PM 01:32 - Frank Edgar McGurrinのタイピング法(1889年製)を運指画像に変換。

(2007年3月25日19:58:51追記……一次資料を求めて徹底的に調べまくることで有名な(?)安岡さんからの本日付コメントによると、「Frank E. McGurrin」さんの正式名が「Frank Edgar McGurrin」ではなく「Frank Edward McGurrin」らしいとのお知らせを頂きました(&これを補強するほかの資料を探しているそうです)。詳しくはこの記事のコメントをご覧くださいませ。)


 安岡さんの該当記事について、悠木さんの運指表画像のつくりかたにある手順と素材をお借りして再現してみました。
 120年近く前(タッチタイプ創生期)から運指最適化が行われていたというのは資料にあるとおりなのですが、個人的にはむしろ「標準運指法」よりも「最適化運指法」のほうが先だった(?)ということのほうが興味深いと感じていたり*1

 左手小指外の「Shift」が着色されているのは間違いです。下段が「今の常識とは違う」運指法をとっている点に注意。下段に行くと、右手と同じく左手側も「外側に指を振る」のが、当時の運指法における共通した特徴となっているようです*2
 メモしている限りでは、一対一運指と異なる点は【ZAのZ、WRのW、EXのX、DE/EDのD、EC/CEのC、GFのG、CTのT、HRのH、KI/RIのI、OLのO】となっています。
 当時は「(手書きと比べれば)速記ができる」というメリットを生かすためか、「(キーと文字を一対一に対応させた)簡単に覚えられること」よりも、「(語の一部と運指を一対一に対応させた)より指がらみなく叩けること」を優先した運指を採用する傾向があった……のかもしれませんね。
 もっと強烈な方法はhttp://slashdot.jp/~yasuoka/journal/367510*3に示されています。
 運指は別として「鍵盤はプロ向きのもの」という傾向は日本国内にもあった(日本国内では和文タイプライタがまさにプロ向けだった)ようで、このあたりは考える道具―ワープロの創造と挑戦の座談会録でも示されています。
 プロ向け→万人向けへと練習方法が推移するにしたがって、「指とキーを一対一で対応させる」という方法が徐々に支持されていった……のかもしれないですね。


 ちなみに、(ここで書く意味はほとんどないも同然なのですが)タッチタイプを前提にした入力法では、そもそも上記のような「運指の最適化」という方法には特に依存する必要がありません。
 それを用いなくとも無理なく入力できるように、配列設計時点で「配列の最適化」を行い、結果として下記のような「例外のない運指」を実現できるように工夫している例がほとんどですので。

 ……いまの入力法で満足できている方は別として*4、もしも「今の入力法では満足できない!」というご不満をお持ちの方がいましたら、【タッチタイプすることを前提に設計された入力方法】をお試しいただきたいところです。

*1:これはすなわち「標準運指法では問題がある配列だった」ということを示している……ともいえてしまうあたりは微妙なのですが……。

*2:この運指、実は「JISX6002かな入力」で使うと面白いように感じています。特に、従来運指法では「小指外方下」になってしまう左手シフトキーを「小指ホーム下」に転化できるので、「ひこ」が打ちづらくなる代わりに、シフト側でよく使う「っゃゅょ、。」が打ちやすくなる……と。使用比率では「ひこ」対「っゃゅょ、。」=「1」対「3.69」なので、「っゃゅょ、。」を打ちやすくするほうが総合的な入力効率はよくなります!

*3:ただしこれは全指タイピングではあるが全指タッチタイピングではないそうで。

*4:満足できている方に対してどうこう言う権利など、私にはありませんから。