携帯電話用の文字入力方式で必要な打鍵数の試算、現行携帯電話編。

(参考:「Kodama携帯配列」と「2.0打鍵方式かな入力案」。)
(参考:携帯入力関連2題についての質問)


 【携帯入力関連2題についての質問】にて、プッシュボタン操作の手間が増えるかもしれないというご意見を頂いたもので、さすがに不安になって追加計算してみることにしました。


 ポケベル入力については例示していません……これは「2.0打鍵方式かな入力案(かえで携帯配列)」よりも「小書き文字シフト」と「濁点・半濁点」の打鍵数が増加するのみで、打鍵傾向は非常に似通っていますので。


 「かなめくり入力」については、(はじめから理想値に近い値で計算しておきたかったので)あの手この手を使って打鍵数を削減した「特製かなめくり入力」を設計して打鍵数を計算しました*1
 いきなり変換表で書くと面倒なので、携帯電話のボタン位置に対応させました。

あいうえお かきくけこ さしすせそ 【ぁぃぅぇぉ】は該当文字の「*」後変換で出す。
たちつてと なにぬねの はひふへほ 【っ】は「4」の長押しで出し、これも(長さは無視して)1打鍵と数える
まみむめも ゃゅょ らりるれろ 【ゃゅょ】が表。【やゆよ】は該当文字の「*」後変換で出す。
、。(゛゜小) わをん ー(逆めくり) カッコ内は未確定かつ制限時間内に打鍵した場合のみ有効
  • (大前提として)人間が操作することを考慮していません*2。それを考え出すと下記の運用条件が満たせなくなりますので……。
  • 「やゆよ」よりも「ゃゅょ」のほうが出現頻度が高いので、ここは「かなめくり入力」の基本を無視して「ゃゅょ」を優先的に出すようにした。
  • おなじ子音が続く場合でも「→」操作を不要とするために、制限時間以上ボタンを操作しなければカーソルが送られるようにする。入力効率を計算する場合、(かなめくり入力が有利になるよう)待ち時間は無視する。
  • 「*」の句読点キーは【゛・゜・小文字化】キーと共用。制限時間内にかなに続けて打たれた場合には濁音化・半濁音化(か行・さ行・た行・は行)するか、もしくは小文字大文字切り替え(あ行・ゃ行)を行う。制限時間を過ぎてから「*」キーを押すと、句読点キーとして働く。(かなめくり入力が有利になるよう)待ち時間は無視する*3
  • (かなめくり入力が有利になるよう)空白キーおよび改行キーなどは別途用意し、文字鍵盤面には用意しない。
  • 長音記号の【ー】は【#】に割り当てて、一打鍵で打てるようにする*4
  • ロングマルチタップでは入力効率をよくできないので、ショートマルチタップを採用する。変換テーブルは以下に示す。
キー トグル順序 【*】による後変換候補(時間制限付き) 【*】×2による後変換候補(時間制限付き)
あいうえお ぁぃぅぇぉ
かきくけこ がぎぐげご
さしすせそ ざじずぜぞ
たちつてと だぢづでど
なにぬねの
はひふへほ ばびぶべぼ ぱぴぷぺぽ
まみむめも
ゃゅょ やゆよ
らりるれろ
わをん
、。


 この条件で、【「Kodama携帯配列」と「2.0打鍵方式かな入力案」。】と同じ方法で圧縮日記の打鍵数計算を行ってみることにしました。
 日記調の文体は、いわゆる「メール体」に似たところがあります。また、日本語のかな下し文はおおむね似たような「かな出現頻度」傾向を持っているので、それほど極端な誤差は出ないものと思われます。
 「かなめくり入力」の弱点である「カーソル送りが必要」という点はタイマーの力を使って排除するように設定したので、かな同士の連接を評価せず、かなを一文字ずつ評価する方法のみでも大丈夫だと思います。
 そして、打鍵数を最小にするために「常に、後変換(*)と逆めくり(#)を使いこなす」条件にしました*5


 かぎかっこ抜きで230文字、2.0打鍵方式(かえで携帯配列)ではちょうど460打鍵になります

──上記「特製かなめくり入力」テーブルから算出──
【1打鍵文字】1打鍵×54文字=54打鍵
あああかかかかかかかかかささたたたたたたななななななははははははまままままゃらららわ、、、、、ーーーっっっっ
【2打鍵文字】2打鍵×102文字=204打鍵
いいいいいいいいいいいいいいおおおががががきききききここここしししししししししそそだだだちちととととととととにににににののののののばひひほみみももももやゅゅょょょりりりろをををんんんんんんんんんん。。。。
【3打鍵文字】3打鍵×66文字=198打鍵
うううううううううううええぎくくくくくけけごじじじじすすすすすすせせつつつつてててててててどどねびふふへむめめゆよよるるるるれれれれ
【4打鍵文字】4打鍵×8文字=32打鍵
げずでででででぶ
……特製かなめくり入力では、合計で488打鍵。


 「かえで携帯配列」に対して、「特製かなめくり入力」では28打鍵多い操作を必要とする……という感じですね。
 もっとも、「特製かなめくり入力」では子音キーを連打するときに「同じ位置を連打するだけでいい=運指を考慮しなくてもいい」というメリットがあり、逆に「かえで携帯配列」とは異なり「指を大きく動かしてでも*や#を駆使しないと、打鍵数はさらに増えてしまう」「待ち時間や長押しなど、機械の都合に合わせたタイミング取りが必要=そこまでしてようやく上記の打鍵数に圧縮できる」というデメリットがあるので……一概に比較するのは難しいように思います。


 ちなみにこの「特製かなめくり入力」において、*キー一つで濁点・半濁点と読点・句点を打ち分けるのは「かなめくり入力の可能性を試すために導入したアイデア」であって、実際に実装して使い物になるかどうかは不明です……特定時間内に濁点・半濁点キーを押す必要があるのですから、入力はかなり忙しく、疲れるはずですので。

引用する際の注意。

 「お手持ちのかなめくり入力端末」のかなめくりテーブルと同一ではないことにご注意ください。
 お手持ちの端末で打鍵数を数えた場合、たいてい本案よりは打鍵数が多くなるはずです。

*1:現存する「かなめくり入力」対応端末では、おそらく常にこの「特製かなめくり入力」よりも打鍵数が増えてしまうはずです。

*2:「快適に入力する」というレベル以前に「落ち着いて入力する」ことすら間々ならない可能性があります。

*3:ctrlswapminiではたしか実装できないはずです。今回は再現性を無視していますので、その点にはご注意ください。

*4:これはかなり効くはず。大抵の「かなめくり入力」では【わ】の4度押しなどに収容されているはずなので。

*5:実は、私は逆めくりも後変換もいまいち使いこなせていません^^;。故に、この条件が本当に「誰にでも有効」か?と聞かれると、正直言って自信がありません。