算盤(そろばん)の学習方法はなぜ効率的ではなかったのか。
算盤を塾通いして習得した(or習得し損ねた)方には常識なのかもしれませんが、私なりの考えを書いてみたいな、と。
算盤は、そもそも「検算のための道具」であって、「計算のための道具」ではない気がしています。
実際問題として、算盤で「計算」しようとすると大変なんですよ。
珠を弾き損ねれば、その場で計算結果が狂い出すわけですし。
小学校では「九九」という「ひとけた同士のかけ算」について暗唱させられますが、算盤を実用的に使うためには「ひとけた同士の四則演算」を暗記しないといけない…という気がしています。
この「単純な四則演算」については「指折り数える」方法ではダメで、結局は「イメージ・パターン」で記憶せねば、全く役に立たないことになります。
配列界隈の方に対する説明としては、
キー配列を目視で覚えることと、キー配列を打鍵して覚えることの違いに等しい
と書けば、本来算盤が利用されるべきシーン・本来学習すべき方法論を想像しやすくなると思います。
ゆえに「算盤は右脳に働きかける」と言われているわけですが…私、学校でも算盤教室でも、算盤に関しては力業式の教育しか受けたことがありません。
算盤教室では「速く計算できるようになる度に級が上がって、3級辺りから暗算問題が入ってくる」という方法を当時採用していたように思います。
やり方に関する説明は「算盤のはじき方」のみで、後はただひたすらに算盤を弾き、答え合わせをしてもらって…という感じでした。
どなたかが、算盤を扱うために「算盤用メソッド」を作っていれば、こんな事にはならなかったのではないか…という気がしています。
で、その「算盤を使わない」方法論として、いつからか「百ます計算」が出てきたわけで…これは自然の成り行きでしょうね。
もっとも、百ます計算に関してもメソッドはない様な気がしていますが、計算の本質を上手く取り込んでいて「メソッドが不要」だという点は良いと感じています。
さて、世の中には「メソッド」を使わずに「力業で」何とかなっている領域が様々にあるわけですが…この先そういう分野がどう変化していくのか、ちょっと興味を持って観察していきたいな、と思いました。