「かえで携帯配列」とかを満足に使うためのメモ for W-ZERO3[es]。

(参考:携帯入力関連2題についての質問)
(キーマップ頒布委託先:ctrlswapminiキーマップ集 - かえで氏作、オリジナル配列)

(2006年12月9日0:54:46追記)
 以下に示すメモは、旧ファームウェアで動作するW-ZERO3[es]の挙動に基づいています。
 現行のファームウエア(v1.50以降またはPremiumEdition)を用い、かつctrlswapmini v0.21以降を用いる場合は、以下に示す操作を行わなくとも、おおむね「かえで携帯配列」を満足に利用可能と思われます。


 MobileATOKには「英字を必ずロマかな変換してしまう」という悪い癖がありまして、和英字(特に「英字めくり入力」経由の英字)をごちゃ交ぜにした文章を「一気に連文節変換に掛けて使う」には、非常に使いづらい仕様となっています。
 「かえで携帯配列」は和文字がベル打ち近似なものの、英字は英字めくりを使っていて、しかも和文字側の配列にも数文字の和文内頻出英字記号を割り当てているので、この動作仕様ではまるで使い物にならなかったりします。
 一方で、MS-IMEには「Shift+文字キーで英字モードへ&Shift単独でロマかなモードへ」という便利なモードがありまして、これは(私の場合は)PCでの「飛鳥カナ配列」でも、無印W-ZERO3での「秋月かな配列」でも便利に使っていました。
 ……というか、MS-IMEには「Capslock(英数)キーで英数モードへ・ひらがなキーでひらがなモードへ」という【あって当たり前】のモードがあるのですが、MobileATOKにはそれがありません……ゆえに、MobileATOKを使って英数/かな制御を行うことは原理的に出来ません。(2006年10月25日18:59:36追記)

 2006年12月3日4:23:20追記:「Capslock(英数)キーで英数モードへ・ひらがなキーでひらがなモードへ」という挙動は、esのファームウエアバージョン1.50にて正式にサポートされた模様です(但し、Alt-ひらがなによるカナロック切り替えは実装されなかった模様……って、そちらは要望していないから当たり前なのだけれど)。


 Ctrlswapminiには「ATOKに特有の挙動に関するチェックボックス」がひとつあるのですが、「かえで携帯配列」を使う上では、チェックを付けようとも外そうとも、どちらのモードであっても満足な結果を得ることが出来ません。
 とはいえ、Ctrlswapminiは「繭姫/姫踊子草」とは違って「Ctrlswapmini単体ではシステムに深入りしない」設計方針なので、(ATOK側が動作仕様を変更しない限りは)どうにもならないのです。
 #実際、何とかならんものなのでしょうか……Justsystemさま。
 (2006年10月27日0:11:52追記:Justsystemに問い合わせたところ、どうやらJustsystemSHARPから提示された仕様書に基づいて製作しただけのようで……Justsystemには一切非がないようです)


 とすると、まともに使うためには「ATOKを捨ててMS-IMEに戻してしまう」のが一番手っ取り早そうです。
 ところが、MS-IMEに設定を変更すると「カーソルキーでの漢字変換」が出来ないという不都合が待っています。
 ……で、ここで出てくるのが【imekeyset5 v1.21】。これを使って設定すれば、「MS-IMEへの完全乗換え」が可能になります。


 というわけで、(長い前フリはおしまいにして……)ATOKからMS-IMEへの乗り換え方法を下に書き出しておきます。
 

  • ATOKからMS-IMEへの切り替え方法
    • スタート→設定→システム→ATOK設定
    • 画面の「日本語入力にATOKを使用する」チェックを外す。
    • OKボタンを押すと再起動をする旨のメッセージが出るので、画面の「はい」をタップする。
  • (再起動中……)
  • カーソルキーでMS-IMEの漢字変換操作を使えるようにする。
    • imekeyset5をインストールする。
      • スタート→プログラム→ファイルエクスプローラ
        • 画面最上段「田ファイルエクスプローラ」の下に書かれている文字をクリックすると、ほかのフォルダやデバイスを参照できる。リストから「imekeyset5」を置いている場所を選択する。
        • 「imekeyset5.A...」という表示をタップ。インストール先は「デバイス」でも「MiniSD」でもどちらでも良い。
    • imekeyset5を起動する。
      • スタート→プログラム→imekeyset5。
        • 「Style選択」という文字の下にプルダウンメニューがあるので、とりあえずタップして「ATOK」「MSIME_PPC」「MS-IME2000」の3つがあることを確認する。
        • 右下にある「Phone Style追加」というボタンを押す。「Phone Styleを追加しました」という表示が出るのでOKボタンを押す。
        • 再び「Style選択」下のプルダウンメニューをタップ。「ATOK」「MSIME_PPC」「MS-IME2000」の下に、もうひとつ「Phone」という4つ目の項目が出るので、この「Phone」を選択する。
        • 「Style選択」に「Phone」が選択されていることを確認したら、「標準にする」をタップ。恐ろしい警告が出るので、十分祈ってから(?)「はい」をタップ。
        • 「設定はリセット後に有効……」の表示が出たら、付属のペン(スタイラス)を手に持ち、Qwertyキーボードを開き、キーボードの「Q」「Tab」キー近くにある「RESET」という小さなボタンを【3秒程度】押すと、その後ボタンからペンを離した時点でリセットがかかる。


