS X 6002に対する身勝手な評価になっている……とすると、これではまるで【Qwerty配列はタイプバーが絡まないように設計された出鱈目配列だ!】と公言するのと同じぐらいにこっけいな話だということになる。
このあたりについては、いつものように「思い出したら再び調査」の方向で。
現行鍵盤配列に対する不安。
そのうち、PC用の鍵盤配列にも「ゎ」を配字する必要が出てくるかもしれない。
これは新旧かなづかいに関する話ではなくて、「(主に女性が使用するための)メール体かなづかい」がらみでの話。
メモ。
この点に関連してRayさんに部分的質問したところ、この記事に対する回答もいただきました。
この記事は「Rayさんだけに対して問題提起しようとしたわけではない」のですが、回答いただいた内容が興味深いため、URLを転記させていただきます。
http://ameblo.jp/asuka-layout/entry-10054807925.html#c10079398244
ほとんどの方(もちろん私も含めて)にとって、耳の痛い話のはずではありますが、ぜひご覧ください。