キー配列の習得に要する時間比は、どうやって算出されるべきか。

(言及先:Re:親指シフト系配列の感想(@きりんシステム ダイアリー)他3件すきるあっぷは人生の時間との戦い!(かも)

 どうも、資料を出し忘れてご迷惑をおかけしております^^;。
 いつも通りに(^^;)長くなってしまいましたので、コメントではなくトラバさせていただきます。


 大元となっている「ローマ字入力1時間」と、それに付随しての「JISかな2倍・親指シフト3倍」は、増田式を提唱されている増田さんのページ(及び書籍?)が根拠となる場合が多い様に思います。
 http://homepage3.nifty.com/keyboard/Qwerty-R1.htm
 http://homepage3.nifty.com/keyboard/JisInput.htm
 http://homepage3.nifty.com/keyboard/OASYS.htm


 増田さんの増田式では「キーを覚えるのに要する時間のみを見ている」ようですから、単純に「覚える【キー】が多いほど、【初期】学習時間が掛かる」という結果に至るのだと思います。
 この場合、その後の「かな漢字変換に使用できる、かな文字列を作る」所までは考慮していない(「関知しない」という表現の方が正しい気がする)のですから、「キーを覚える」という段階だけを見れば、この習得時間差は十分納得できる精度を持っていると考えています(注:たぶんツッコミどころ満載です^^;)。
 また、読みを元に単漢字を直接キー入力する「風」というシステム(IMEの一種)を制作されている富樫さんは、頻出漢字300文字分のキー位置習得には30時間程度を要するとの見解を示されていた事も併せて考えますと、キー数と【初期】学習時間の比例具合はやはり一致すると感じています。


 一方で、肝心な「かな漢字変換に使用できる、かな文字列を作る」部分までを含めた場合は、話が異なってくるはずです。
 先に書かせていただいた「かな入力で使う文字数は結局どの方式を経ても同じ」という理屈が正しければ、ローマ字入力1時間+子音母音の組み合わせ練習2時間・JISかな2時間+濁点・半濁点組み合わせ練習1時間・親指シフト3時間」と表現するのが、より順当なのかもしれません。
 この点については、的を射る考察をUジローさんがされています。

90分あれば、ローマ字入力タッチタイプができるようになります。
3時間あれば、月配列でタッチタイプができるようになります。
20時間あれば、ローマ字入力でもカナ入力でも実用に耐えうる速さで入力できるようになるでしょう。

もちろん、この時間は、純粋にそのスキルを身につけるため「だけ」に費やす時間なわけで、やっているうちに自然と・・・、という場合は、実際には、これだけの時間に相当する資源が薄められて投資されてきていたわけです。
(from http://ameblo.jp/ujiro/entry-10002677514.html)


 「集中して練習する限りは、どの配列を用いても(かなを自由に出力するために要する時間は)ほぼ同じ」という、富士通が出した結論が正しく成立する理由は、ここにあるのだと思います。

 提示いただいたグラフが正しいかどうかを検証するためには、それぞれの配列を習得するために使った練習メソッドが、それぞれの配列向けに最適化されているかどうか…という点も重要になるはずです。
 当然、日本語入力コンソーシアム側でメソッドを作成しているわけですから、徹底的に研究されているであろう「親指シフト向けメソッド」の完成度がもっとも高い(そして、おそらくは当時付属していた親指シフト練習用ソフトと同じ)という事も、併せて考慮する必要があると思われます。
 仮にこの3種配列用メソッドが「等しく公開」されていたならば、このグラフの信憑性を証明するための証拠(evidence)として、正しく機能したはずです…惜しい点は、これらメソッドが公開されなかった事そのものにあるのかもしれません。

 逆に、「集中して練習する時間を可能な限り短くしたい(=それ以外はだらだらと練習してもかまわない)」という話になってしまいますと、あのグラフは奇妙に映るはずです。


 極端な例ですと、携帯電話のかなめくり入力は「操作を覚える為のコストがローマ字入力よりも低い」のですが、実際に「実用的な速度で入力するには、結局それなりの練習時間が掛かってしまう(しかも指は痛くなる)」わけで、これと本質的に同じ状況なのではないかと思われます。


 こうなってきますと、「だらだら実務練習するのはヤダ、一発で覚えたい!」という方に向けてのアプローチをすることも、親指シフトにとっては非常に重要になってきそうです。
 「最初のハードルが高い・その後には変なハードルが存在しない」という点を「利点として」十分発揮させるためには、絶対的に真っ当な(かつ短時間で親指シフトを習得可能な)練習用メソッドが必要だと思います。
 デタラメな独習で4ヶ月もだらだらやっていたような「私と同じ」事を、他の方に繰り返させるようなことがあってはならないはずです。
 広くデメリットと思われている点を上手くひっくり返して「魅力」へと転換させる…そんな方法論が必要になりそうです。


 とはいえ、全ての人に適応するナイスなメソッドなど存在しない気もしますので(私は、公開されている親指シフト練習用ソフトを、増田式を除き一通り*1試したつもりで居ますが、どれもしっくり来ませんでした…)、この点についてはまた色々と考えていかなければいけない様に思います。


 うーん、ここは安直に「増田式」をお勧めしてしまうのが手っ取り早いのかもしれません。
 そのために必要な書籍については、現在復刊ドットコムに掛けていただいていますし…。


 あとは、ほかにも(全く別のアプローチを使った)「○○時間で完璧!親指シフト練習用メソッド」があれば理想なのですが…。

 #いくつかの配列を練習するためにと作っている「かえでメソッド」改め「かえで式」は、まだまだ制作途中です…お役に立てず申し訳ありませんorz

*1:コメントを参照願います:とんでもない勘違いをしていたもので…すみません