 ATOKに戻す場合は、「スタート→設定→システム→ATOK設定」とたどって「日本語入力にATOKを使用する」チェックを付ければ良いようです。imekeyset5を起動して設定しなおす……必要はないのかも?


 こうしてMS-IMEへと変更して、実際に「かえで携帯配列」でテストしてみました。
 「(かな面に割り当てた)英字類まで半角で出てしまう」ところが微妙かなぁ……とは思うものの(それは単なる贅沢)、実用上はなんら問題なく「和英交ぜ書きでのかな漢字変換」が通せるようになりました。
 飛鳥カナ配列を延々と使ってきた影響からか、「かな入力盤面でも、よく使う英字記号ぐらいは打てて当たり前」「英字とかなを交ぜて連文節変換するのも当たり前」な環境に慣れきっていただけに、ようやく「本来望んでいた動作を得ることが出来た」かな……と。
 自分でレジストリを弄ろうとすると「ひどく大変」だということは(秋月かな配列の実装を経験した身としては)身にしみているだけに、こういうことを代わりに行ってくれるツールの存在というのは、とてもありがたいです。


 ……そういえば、私が始めて「携帯電話用の文字配列」を考えた(というか妄想した)のは、1998年のことでした。
 当時はAZIKの考え方しか知らなかったので、AZIKベースの配列を記録したのですが、そこから数えること8年……かたちは改造ベル打ち(かな系)に取って代わったものの、「8年掛かってようやく夢が叶った」わけで。
 いや、私の場合は8年丸ごと捧げたわけではないので「わずか8年で夢が叶った」と言う方が正しいですね。


 ところで、「かえで携帯配列」の仕掛けは「私ひとりだけで製作していたら、千年掛かっても絶対に出来るはずがない」要素に満ち溢れているわけで……いまだに使っていても不思議に感じていたりします。昔は「入力法と練習法は密接に絡み合っている」ことなど知りませんでしたし、「解りやすさを最優先にしつつ打ちやすさにも配慮する」ことなど到底出来ませんでしたから。複雑な配列を作れない&容易に慣れることが出来ない身だということを知って以来、実はちょっとだけ悩んでいたのですけれども、そのあたりの悩みは晴れた気がしています。
 それと、「秋月かな配列」の時には「たまにペン入力へと浮気していた」のですが、今回はどうやらその心配もなさそうです。
 まだ使い始めてわずかですが、「ああ、自分にとって、こんなにしっくり来る携帯電話用の入力法があったんだな……」と、ちょっぴり感動しつつ使っていたり。そもそも「携帯」で「しっくり来る」なんてありえないと思っていましたから……。配列名は「かえで携帯配列」にしましたが、どうにも「自分で作ったのだ!」という気がしないんですよね……自力で作ると巧くいかないのは毎度のことでしたから^^;。


 今日は、「デバイスの大きさに見合った入力法&ハードウェアインターフェースの重要さ」と「自分に合う入力法を見つけることの楽しさ」の2点を、再び再認識させられました。
 まだまだやりたいこと&やらなければいけないことはたくさんあるのですが、今日ばかりは……しばし余韻に浸ってみたいな……と。

自分にツッコミ。

Q1: なぜ導入方法の記述が「無駄に」詳細なのか?確かmorogramの時もそうだったけど。
A1: 私自身が「Phone Style追加」というボタンを押して、ほかは何もせずにリセットを押してしまったのです……「ドキュメントを読まずに実行すると失敗する」という、当たり前のことすら忘れていましたorz。次も同じことをしてしまいそうなので、とりあえず……ということで。