「TK-U09FGにポテトチップスを喰わせる」レビューを見つつ思う。

 シャドールームさん経由。
 ギアドライブ式キーボード「エレコム TK-U09FG」レビュー


 レビューを見ていて、思わず【飲み食いしながらキーボードに触るんじゃねー!】と言いたくなったのですが、私は案外とそれをやっていること自体は多いので、人のことは言えなかったりもして。
 (注:単純に「ポテトチップス」に反応してそう思っただけのことです。記事中で飲み食い云々について書いているわけではないですし、半ばお約束的にそう思っただけの話なので、くれぐれも誤解なきようお願いします^^;。)
 でも、今までキーボードをばらしてみて出てきたごみといえば「ホコリ・糸くず・腋毛*1・タバコの灰・紙粉と紙片*2」あたりしかなかったような……少なくとも、油脂を含んだ炭水化物らしき物体は見たことが無いのです。
 そう考えると、このレビューはちょっと過激すぎるなぁ……と。
 もっとも、ギアの軸受け部分にめいいっぱいグリスが塗りたくられているだけに、そこにホコリが絡まる可能性は高そうですね……。


 ……で、記事で提案されていた「キートップ外側ではなく内側に山を作っては?」という点。
 仮に内側に山を作るとすると、「今ある固定ギアを平らにしたツメ部(内側)と、別途生成する固定ギア部(外側)との2重構造にする(単純な金型を設計しづらくなる)」か「キートップ側に回転機構をつける(組み立てコストが増大する)」あたりの仕掛けが必要になって、実売3980円ベースでの生産は出来ない可能性があります。
 かといって、固定側ギアを単純に表裏逆にして「回転ギア部下にツメを通すためのスペースを余計に空ける」とすると、今度は強度的にヤバイ(回転ギアを支える支持具には高さがあり、斜め方向からの打鍵を繰り返すとてこの原理で根元に大きな力がかかる……パンタグラフよりも設計条件が厳しい)ような。
 この場合、考え方は真逆で「本体側のギア外側かつキートップの陰に隠れる部分に、キーへと干渉しない程度の高さと幅を持つ防護壁を追加整形する(鼠返し付きなどにしなければ単純な金型でイケる)」とすれば、【エアブロアーなどでごみを飛ばそうとしなければ】ギアにものが絡まる確率を「ある程度」は下げることは可能だと思います。


 ……あれっ?もしやこれは「ストロークの深いキーボードに期待」という感想を書くための理由付けだったのかも……深いキーストロークはぜひとも実現させてほしいですね。
 パンタグラフのような「円運動」の制限を受けない、せっかくの「直線運動」が可能な構造がギアドライブの本質的特長なだけに、その利点は極限まで生かされてしかるべきだと思います。
 「標準的なキーボードと同等の深いストローク」と「鉛直に引っかかりなく下がるキートップ」を持つ、「メカニカルスイッチ付きキーボードが当たり前だった時代には当然だった世界」のキーボードを、メンブレンスイッチ+ギアドライブ支持の組み合わせで復活させていただきたいところです。
 

 いずれにせよ、レビュアーの方が「分解行為を楽しみながら記事を書いている」感じが見て取れて、読んでいて面白い記事でした。自分で分解して記事を書いたとしても、ああいう風には書けないですし……。
 最初の写真群で示している回転ギア&固定ギアの写真として「大きなキーを撮影している」ところ・「ばらしてから写真を撮っている」ところの2点が特にツボにはまりました……第2段製品が出た際には、ぜひ同じ方にレビューをしていただきたいところです。


 そういえば、ひとつ気になったのが「キートップの印字は〜削れてしまいそうだ。」の部分。
 ポテトチップスのくずがギアに絡んでいる写真(これが一番キートップをきれいに撮影できている)をみると、単純に印刷したのみでUVコートのような処理はしていないみたいですね……。
 暗い色調のキーボードについてはコストアップを覚悟の上で「印刷+UVコート」にするとか、逆にコストを圧縮するならば、いっそのこと明るい色調の鍵盤に「デカ文字のレーザーマーキング」で……と、どちらかの方向に振っていただきたい気もします。


 ……で、最後に。
 Elecomの方が見ているとは思えないのですが、ひとつ要望を。
 真ん中にあるスペースキーなのですが、これをもう少し小さくすることは出来ますでしょうか。具体的には旧来のOADG(あるいはAX)キーボードと同じ「GキーとHキーの直下、ちょうど2キー分」で。
 空いたスペースへ「無変換」と「変換」をそれぞれ延伸して(ほかのキーは幅を変えない)、ユーザが普通に指を置いたときに「無変換」と「変換」に無理なく指が置けるものが良いのではないかな……と。
 高価なだけに高品質なものが当たり前だった時代のキーボードを模すことで、その時代のキーボードに慣れ親しんできた方に対して何らかの「サイレントメッセージ」を発することが出来るかもしれません。
 底打ち感はメンブレンに変わっても、キーを押下する時の引っ掛かりのなさは当時のキーボードに通じるものがあるはずで、当時のキーボードを評価している方からも一定の評価をいただける可能性があります。

*1:冬場の長袖が原因だと思う。

*2:なぜか「ポストイット」が入り込んでいたことがあります^^;。