文章の長さは「記述窓が長文推敲に向いていない」せいで短くなった?

 ネットから長文が消えたいくつかの理由 (1/3)
 ネットから長文が消えたいくつかの理由 (2/3)
 ネットから長文が消えたいくつかの理由 (3/3)
 さあ、コメントつきで「ブックマーク」しよう!
 ……って、そういう問題でもないか。


 とりあえず「はてなダイアリー」と「はてなブックマーク」の話題は分離して欲しかったなぁ……と。
 はてなブックマークの本質は「その人がブックマークしていること」そのものなので、そういう「人力フィルタ」の結果が公開されていること自体に意味があると思います。
 「何が」を得たい人にとっては全く役立たないけれども、「誰が」を得たい人にとっては十分役立つわけで。
 小寺さんもブックマークを公開してみては?と、私はそう思います。「小寺さんがブックマークに登録しているから」という理由で、そのURLを見に行く人は、それなりにいらっしゃるはずでしょうし。

で、本題。

 長文が少ない理由については、小寺信良さんご自身が文屋さんなためか「文字の表示方法が長文記述に向いていないから(以下略)」という点を挙げていらっしゃるのですが、個人的にはそれが「原因の全て」というわけではないと思うんですよね……。
 文屋じゃないフツーの人にとっては、単純に【入力に掛かるコストが高い(=面倒くさい)から書かない】だけなんじゃないかな、と。
 自分から見て入力コストが十分に低いと思える文字入力方法をきちんと選択することができれば、そういう問題はほぼ発生しないと思います*1


 まえに「変換キー」と「無変換キー」をうまく使っていきましょう!という話。を書いていた事を思い出したのですが、小寺さんの場合は【非JISキーボード】×【Qwertyローマ字入力(?)*2】がベストフィットで、その場合に最も快適に文字入力できていらっしゃるはずです。
 一方で、普通の人は12人当たり11人が【Qwertyローマ字入力】をしているはずなのですが、それが「普通の人にとっては必ずしも快適ではなく、下手をすると足かせになっているのかもしれない」……と、そんな仮説を立ててみたくなったり。


 個人的な予測では、「文字入力に掛かる打鍵コストが下がれば、その分だけ文章は自動的に長くなっていく*3はず」だと思っています。
 JISX4063綴りによる無加工のローマ字入力は「最も入力効率が良くない」(=というか、他の入力法は「少なくとも(目的とする方向性においては)JISX4063綴りローマ字入力よりも高効率になるよう設計している」はず)ので、これが90%以上の普及率を誇っている現状では「文章が短くなるのは当たり前」ではないかな……と、そう感じています。


 もともとシャープのロマかな論文では【3段鍵盤なのでタッチタイプを習得しやすい*4】【JISかなと比べて入力速度が速い*5】などの美点が記述されていましたが、「打鍵数が飛びぬけて多いこと」についての考察は結局成されなかったという経緯があります。
 ……とはいえ、正直言って結果は「現状を見れば明らか」なのかも。大多数の人は非拡張ローマ字入力を選択し、そして大多数の人は「より短い文章へと移行しつつある」らしいのですから。


 もともと、非拡張ローマ字入力が決定的に普及した理由は【JISキーボードでも、親指シフトキーボードでも使える共通の入力方法である】【MS-DOS時代に英字配列を覚える必要があり、英文を打たない日本人はローマ字入力を経由して入力する以外に習得手段がなかった】というあたりであっただろうと思われます(もちろん、既に時代遅れの理由であることはご承知のとおりで)。
 そういう時代を経てきた人が今「パワーユーザ」なり「教え手」なりになっているはずなのですが、多くの方は「パソコンといえばローマ字入力するもの。入力が面倒くさい気もするけど、他に手段がないじゃない!」という風に感じていらっしゃるかもしれません。
 人間は「面倒だと思うことはしない」生き物ですから、非拡張ローマ字入力が「たまたまベストマッチだった」方を除けば、記述量が極端に少なかったとしてもなんら不思議ではないと思います……普通は「面倒だから他の入力法を覚える気なんてない」→「入力法が面倒なままだけれど、書かなければ面倒ではない」という経緯をたどるでしょうし。


 ……結局は、「別に文章が短くてもいいじゃないか。」という方にとっては、コレでも全然問題はないのだと思います。
 一方で、長文を書きたい方は、自分自身にとってぴったりフィットする日本語入力方法を見つければいいじゃん!(もちろん非拡張ローマ字入力が合う人は非拡張ローマ字入力を使えばいい……というのは当然の話)と、そう思うわけで……そういう「日本語を書くための環境整備」についての言及が今後増えて欲しいなぁ……と、私はそう思います。
 #それがハードウェア側の「キーボード」であるか、ソフトウェア側の「キー配列・入力法」であるかは問いません。


 ……理解していただけるかどうかは不明ですけれども。
 #それと、視点が狭いという点は……ここが「入力法関連日記」なのでご勘弁を^^;。

2007年3月6日0:08:49追記。

 ブックマーク経由で戴いたご指摘について。
 「小寺氏の論理展開をパロディしてる?」という点、まさにアタリです。
 但し、理由は「狙って言及したかったから」ではなくて、直上にあるように「このネタでしか深く掘り下げることができなかった」ためでして。
 小寺さんの記事は、特にオーディオ関連の記事を楽しく拝見させていただいているだけに、こういう突っ込みをしてもよいのかなぁ……と以前(変換/無変換キーの話)も悩んだのですが、とりあえずは「別の視点もありますよ〜」ということを記述しておきたかったのです。


 あっ、ちなみに……最近、個人的に心配していることを記事にしました。
 【もちろんパソコンにも未来はありますからッ!(2007/3/4)
 パソコンで使えるのはJISX4063ローマ字入力「だけ」だと思われてしまうことについて、危機感を抱いています。
 上記記事で危惧しているように「キーボードそのものが見捨てられてしまう(=JISX4063ローマ字入力も使えなくなってしまう)」ことは避けたいので、今のうちから代替案を提示して「キーボードそのものが見捨てられることを防ぐ(=JISX4063ローマ字入力が使える状態を維持する)」必要があると感じています。

以下は注釈。

*1:私が今までに書いた文章量は、入力法ごとに分けると【飛鳥カナ配列(2年位)>JISかな入力(3年位)>ローマ字入力(10年位)>親指シフト入力(4ヶ月位)】になると思います。JISかなで3年間書いた分量は、ローマ字入力で10年かけて書いた分量よりも多いはずです……飛鳥では2年ほどでもっと書いていますけれども^^;。

*2:キーボードについては書かれていたけど、入力法については読み逃していました……。

*3:私の場合は「長くなるだけ」ですけど、人によっては「短いけど、多量に書いてから推敲で短くした」文章を書く人もでてくるはず。

*4:これはのちに親指シフト・新JISかな・TRONかななどに引き継がれている。

*5:これは親指シフト論文と全く正反対の結果が出ているので、両方の論文共に当てにならない。